中国では日系車について「鋼板が薄いため、安全性に劣る」というデマのほか、「車重が軽いため、安全性に劣る」というデマが存在する。近年の中国メディアは、日系車の安全性を正当に評価する傾向にあるが、ネット上では日系車と別の車が衝突事故を起こした現場の写真を掲載し、日系車のボディーが変形していることを強調したうえで「日系車は安全でない」などと主張する中国ネットユーザーがいるのもまた事実だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国では日系車について「鋼板が薄いため、安全性に劣る」というデマのほか、「車重が軽いため、安全性に劣る」というデマが存在する。近年の中国メディアは、日系車の安全性を正当に評価する傾向にあるが、ネット上では日系車と別の車が衝突事故を起こした現場の写真を掲載し、日系車のボディーが変形していることを強調したうえで「日系車は安全でない」などと主張する中国ネットユーザーがいるのもまた事実だ。

 写真は理論よりもインパクトが大きいため、そうした主張を信じて日系車が安全でないと思い込む中国人も少なくないだろう。しかし中国メディアの今日頭条は14日付で、日系車が安全でないと主張することは「逆に自動車に対して無知であることを晒すことだ」と論じる記事を掲載した。

 記事は、カローラ1.6ATの旧モデルの重量が約1300kg、また新モデルは約1285kgであり、一方でゴルフ1.4AT・DSGの6型は約1370kgだったが7型は約1280kgと90kgも軽くなっており、しかも日系車よりも軽くなっていると説明した。なぜ記事が車重を持ち出したかと言えば、中国では「鋼板は厚いほうが安全」という誤認のほか、「車重も重ければ重いほうが安全」と誤認している消費者が多いためだ。実際には車重は重ければ重いほど、ブレーキをかけてから車が停止するまでの「制動距離」が長くなるため、必ずしも安全性が高くなるとは言い切れない。

 こうした日系車とドイツ車の重量逆転は他の車種についても言えると指摘、これは衝突時にボディーを変形させる方が乗員の身体を保護できることや、重量が軽くなると燃費効率が向上するという科学的な根拠に基づいた変化であると説明し、「今後、二度と自動車の重さで安全性を推し量るべきではない」と提言、日系車が安全でないと主張することは「逆に自動車に対して無知であることを晒すことだ」と論じた。

 中国メディアが掲載する日系車の安全性を擁護する記事は、中国人が日系車を安全でないと誤認してしまう理由の1つはダンプカーに衝突された際にひどく変形した日系車の写真がネット上に出回っていることだ。同記事は、ダンプカーに衝突されれば、ドイツ車や米国車であっても鋼板は「紙同然」だと説明しているが、中国でも自動車に対する正しい知識が一刻も早く広がることを期待したいところだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)