殴られて意識を失った児童、2日後に自殺(出典:http://www.chicagotribune.com)

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たったひとりの我が子が自ら命を絶ってしまった。その原因が、学校で起こっていたいじめだと知った母の悲しみはいかほどであっただろうか。米オハイオ州で起こったあまりにも悲しい事件を米『WLWT Channel 5』や『Chicago Tribune』など複数メディアが伝えている。

今年1月24日、オハイオ州シンシナティのプライス・ヒルにあるカーソン小学校で3年生のガブリエル・タイエ君(8歳)が、学校内のトイレで数人の児童から激しいいじめを受け、失神した。

5月12日に公開された監視カメラによると、ガブリエル君はトイレの壁に向き合うように立っており、数人の児童が暴力を振るっているのがわかる。ある児童が思いっきり突き飛ばしたため、ガブリエル君は頭を打ち付けたのであろう、意識を失い床に倒れた。

ガブリエル君が倒れているにもかかわらず、他の児童は素通りしたり、倒れているガブリエル君の体をまたいだり、足でガブリエル君の体をつついたりしている様子まで映像に収められている。教頭や学校スタッフ、保健室のスクールナースが駆け付けたのは、ガブリエル君が失神してから4分半後のことだった。

その夜、ガブリエル君の母コーネリア・レイノルズさんは息子が嘔吐したことを知り病院に連れて行ったが、医師からは「胃腸炎」と診断された。学校側はいじめがあったことに触れず、コーネリアさんに「ガブリエル君が失神した」とだけ伝えていた。コーネリアさんは、同日に「学校で何があったの」と聞いたが、本人はただ「わからない」とだけ答えていたという。

そして2日後の1月26日、ガブリエル君は自宅アパートの寝室でネクタイで首を吊り自ら命を絶ってしまったのだ。

コーネリアさんによると、ガブリエル君はいじめに遭っているという事実を一切話すことがなかったという。ただ思い返せば、ガブリエル君は保健室でよく休んだり学校に行きたくないと言った日もあったそうだ。「ひょっとしたらそれが、息子が発していた何らかのSOSサインだったのでは」とコーネリアさんは話す。今回、ガブリエル君がいじめの果てに自殺という最悪の結果になり、その心情を次のように明かしている。

「ガブリエルは、どんなふうに自分がいじめられているかということをどうやって私に話したらいいかわからなかったのでしょう。きっとあの子は、『自分がいじめられている』ということを口にしたくなかったんだと思います。息子の亡骸を見つけた時、私の生きて来た世界は終わりました。」

ひとり息子を支えるため懸命に仕事に励んでいた母だったが、息子のSOSを見抜けなかった悔しさと大切な息子をいじめで失ったという悲痛な気持ちが入り交じっているに違いない。

ハミルトン郡検死官は現在、ガブリエル君の死といじめとの関連性について調査を再開した。しかしながらシンシナティ警察では学校関係者に対応を任せるとして、捜査を打ち切っている。それでもガブリエル君がいじめに遭っているシーンを映像で確認した捜査官は「私が見たところ、少年らの行動はいじめに他ならないと思います。もし加害者が刑法の責任年齢に達しているならば、それは暴行罪に値するでしょう」と語っている。

ガブリエル君を知る教師の1人は「彼は勉強することが大好きで、友人もいて模範的な児童でした」と話している。しかし、その裏に隠されていたガブリエル君の苦しみを誰も見抜けなかったことが、ただ残念でならない。

出典:http://www.chicagotribune.com
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)