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 政府が掲げる「働き方改革」では柱の一つとして副業推進の姿勢を打ち出しており、サイボウズやロート製薬のように、実際に従業員の副業を解禁する大手企業も登場している。しかし、新たな収入の柱を作るべく副業に取り組むサラリーマンのなかには、思わぬ苦戦を強いられているケースもある。

「先月の赤字額ですか?そうですね、新卒の初任給くらいでしょうか……」

 コインランドリー投資の厳しい実情を語ってくれたのは、アラフィフのサラリーマン投資家の諏訪朗さん(仮名)だ。首都圏某所に1600万円を投じて開業したコインランドリーは、間もなく開店1周年を迎える。しかしこれまで一度も黒字を達成しておらず、毎月赤字を垂れ流しているという。

 諏訪さんは元々、本業である会社員の傍ら不動産投資を手がける、いわゆる「サラリーマン大家」だった。ここ数年、不動産市況が好調であることから所有物件の一部を売却。新たな投資先を探していた諏訪さんの目に止まったのがコインランドリー投資だった。いくつかの業者に資料を請求して、セミナーに参加するなど情報収集を開始。投資家仲間でコインランドリーを開業した人がいたので情報交換も行った。「比較検討した結果、業界大手A社とのフランチャイズ契約を締結することにしました」と語る。

「他の業者は設備やリースに関する提案どまりだったのですが、ここは出店場所選びから具体的な提案してくれたので契約することにしました」

 業者から提案された、出店候補の中から一番立地が良い店舗を選択した諏訪さん。順調なはずの契約に何が起きたのか……?

◆コインランドリー開業費用の相場は2000万円

 業者が見積もった当初の開業費用は約2000万円超。主要な設備として乾燥機8台、洗濯機3台、洗濯乾燥機3台が計上されていた。「コインランドリーの開業費用としては相場程度」(諏訪さん)だという。しかし、個人にとって2000万円は大金であり、初めての分野への投資は慎重になるべきところ。そこで、諏訪さんは成功率を高めるために一計を案じた。

「彼らが提出したシミュレーションは“甘い”と感じたので、自分でも独自にシミュレートしました。その結果を材料に本部と価格交渉をしたのです」

「さらに“堅い”事業展開を目指していた」という諏訪さんは、新品を導入する予定だった設備の一部を程度の良い中古と入れ替えることに。本部と粘り強い交渉を続けた結果、最終的に400万円のコストダウンを引き出した。

 開業にあたり自己資金としてアパート売却で得た400万円を用意、残りは業者とリース契約を結んだ。コインランドリーオーナーのなかには、政策金融公庫からフルローンで全額融資を受けて開業する人もいる。自身の状況を踏まえたうえで、諏訪さんは他のオーナーの経営状況をこう推測する。

「開業費用をコストダウンして、ある程度自己資金を入れている私でも、赤字が続いて厳しい経営となっています。全額借り入れで開業したオーナーのなかには毎月の返済がかなり辛い状況の人もいるのではないでしょうか」

◆話と違う!予想売上3割減&予想経費4割増

 開業前、「最新の設備を揃えた広い店舗で開業すれば近隣の競合を圧倒できる!」という説明を業者から受けていた諏訪さん。しかし、実際にオープンしてみると期待は裏切られ、周辺店舗から客を奪うまでには至らなかった。

「よく考えれば、洗濯機や乾燥機が最新で多少性能が良いとしても、旧型と圧倒的な差がつくわけでもありません。いわば、どんぐりの背比べです。わざわざ今まで利用していた店舗から乗り換える理由にはならなかったのでしょう。結局は立地が物を言う商売ということです」