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色気のヴァンテージ 優等生のM2

ショート・ストロークのギアボックスは、ハイペースで走るなら慎重な操作が必要だが、素早い操作にも難色を示さず、マッチョなクルマにフィットしている。

ペダルはヒール・アンド・トウに積極的になれるレイアウトだが、ブリッピングでの回転上昇はスロー気味で、いささか退屈な作業に思えてしまう。

ゆったりとシフトをすれば、V8は1000rpmからでも十分に走れるが、真価を発揮し出すのは4200rpmより上。

4500rpmでエグゾーストのフラップが開くと、エンジンの唸りはみごとに金属的な咆吼に変わり、スロットルレスポンスは荒々しいほどに鋭くなる。

この領域では、ヴァンテージの速さとアグレッシブさを存分に楽しめる。

対してM2は、低回転でのサウンド的なアピールは弱い。ハードにプッシュすると、ブローオフが威勢よく音を立て、高まる打突音は気分を高揚させるエンジンの叫びに消える。

ターボ・ラグはあるが、回転が上がるほどに減り、煩わされることはない。1800〜7000rpmでの加速は熱烈で容赦なく、パワー不足も広いトルク・バンドがカバーする。

ハンドリング、一長一短

両車とも、0-97km/hは5秒以下で、M2の方が明らかに速いが、これはDCTの恩恵で、MT同士なら差はもっと小さくなる。

M DCTの能力は称賛に値するものだ。スポーツ・モードでのパドルによるシフトアップはまさに電光石火だが、ショックを感じることはない。

シフト・ダウンは、操作に忠実にギアを落としてくれる。回転計の針は激しく踊り、ギアボックスのレスポンスも上々。

一方で、自動変速ではゆったりとした控えめな変速マナーを見せてくれる。ブレーキはどちらも優秀だが、M2の方が鋭いフィールだ。

コンフォート・モードでのM2のステアリングは、この強力なマシンには軽すぎるように感じられるが、スポーツ・モードでは中立付近が重すぎる面もある。

電動パワー・ステアリングはフィールにも乏しいが、レスポンスはよい。ターンインはしなやかにクイックで、横方向のスタビリティはタイト・コーナーをアグレッシブに攻めても万全だ。

アストンはフロント・ミドシップにもかかわらず、その鼻先はBMWほど機敏ではない。M2ほどロールはしないが、切れ味もまたM2ほどではない。

M2、NVHの処理でモダンカーをアピール

油圧アシストのステアリングは、当然というべきかフィールとウェイトの豊かさで優るが、緩やかながらキックバックもそこにはある。

BMW同様、コーナリングでのグリップは、ドライでは強力無比だが、敢えてスイッチを切らない限り、スロットル・ペダルを過剰に踏み込むと、電子制御がいち早く介入するのも両車に共通している。

M2のにわか造りの敏捷性は代償も伴う。

舗装がよければ気付かないが、バンプの多い道では上下動が激しく、快適性だけでなくリアのトラクションさえ危うくなる。

路面が不整な高速道路では、それに悩まされっぱなしだ。雨でも降ろうものなら、ビクビクしながら走ることになる。

とはいえ、「硬いが不快ではない」という決まり文句はあながちウソではない。

市街地では、M2はNVHに煩わされず走れる。イナーシャなどどこ吹く風で、ハンプした橋などは障害を飛び越える馬のように駆け抜ける。

「フロア越しに、路面不整が異常なほど正確に伝わってくる」といったテスターもいたが、M2の脚の硬さを考えれば、不快だというほどのことではない。

そろそろ、結論をだそう

その点、アストンはというと、同じ不整をBMWほどには呑み込めず、ボディが振動する。しかし、懐は深く、M2の足取りがおぼつかなくなるような轍でも、275幅のリア・タイヤはしっかりと路面を掴んでいた。

巡航時には、中古車ゆえに風切り音が、新車のBMWのロード・ノイズと同じくらい気になったが、そこはさすがのアストン、路面状況にかかわらずこの上ない快適性を提供してくれた。

ヴァンテージは多くの魅力を与えてくれる。

たとえばスタイリング、ラグジュアリーさ、個性、速さ、走りの多才ぶり、そしてなによりパワフルな自然吸気の大排気量V8。

とはいえ、Mの名を持つ「爆竹」コンパクトの、パフォーマンス面のエンジニアリングやクオリティ、実用性のコンビネーションは、ヴァンテージとの時代の違いを否が応でも感じさせる。

どちらもその内容を考えればバーゲン・プライスだが、どちらか一台に乗って帰れるなら、われわれは新車のM2を選ぶ。時代は移ろうのである。

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