グループAの初戦・イングランド対アルゼンチンは、押され気味のイングランドが3-0で快勝を収めた。(C) Getty Images

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 U-20ワールドカップは初日から大いに盛り上がった。
 

 全州では2試合目にホスト国の韓国が登場。9割方埋まったスタジアムは「テーハンミング(大韓民国)」の大合唱に包まれ、ウェーブが勢いよく観客席を旋回した。日韓ワールドカップの熱狂が甦る(もう15年も経ってしまった!)。
 
 スタジアムの赤は、まだ四分咲きといったところ。だが3-0という快勝によって、国中が真っ赤に染まっていくのかもしれない。
 
 それにしても、1試合目のアルゼンチンの敗北は意外だった。
 立ち上がりからイングランドを圧倒し、ほとんど何もさせなかったからだ。これは3-0くらいで勝つだろうと思っていたら、0-3で負けてしまった。まったく見る目がない。
 
 個人技では間違いなくアルゼンチンが上。それはピッチに立っている選手たちが、いちばん分かっていただろう。こうした格上意識は、時として焦りにつながる。
 
 ノーチャンスに近いイングランドに、2度のチャンスを決められ0-2となった75分、巻き返しの切り札として投入されたFWラウタロ・マルティネスがひじ打ちで一発退場に。
 
 私は大いに落胆した。
 試合前夜、携帯ショップで出会った(選手に頼まれて最新のアイフォンを大量購入していた)アルゼンチンチームのスタッフから「新しいメッシがいるぞ。それはマルティネスだ」と吹き込まれていたからだ。
 
 ともあれ、アルゼンチンは崖っぷちに立たされたわけだが、いいものを見せてもらったことには変わりない。
 
 中央か外か、最後の瞬間まで敵にコースを読ませないパス。完全に背中を敵に預けた粘り強いキープ。2、3手先が見えているとしか思えない、待ち伏せするかのようなボールへの寄せ。
 
 それらはすべて、日本サッカー界にとってお手本となるものだと思うからだ。私は、サッカーは解決力のゲームだと考えているが、解決力の高い個人が11人揃うと、これだけ面白いゲームができるのかと感銘を受けた。
 
 アルゼンチンだけではない。この2試合では多くの発見があった。
 ギニアの左ウイング、ユール・ケイタは信じられないスピードと柔らかい身のこなしで、韓国人選手を次々と翻弄。彼がボールを持つたびに、スタンドがどよめきに包まれた。
 ボールを持ったら、選択肢はひとつだけ。ドリブル、ドリブル、ドリブル――。前半は破竹の勢いだったが、後半は跡形もなく消えてしまった。
 
 韓国ではバルセロナに所属するイ・スンウとぺク・スンホが、期待に応えた。1ゴール・1アシストを決めた前者は、面構えがいい。「俺を見ろ!」という顔をしている。こういう試合で活躍できるのは、スター性がある証だ。
 
 良くも悪くも組織的な日本のサッカーを見慣れた私の目に、4か国のプレーは新鮮に映った。単独で難局を切り拓こうとするプレーが多いからだ。
 U-20といったら、まだ成長段階。組織に埋没するのではなく、どんどん突っかかって勝負すればいい。そういう若者にこそ、輝かしい未来が拓かれるのだと思う。
 
 さて、次は日本の出番。若者たちはどんな未来を見せてくれるだろう。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)