日本郵政は日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を傘下に持つ。第2次株式売り出しを控えているが、力強い成長戦略は描けていない Photo by Ryosuke Shimizu

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日本郵政による野村不動産ホールディングス買収の動向が注目されている。郵政は先般、買収した海外の物流大手に関して多額の損失を出したばかり。今度こそうまくいくのだろうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

「まさに背水の陣。新しいM&A(企業の合併・買収)を打ち出して、成長ストーリーを示す他ない」。日本郵政が野村不動産ホールディングス(HD)を買収するというニュースが駆け巡る中、証券関係者からはこうした指摘が後を絶たない。

 郵政は野村不動産HDにTOB(株式公開買い付け)を提案するのと並行して、同社の筆頭株主で33%超の株を持つ証券最大手、野村HDと交渉しているもようだ。

 郵政といえば、子会社の日本郵便を通じて2015年に買収したオーストラリアの物流最大手トール・ホールディングスの業績悪化に伴い、4003億円もの特別損失を計上したばかり。この影響で17年3月期決算は純損失が289億円となり、07年の民営化後、初となる赤字に転落した。

 トール買収の“失敗”について、郵政の長門正貢社長は「高値つかみだった」と振り返る。買収額の約6200億円は、当時のトールの時価総額に、約5割のプレミアムを乗せた額。当時のトールの業績は絶好調で、郵政の他にも買収を狙うライバルがいたからだ。

 そして何より、郵政には15年11月の株式上場の際に、新たな成長戦略が必要だった。アジアや米国でも事業展開するトールを傘下に収めれば、一気にグローバルな基盤を手にし、世界的な物流企業へと名乗りを上げられる。

 しかしもくろみは甘かった。オーストラリア経済の減速によりトールの業績が急降下。巨額ののれん(買収先の純資産額と買収額の差)の減損処理に迫られた。

 とはいえ、M&Aの専門家は一様に「高値つかみが原因だろうか」と異を唱える。買収に投じた資金を何年で回収できるかを示す指標にはEV/EBITDA倍率が用いられるが、トールの場合は9.2倍で「至極妥当な数値」(同)だという。

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