稀勢の里は『北斗の拳』のラオウを化粧まわしに選んだ

写真拡大

 大相撲で十両以上の力士が土俵入りの際に締める化粧まわし。後援会やスポンサーから贈呈されるのが一般的で、横綱の場合は横綱、露払い、太刀持ち用の3本1組が用意される。

 5月6日、都内で開かれた稀勢の里の横綱昇進披露宴では、漫画『北斗の拳』をテーマにしたものなど4組が贈られた。『北斗の拳』の中で孤高の男ラオウを選んだ稀勢の里。太刀持ちがケンシロウ、露払いがトキを身につける。

「化粧まわしの工房は全国に数か所しかなく、注文は三越がほぼ一手に引き受けています」(協会関係者)。

 日本橋三越の呉服特選サロンに問い合わせると、

「図案起こしから始まり、企業ロゴやキャラクターを使う場合は各方面の許可を取る。相撲協会のチェックもあり、納品まで半年から1年です」

 まわしの生地は幅68cm、長さ7〜8m。これを6つ折りにして腰に巻く。刺繍が施されるのは前に垂らす先端1mの部分だ。数少ない刺繍職人のひとり、服部刺繍店の二代目・服部元明氏はこう語る。

「図案を忠実に再現するために京都から取り寄せた絹糸を納得するまで自分で染め、20色以上の糸で文字や絵柄に立体感を持たせながら一針一針刺していく。文字が縫えるようになるまで最低10年かかる」

 図案は「縁起物(宝船や龍、手をつかない動物)」、「文字(好きな漢字)」、「出身校や国」、「四股名(漢字や連想する挿絵)」、「スポンサー(企業ロゴなど)」が主なパターン。「土俵は女人禁制のため女性のデザインはNG」(協会関係者)だという。

 気になる値段は「1枚100万〜300万円。横綱用の三つ揃いだと、1000万円以上」(後援会関係者)。中には20本以上持つ力士もおり、所有数が人気のバロメーターだという。

撮影■山崎力夫

※週刊ポスト2017年5月26日号