37分に今季6ゴール目となる追加点を決めた倉田。自己最多の10ゴールに迫る勢いだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ12節]G大阪 3-0 鳥栖/5月20日/吹田S
 
 1点リードで迎えた37分。右サイドのオ・ジェソクからのクロスボールにダイレクトで合わせたのは倉田秋だった。彼の「スルー!」の声に反応し、ニアサイドにいた長沢駿、中央にいた赤粼秀平がボールを触らなかったからこそ、届いたボールだった。
 
「自分の前にふたりが入ってくれて、スルーという言葉を聞いてくれて、上手く流してくれた。ミートだけを考えて右足を振ろうと思って蹴りました」
 
 今季はこれで6得点目。C大阪に在籍した2011年の10得点が、シーズン最多ゴール数だったことを考えれば、その記録も十分に塗り替えられる可能性を感じるハイペースだ。それだけではない。守備での貢献度も高く、圧倒的な運動量を生かして前に後ろにと、精力的に動き回る姿は、むしろ感動すら覚えるほど。この日の走行距離は、11.282キロ。10キロ以上を数える選手が11人中8人を数えるG大阪にあって驚くような数字ではないが、チーム2位タイを数えたスプリント回数や、その質、相手に与える脅威などを鑑みれば、圧巻のパフォーマンスだ。この好調ぶりについて本人は、『責任感』をキーに挙げる。
 
「背番号も今年から10番に変わったし、自分でもやらなアカンっていう気持ちも強い。何より、最初にポポンと取れたことで気持ち的にも楽になって、ゴール前でも焦らずに打てているのが結果につながっているのかなと思います」
 
 実際、昨季開幕時にも「早い段階でゴールが取れれば気持ち的にも乗っていける」と話していた倉田だが、リーグ初ゴールを決めたのは5月21日の第1ステージ・13節だった。それに対し、今年は3月11日のFC東京戦で今季初ゴールを奪取。そこからここまでコンスタントに得点を重ね、現時点でチーム最多得点数の6ゴールにたどり着いた。
 
 となれば先述した通り、自身最多ゴールの更新が期待されるところ。ポジションをボランチやサイドハーフなど変幻自在に変えながらも勢いが止まらないだけに、なおさら期待が高まる。倉田自身もポジションに強くとらわれないプレーを実現できている点に手応えを口にする。
 
「自分としてはポジションがボランチに変わったからどうとか、あまり考えていないというか。特に強く意識することなく自分の感覚に任せてプレーしています。それは組織に対しての手応えがあるから。特に最近は(藤本)淳吾さんが入って、いろいろ周りも見ながらうまく試合を運んでくれているので、僕も自由にできているんだと思います。また、今は1試合1試合メンバーやフォーメーションが変わるなかで、チーム内でいい競争が生まれているのも大きい。全員が、しっかりアピールしなきゃ試合に出られない状況にあるからこそ、練習から激しいトレーニングができているし、そういう積み重ねが結果につながっているんだと思います」
 
 25日には日本代表のメンバー発表も待ち受ける。本人は「選ぶのは監督なので」と涼しい顔だが、今の彼を選ばない理由を見つけるのも難しいはずだ。改めてそのことを実感した鳥栖戦だった。
 
取材・文:高村美砂