[Jステーション-広島ホームテレビ]2017年5月10日放送の広島HOMEテレビ「Jステーション」で、尾道の猫に関する話題が紹介されました。

尾道の街並み(hoshner sigmaniaxさん撮影、flickrより)

尾道市立美術館では、3月からGWまで「猫まみれ展」が開かれました。およそ2万6000人が訪れた展覧会。美術館のツイッターでは、近所のネコ「ケンちゃん」と警備員がくりひろげる「攻防戦」も話題になりました。そんな、記録的な反響を呼んだ「猫まみれ展」ですが、会場には尾道の抱える「課題」として、不妊去勢手術や、地域猫活動について書いたパネルが設置されていました。

県は「地域猫」を推奨している

尾道市立美術館の島谷館長は、「入館者の8割から9割ぐらいの方がたぶんネコファン。そのネコファンの方たちに、そういう啓蒙活動もしようということ」と、パネルを置いたねらいを言われていました。ネコによる糞尿被害や、庭や花壇を荒らされるなどのトラブル、車のキズや鳴き声の問題など、尾道でも例外ではありません。

地元の「猫祭り」を手掛ける尾道イーハトーブの園山さんは、「エサのやり方ひとつとっても、(観光客が)雨の日も雪の日も来てくれればいいが、来ないときがある。するとネコは何をするかというと、おなかがすくと誰かの家に、知らない所に行って悪さをする」と言います。

飼い主のいない野良猫について、県は「地域猫活動」のガイドラインを定めました。地域が主体となって野良猫の不妊去勢手術を行い、エサや糞の処理などを地域で管理していく活動です。県はトラブルを減らすと共に、不幸な野良猫の数を減らせるとして、認定した活動については不妊手術の費用を負担するとしています。しかし尾道で認定された地域猫活動は、1件しかありません。

園山さんは「地域で(ネコが)好きな方も嫌いな方もいる。地域でそれぞれが話し合ってやっていく以外ない。うまくいっていたと思っても、うまくいっていないときもある」と言います。

地域猫活動を行うのは、自治会や、町内会単位。つまり住民全員の合意が必要なのです。しかしネコが好きな人ばかりとは限らず、困難なのが現状です。

「これは解決はなかなかできないが、とりあえず考えて、少しでも(解決に)近付いて、ネコのためにも人のためにもなるようにしようと今やり始めている」と園山さん。

尾道イーハトーブでは、人とネコの関わりについて、専門家を交え、地域住民と共に考える活動に取り組むことにしているそうです。

どこの地域でも問題になっているネコ問題。ネコだけでなく様々な動物との共生を、他人事でなく考えさせられるニュースでした。(ライター・石田こよみ)