ジョーカーになり得るU-20日本代表の選手たち【写真:舩木渉】

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スタメンでなくとも…チャンスをうかがう“ジョーカー”たち

 21日、U-20日本代表は南アフリカとのU-20W杯グループステージ初戦に挑む。いよいよ始まる10年ぶりの舞台で勝ち上がるにあたって、窮地に立たされることもあるだろう。そこで必要なのがベンチから出てくる”ジョーカー”の存在だ。独力で流れを変えられる力を持った選手たちが、日本代表には多くいる。(取材・文:舩木渉【水原】)

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 U-20日本代表は21日にU-20W杯の初戦・南アフリカ戦に臨む。この世代にとって初めての世界大会だが、選手たちはリラックスして戦いのときを迎えている。

 とはいえ、何が起こるかわからないのがW杯。ひとたびリズムが崩れれば、そこから立ち直れずにずるずると悪い流れを引きずってしまうかもしれない。そんな悪循環を断ち切れる存在は誰か。いまのU-20日本代表には、目をギラつかせてチャンスを待つ“ジョーカー”候補が多くいる。

 その1人は久保建英だろう。チーム最年少の15歳でメンバー入りを果たした小柄なアタッカーは、独力で局面を打開できるテクニックと、試合の流れや周囲を見透かす卓越したゲームビジョンを備えている。練習でも年上の選手たちに臆することなく、ときには主力組に混ざって好プレーを連発している。

 市丸瑞希もパス1本で流れを変えられる稀有な才能を持った選手だ。W杯前最後の強化試合となったホンジュラス戦では、久保の決定機を演出する絶妙なパスを通し、改めて視野の広さや冷静さ、技術の高さといった司令塔としての実力を証明した。

 彼らの他にも“ジョーカー”になりうる選手たちがいる。遠藤渓太は「ハナからサブで出ようなんて思っていない」と語気を強めたが、「悪い流れを自分1人で変えられるくらい、存在感を示したい」とこの大会にかける思いは人一倍強い。

ドリブルで切り裂く遠藤、パワフルにゴールを陥れる田川

 現U-20代表では左サイドでの起用が想定される。「自分は途中から流れを変える選手としても意識している」と語る、横浜F・マリノス所属のドリブラーは、ゴールに向かう自分の姿をハッキリとイメージできていた。

「右に(堂安)律がいて、あいつがカットインしてきたら結構中を見てくれているので、そこで結構(自分と)合うことは去年からあったし、そこは意識しています。僕がボールを持ったら裏に抜け出した選手を見るように心がけています」

 得意とする強気の高速ドリブルと、裏へ抜けるスピード溢れる飛び出し、そして右足のフリーキックはゴールが欲しい場面でチームに必要な大きな武器になるだろう。

 今年4月に行われたU-20W杯本大会前最後の候補合宿で、約8ヶ月ぶりに招集されたFW田川亨介も世界の舞台を前に闘志を燃やしている。これまで各世代別代表に招集されてきたものの、大きな国際大会に縁のなかった男は、滑り込みで21人の最終メンバー入りを果たした。

 今季サガン鳥栖の下部組織から正式にトップチーム昇格を果たした田川は、FW陣4人の中で唯一J1リーグ戦でゴールを挙げている選手でもある。Jリーグで途中出場を重ね、持ち前のパワフルなプレーで代表入りを勝ち取った。

 だが、4月の候補合宿は不完全燃焼に終わり、最終メンバー入りに向けて不安を感じていたという。最終日に行われたジェフユナイテッド千葉との練習試合で、小川航基らがゴールを奪っていく中、田川は無得点に終わった。

 その試合を終えたあと「何本かチャンスはあったんですけど、そこで決め切れなかったことが一番自分の中で後悔というか、自分で持っていける場面もあったし、そこで決め切れたら本当によかったんですけど、悔しいですね」と、噛みしめるように語っていた田川の姿は印象的だった。

前線に欠けていた最後のピースとは

 それでも内山監督は「前線に関しては、ちょっと違うタイプの選手がほしかった」と、田川を21人の本大会に向けた最終メンバーに含めた。スピードや高さといった身体能力を活かすタイプのストライカーがチームに欠けていた最後のピースだった。

 南アフリカ戦を目前に控えた田川は、「できれば先発がもちろんいい」とは言うものの、自らの置かれた立場をよく理解しており、「どんな立場にたっても自分のプレーを出せるように準備していきたい。自分の役割を果たすために全力でやるだけ」と語る。

 田川に与えられた「役割」とはズバリ、ゴールだ。

 鳥栖でもベンチからの起用が多く、途中出場を苦にしない。「負けてる時とか、勢い欲しい時とか、流れしだいですけどチャンスはあると思うので、そこはいつでも狙っていきたい」と、がむしゃらにゴールへと向かっていく。

 滑り込みでの招集だったため、まだチームメイトとの連携が上手くいかない場面もあるというが、それも合宿中のトレーニングで積極的に周りとコミュニケーションをとることで克服しつつある。自分の力を発揮するには「チームメイトの力が必要。そこが一番です」と、田川は力強く語る。

「自分がダイナミックな動きをすれば目に止まると思うので、その部分は忘れずにどんどん前向きなプレーをしていきたい」

 こういった姿勢は仲間たちに勇気を与え、試合終盤の気持ちが切れがちなタイミングでチームにエネルギーを注入してくれるはず。久保、市丸、遠藤、田川といった1プレーで流れを変えられる“ジョーカー”の存在が必要なときは必ずやってくる。

(取材・文:舩木渉【水原】)

text by 舩木渉