日本ハム・大田泰示【写真:田口有史】

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コーチの言葉も後押し、特大3ランに自身も「ビックリ」

 日本ハムの大田泰示外野手が19日、本拠地でのオリックス戦でシーズン自己最多となる5号3ランを放った。

 広い札幌ドームのバックスクリーン右へ飛び込む特大の一発が飛び出したのは3点リードで迎えた3回無死一、二塁の場面。考えていたことはシンプルだった。

「流れを止めてしまうので、とにかくゲッツーだけにはならないようにと」。最低でも走者を進めるため、イメージしたのは右方向への外野フライ。「インコースは難しいので、割り切っていきました」。

 金子誠打撃コーチの一言も後押しになった。「誠さんにも“そういう気持ちで行って来い”と言われたので、気持ち的に楽に、自分のスイングができました」

1シーズンの自己最多本塁打更新も数字気にせず、意識するのは「強いスイング」

 1ボールの後、145キロ外角直球を真芯でとらえた打球は高々と上がった。「センターフライかなという感じだったのでビックリしました」と本人も驚く本塁打。

「しっかり踏み込めて振れた。自分的にすごく大きいす。右手で押し込んだというより、ポイントで振り切れて、ヘッドが効いた」と納得顔で振り返った。

 昨季62試合出場して記録したシーズン4本塁打を今季は出場19試合目で軽々と超えた。ここ6試合で4本塁打を放ち、量産態勢に入ったように見える。だが、今の大田は数字にはとらわれない。

「まだまだシーズンは続くので。自分の強いスイングがやっていくことが今の段階では大事。追い込まれるまでは強い打球を飛ばせるところを狙って、追い込まれたら粘れるようにと取り組んでいます。前もそういう気持ちでやっていましたが、結果が出ずに小さくなっていった。今はいい結果が出ても悪い結果が出ても、すんなり打席に入れることが大きいですね」

 お立ち台で本塁打をどのくらい打つか問われると「たくさんです!」と即答して大歓声を浴びた。未完の大器と言われたスラッガーは、北の大地で確実に進化を遂げている。

石川加奈子●文 text by Kanako Ishikawa