知られざる女子日本代表〜Beautiful woman(7)

「アイスホッケーのスピードと迫力に夢中です。攻守の展開が速くて、ゴール裏の攻防とか、時速100kmを超えるパックがゴールに入る瞬間とか、とにかく面白いので、ぜひ試合を見に来てください」

 そう話すのは、アイスホッケー女子日本代表”スマイルジャパン”のフォワード足立友里恵(32歳)だ。


平昌五輪出場の一番乗りを果たした

 本シリーズは「知られざる女子日本代表」というサブタイトルでもわかるように、どちらかというと世間的にはマイナーな種目の選手にスポットを当てる趣旨なのだが、女子アイスホッケーは、最近すっかりメジャーになってしまった。その理由は、今年2月に北海道・苫小牧市で行なわれたオリンピック最終予選でオーストリア、フランス、ドイツを相手に3戦全勝で終え、見事に2大会連続3回目のオリンピック出場を決めたからだ。これは全競技を通じて、2018年・平昌五輪の出場決定第1号ということで大きく報道され、スマイルジャパンの存在を広く知らしめた。

 女子アイスホッケーは、男子と違いボディチェック(体当たり)は禁止されている。それでも”氷上の格闘技”といわれる激しいパックの取り合いなので、ボディコンタクトが完全になくなるものではない。そんなアイスホッケーに北海道札幌市出身の足立が出会ったのは、小学校2年生の時。先にアイスホッケーを始めた兄のリンクへの送迎に同行するうちに、自分もやってみたくなり、のめり込んだ。

 彼女が日本代表強化選手に選出されたのは2003年。当時はまだ高校2年生で、札幌市内のクラブチームに所属していた。その後、早稲田大学スポーツ科学部に進学して拠点を東京に移し、SEIBUプリンセスラビッツに移籍。チームの中心選手として活躍しながら、2007年からは日本代表に選ばれ続けている。


女子競技のなかでも指折りの激しさ

 ただ、スマイルジャパンも少し前までは本当に”知られざる女子日本代表”という状態だった。日本代表選手が7人もいるSEIBUプリンセスラビッツにしても、日本屈指の強豪ではあるが、けっして恵まれた環境というわけではない。

「SEIBUプリンセスラビッツは、自分たちでチーム作りをしています。監督から与えられたことをやるのではなく、自分たちで考えてチームビルディングしたり、地域活動をしたり。でもそれがチーム力につながっていると思います」

 足立たちの氷上練習は、21時以降に始まることも多い。選手それぞれの仕事や日常生活の後で練習がスタートするからだ。スケートリンクを貸し切りにできる時間も限られているので、短い時間に集中して練習を行なう。足立自身も平日の仕事(株式会社プリンスホテル)が終わってからいったん帰宅し、その後練習へ。再び自宅に帰る頃には日付が変わることもたびたびある。

 そんなハードな毎日を支えるのは、ソチで味わった悔しさだという。

「2014年のソチオリンピックでは1勝もできず、とても悔しい思いをしました。でもそれが特別な経験になり、モチベーションが上がり、それからはオリンピックでメダルを取ることを目標にフィジカルの強化に力を入れてきました」

 世界の壁にはね返されたソチでの苦い体験を教訓にして、体の大きい外国選手と戦うために、チーム全員が激しい運動量に対応できる持久力を強化してきた。

「日本チームは海外の選手より体が小さいけれど、スピードが持ち味なので、どんどん足を動かして日本のホッケーをしていきたい。私自身はサイズがないぶん(身長156cm)、ハードワークする選手です。ポジションはフォワードですが、攻守にわたりたくさん動いて、パックをつないでいくのが持ち味です」


平昌五輪ではメダルを狙うチームの要に

 現在の女子日本代表は、圧倒的な強豪国であるアメリカ、カナダ。そして、フィンランド、ロシア、スウェーデン、スイスに次いで世界ランキング7位につけている。これまでの実績だけを考えれば、五輪でのメダル獲得はそれほど簡単なことではない。しかし、足立は前向きにこう話す。

「アイスホッケーはチームスポーツなので、1+1が2以上になることがあり、チームワークが勝敗を左右することもあります。そこが楽しいんです。2月の予選大会では、オーストリア、フランス、ドイツに余裕をもって勝つことができました。個人としてはもっとできたはずだと思っていますが、チームとしてかなりレベルアップしていることを実感できた大会になりました。日本代表はぐいぐい引っ張ってくれる山中武司監督のもと、選手の仲もよく、まとまりのあるいいチームになっています。2018年の平昌五輪ではメダルを目指していますので、ぜひ注目、応援してください!」

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