台湾の対日交流窓口「亜東関係協会」が「台湾日本関係協会」に名称変更したことに中国政府は「強烈な不満」を表明した。日本を巻き込んで両岸関係の新たな火ダネになりそうだ。写真は台湾総統府。

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2017年5月20日、台湾で民進党の蔡英文政権が発足して20日で1年。これに先立ち、17日に台湾の対日交流窓口「亜東関係協会」を「台湾日本関係協会」に名称変更する式典が行われた。名称変更に中国政府は「強烈な不満」を表明。日本を巻き込む両岸関係の新たな火ダネになりそうだ。

日本は中国と国交正常化をした1972年、台湾との外交関係を断絶。実務関係の窓口として双方に協会が設立された。中国と台湾は「一つの中国」に属するという原則を重視する中国側への配慮から、日本の対台湾窓口は「交流協会」、台湾の対日窓口「亜東関係協会」と互いの地名を入れない組織名を続けてきた。

「交流協会」は今年1月1日付で名称を「日本台湾交流協会」に変更。交流協会台北事務所は事実上の日本大使館として機能しているが、これまでは名称に「日本」が含まれず、分かりにくいとの指摘が出ていたためなどとされる。英国が昨年、「英国貿易文化事務所」を「英国在台事務所」にするなど実態に沿った名前に変える動きが出ており、台湾側も名称変更を希望していたという。

「台湾日本関係協会」への名称変更は日本側の動きに呼応したもので、式典には日本側を代表して日本台湾交流協会台北事務所の沼田幹夫代表(大使に相当)が出席。台湾日本関係協会の邱義仁会長は「名称変更は45年間の台日の歴史の困難と成果を象徴している」と指摘。「過去の名称は業務内容が伝わりにくく、業務対象地域などで誤解を招くことがあった。変更によって業務内容が明確になり、台日関係が新たな段階に入った」とあいさつした。

これに対し、中国外交部の華春瑩報道官は17日の記者会見で「世界にはただ一つの中国で、台湾は中国の一部だ。中国政府は中国と国交を持つ国がいかなる形で台湾と政府間関係を結ぶことに断固として反対する」と強調。「日本政府と台湾当局が共謀して日台の実質的関係を引き上げようとしている。中国は強烈な不満を表明する」と述べた。

独立志向が強く、「一つの中国」の原則を確認したとする「92年合意」を認めていない蔡政権の発足後、中国との両岸関係は、こう着状態のまま。中国は昨年9月の国際民間航空機関(ICAO)総会や11月の国際刑事警察機構(ICPO)総会から台湾を締め出すなど圧力を強めている。22日からスイスのジュネーブで開かれる世界保健機関(WHO)総会の招請状も届いていない。

圧力には屈しないとする蔡総統は先ごろ、東南アジア6カ国のメディアによる合同取材を受けた際、中国を「中国大陸」と呼ばずに「中国」と表現した。台湾問題に関連して中国語圏では特殊な用語が定着。台湾との対比で「中華人民共和国」を指す場合には「中国大陸」または「大陸」を使う。台湾でも同様だ。

蔡総統は極端な完璧主義者で、言葉遣いについても神経質すぎるほど慎重とされる。発言は「中国」と「台湾」が別の国であることにもつながるが、意図的に表現した可能性が高く、中国政府で台湾問題を所管する国務院台湾事務弁公室の報道官が非難するなど波紋を呼んでいる。(編集/日向)