村田(右)はエンダム(左から2人目)の要求した広いリングで世界戦に挑む(撮影・山田俊介)

写真拡大 (全3枚)

 プロボクシング・トリプル世界戦(20日、東京・有明コロシアム)トリプル世界戦の前日計量が19日、東京都内で行われ、WBA世界ミドル級2位の村田諒太(31)=帝拳、同級1位のアッサン・エンダム(33)=フランス=はともにリミットを200グラム下回る72・3キロで一発パスした。

 日本選手初となる金メダリストからの世界王者へ。大一番が迫っても冷静だった。計量を一発でクリアした村田は、カメラマンの求めに応じてエンダムと15秒間にらみ合うと、最後は自ら握手を求めた。もう、腹をくくっている。

 「計量は試合前に最低限、越えないといけない壁。ボクサーとしての仕事もできた。改めて、いい試合になる気がする」

 国内で25年ぶりのミドル級の世界戦で、村田は相手の土俵ならぬ“リング”で闘う。「リングの一辺を7メートル以上にしてほしい」と相手陣営が交渉の詰めの段階で要求。村田、比嘉、拳四朗が闘うトリプル世界戦の契約書に明記させた。ルールではロープ内側の一辺が5・5〜7・3メートル。最大級のサイズを要求した裏には、フットワークを駆使するエンダムのしたたかな作戦がある。

 一般的に、好戦的な選手は相手との距離が広がらない小さなリング、アウトボクサーは足を使える広いリングが有利とされる。ファイターの村田にとって不利なリングだが、徹底してプレスをかける練習を重ね、「そんな展開になるのは分かっている。全力を尽くす」。全身全霊で前進し、エンダムをロープに追い詰めて右ストレート、左ボディーを浴びせる戦術だ。

 1904年のセントルイス五輪でボクシングが採用されてから、ミドル級金メダリストが、プロの同級で世界王者になっていない。「けっこうビビリで、試合になったら開き直るタイプだけど、今回は落ち着いている」。覚悟はできている。強打の右で、強敵も、113年の“ジンクス”も、打ち破るだけだ。 (伊藤隆)