5月15日、味の素ナショナルトレーニングセンターで、全日本男子バレーボールチームの始動記者会見と公開練習が行なわれた。

 初選出となった東レアローズの藤井直伸らフレッシュな顔ぶれが並ぶ中、エースとして活躍が期待される柳田将洋は、「今年で代表4年目になりますが、チームも新しい体制になっている中で、自分の色が出せればいいなと思っています」と気を引き締めていた。


新たな船出を切った全日本チームの記者会見で抱負を述べる柳田 個人としては、今年4月にプロ転向と海外リーグ挑戦を発表。そんな柳田に、全日本チームの今後や、バレーボール人生の転機を迎えた現在の状況について直撃した。

***

――若返った全日本チームにおいて、プレー以外での自身の役割についてはどう考えていますか?

「積極的に声をかけていくことが重要だと思います。コミュニケーションを取りながら、チームの土台やいい雰囲気を作って、目標をしっかり定めていきたいです」

――フィリップ・ブラン監督代行の指導の印象は?

「新体制での練習が始まったばかりですから、『(他の監督と)あれもこれも違っておもしろい』という段階ではありません。でも、ブランは選手時代も指導者としても国外のチームで活動した経験があるからか、アクションや指示の細かさは言語が違っても理解しやすい。これから、彼が持っている引き出しをさらに見せてくれると思うので、それに対応していきたいです」

――現在、監督が不在なことに関してはどう感じていますか?

「それは、人によっていろんな意見があると思いますけど、僕らがやることは『バレーボールをすること』なので惑わされないようにしてきました。実際に、集まった選手たちは次の目標に向かって進んでいますし、周囲の声を気にする人はいません」

――昨年のリオデジャネイロ五輪の出場を逃し、再出発となる全日本男子。今後、飛躍するためには何が必要でしょうか。

「すごく大まかな答えになりますが、海外勢と試合を重ねていくことですかね。チームが若くなっているので、僕も含めて課題がたくさん見つかると思います。それらを個人でもチームでもクリアしていきたい。高さとパワーだけで圧倒できるようなメンバーじゃないですから、それをしっかり意識しながらステップアップしたいと思います」

――柳田選手がこれまでの国際試合で感じたことは?

「海外の選手に比べると、やはり僕の身長(186cm)は小さくて、国内での試合とは違う戦い方を強いられる場面も多いんです。(新しく全日本に選ばれた選手たちは)カテゴリー別の代表でプレー経験がある選手もいますけど、シニアはまた違うので、これから僕が直面した課題にぶつかるでしょうね。でも、その階段を上ることが成長につながると思うし、それの積み重ねかなと思います」

――さらなる成長へ、柳田選手も新たな環境に身を投じる決意をしたわけですが、その経緯について教えてください。

「今までの環境にも特に不満はなかったんですけど、さらにバレーボールに集中できる環境に身を置きたいという想いがあって。『プロになりたい』という気持ちも大きくなっていたので、プロ転向と海外挑戦をする決断をチームに伝え、4月に発表させていただきました」

――ヨーロッパのチームを探しているとお聞きしましたが、現在はどういう状態ですか?

「少し前から、エージェントなど関係者の方にお願いして、チームを探してもらっています。サポートしてくれる企業などを含め、決まり次第報告します」

――プロとして海外に挑戦することを決めたことについては、石川祐希選手(2014年冬にセリエAのモデナ、2016年冬にセリエAのラティーナに短期留学)の影響もあったのでしょうか。

「全日本で一緒に戦ってきた石川選手が海を渡って、セリエAでプレーする姿は刺激になりました。僕自身も、代表の海外遠征で試合をするうちに『こういった経験をもっと積んでいきたい』という気持ちが積み重なっていましたし、彼の存在は決断に大きく影響しましたね」

――それでも、「サントリーの社員」という地位を手放すことは、とても勇気がいることだと思うのですが。

「サントリーがすごくいい会社だというのは身に染みて感じていました。まだ2年目なのに、安定して生活が送れるだけの給料もいただいていましたし。でも、今は社員を辞めることで『収入がなくなるからどうしよう』という不安はありません。『今からプロでやっていくんだ』という気持ちのほうが大きいです」

――プロになることに対して、まったく迷いはなかったのでしょうか。

「一歩踏み出す覚悟をするまでは、時間はかかりましたね。サントリーで酒井(大祐・2006年にJTサンダースとプロ契約。チームが優勝した2014-15年シーズン終了後に契約を切られ、サントリーに移籍)さんといろんな話をさせてもらって、プロは甘いものじゃないということも分かっていましたから。

社員のまま海外に挑戦するという道もあったかもしれません。でも、海外でプレーすることだけが目的ではなく、『プロになりたい』という想いもやはり強かったので、そこは同時進行という形になりました」

――柳田選手が理想とする「プロ選手」とは?

「『プロのバレーボール選手』が、やりがいのある仕事だとイメージできたのは、やっぱり酒井さんがいたからです。プロって、メディアに出るとか、すごい人気があるというイメージもありますよね。決して、酒井さんがそうじゃないとは言わないですけど(笑)、プロとして『バレーボール一筋』な生き様を見せてもらった。その背中を見てきた身として、僕もああいう人のようになれたらなと思います」

バレーボール記事一覧はこちら>>