『亀田興毅に勝ったら1000万円』に出場した4人を呼びスペシャル番組が放映されることになったが、本物の世界戦にぶつけるスケジュールになった

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いよいよ20、21日と2日間で5試合の世界戦が組まれるという異例のビッグイベント『ボクシングフェス2017 SUPER 2 DAYS』が有明コロシアムで始まる。注目は、ロンドン五輪の金メダリスト、村田諒太(帝拳)の世界初挑戦となるWBA世界ミドル級王座決定戦だろうが、2日目の21日に組まれたWBO世界Sフライ級王者、井上尚弥(大橋)の5度目の防衛戦、IBF世界ライトフライ級王者、八重樫東(大橋)の暫定王者とのタイトル統一戦も目が離せないファイトだ。
 だが、その21日のダブル世界戦に合わせて、無料のインターネットTV「AbemaTV」の「亀田興毅に勝ったら1000万円 裏側全告白スペシャル」という番組が、ぶつけられることになった。

 井上尚、八重樫のダブル世界戦は午後7時からフジ系列で20時54分まで(延長あり)放映されるが、この『亀田興毅に勝ったら1000万円 裏側全告白スペシャル』は20時から22時まで。モロにかぶるのである。

「亀田興毅に勝ったら1000万円」という番組は開局1周年記念企画として5月7日に5時間の生放送で行われたもの。視聴数は1420万でサーバーがダウン、「YouTube」「Twitter」「Facebook」でも同時配信され「AbemaTV」以外のメディアでの同時配信の視聴数も1170万に及び、すべてが過去最高の驚異的な数字を記録した。テレビでは難しいコンテンツを打ち出すことでテレビ業界にも衝撃を与えた。

 2000人を超える応募者から選んだホストクラブ経営者、ユーチューバー、高校教師、元総長という個性豊かな4人が、3分3ラウンドのボクシングルールで元3階級王者の亀田氏と真剣勝負をするもので、1年半のブランクと体重のハンディがある亀田氏が彼らをKOしていくさまは大反響を呼んだ。
 亀田氏は、様々なリスクを承知で、この企画を受けいれた理由のひとつに「驚くようなことをやって、みんながよりボクシングに注目してくれればいい。ボクシングの素晴らしさを伝えたかった」と語っていた。
 
 “ボクシング界の発展のために”というわけである。

 なのに、今回、日本のボクシング界全体が注目しているビッグイベントの2日目に、その番組がぶつけられることになった。視聴者を奪うわけだから「ボクシング界のため」の言葉とは明らかに矛盾している。

 ただ放映スケジュールを決めるのは、あくまでも局側で、亀田側の名誉のためにも、決して亀田側がコントロールできる問題ではなかったことをハッキリと記しておかねばならないだろう。だが局側が、亀田氏が、この番組に参加した意図を汲み取るならば、いくら高視聴が再び稼げそうな優良コンテンツだと言っても、本物の世界戦と、重なるような放送スケジュールには配慮しなければならなかっただろう。
  

 それらを踏まえてAbemaTV側に、文書で以下の質問を投げかけた。

(1) この裏側全告白スペシャルの番組が決まった経緯を教えてください。

(2) 試合に対する疑問(ヘッドギアやグローブの違いなど) にも答えますか?

(3) 当日、同じ時間帯で、ボクシングの世界戦がありますが、なぜ 同じ時間帯に放送するのですか?

(4) (3) の質問に関連してボクシングの魅力を広げたいという目的で、亀田氏が、この企画に参加したのならば、世界戦にこの番組をぶつけることは意図と矛盾しませんか?

 これに対するAbemaTV側の返答は、以下のようなものだった。

「先日5月7日(日)に生放送した『亀田興毅に勝ったら1000万円』が非常に多くの反響をいただいたため、試合の様子から生放送ではご紹介できなかった裏側の映像まで改めて特別番組としてお届けしたいと考え、今回の放送を決定いたしました。 また、番組内では試合に対する疑問(ヘッドギアやグローブなど含む)についてもお話させていただく予定です。
 ご指摘の放送日時に関しましては、番組側で協議しこのように決定いたしました。 なお、「AbemaTV」の新機能「Abemaビデオ」にて、放送後にも同番組を、6月7日(水)まで無料でご覧いただけます」

 この局側の返答は、答えになっていないが、言いたかったことを推測するならば、この番組は、録画でも見れるので、ライブで井上尚、八重樫の世界戦の方を見てもらった後に、この番組を見てください、何も世界戦を邪魔したわけではありません、ということなのだろうか。

 この試合(エンタメを試合と呼ぶのも変だが)では、いくつかの疑惑をネット上で指摘されていた。亀田氏と挑戦者で使用したヘッドギアとグローブが違っていたのではないか、という疑念だ。ヘッドギアは、フルフェイスでない限り、ダメージはそう変わらないので疑惑ではないだろうが、グローブについては、オンス数は同じだったが、亀田氏の使用したのはウイニングのメキシコタイプで、挑戦者が使用したのはウイニングのソフトタイプ。タイプが違っていた。挑戦者側のものはプロテストで使われるナックルが利かないもの。告白番組では、これらの疑惑にも亀田氏が答えるらしいので注目だが、こういう疑念をネット上で騒がせた時点で、ボクシング界のためにはなったとは言えないかもしれない。

 どうあがいても、ショーとしてのエンターテイメントは、本物のスポーツのダイナミズムと感動には勝てないとは思うが、当日の視聴数で、亀田氏の裏側全告白スペシャルが本物の世界戦に勝ったりすれば、それはそれで問題意識を持たねばならないのかもしれないが。

 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)