右から霧亥役の櫻井孝宏さんと、捨造役の宮野真守さん/©弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

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SF漫画の金字塔と言われる弐瓶勉さんのデビュー作「BLAME!」。それを映像化した劇場アニメが5月20日(土)から2週間限定で公開されます。「アフタヌーン」の連載開始から20年、困難と言われてきた完全映像化に「シドニアの騎士」のスタッフたちが再集結。独自の世界観や壮大なスケール感を3DCGで描き出しています。

原作を再構成した完全新作ストーリーだけに、キャストによる役作りも気になるところ。主人公・霧亥(キリィ)役の櫻井孝宏さん、捨造(すてぞう)役の宮野真守さんに、声を先に収録する“プレスコ”で何を手がかりに役を捉えたのか、じっくりと伺いました。後半には、2人の賑やかなパーソナルトークも!

――「シドニアの騎士」の劇中劇をきっかけに制作された本作。最初に、設定やビジュアルを見た時の印象はいかがでしたか?

櫻井:劇中劇は1分くらいの短いもので、セリフというよりリアクションがメインでしたが、収録させていただく時に原作にも触れて、“ザ・SF”だなと。いい意味で今っぽくないというか、クラシカルというか。日本人ならではの世界観も印象に残りました。

宮野:僕はオーディションで初めて作品に触れた時に、世界観の奥深さを物語るようなたくさんの資料をいただいて。その中でどんなお芝居ができるのか、すごく考えながらオーディションにのぞんだことを覚えています。

――櫻井さんが仰る、日本人ならではの世界観とは?

櫻井:キャラクターの名前が、シボとかづるとか。日本は“ちょんまげ”とかの時代から進化してきたわけじゃないですか。メカニカルな世界観の中にも、そういった流れが感じられるから、どこか生っぽさがあるというか、侘び寂びが感じられるというか。弐瓶先生の細かく緻密に書き込んでいく精神性も含めて、メイドインジャパンな感じがしました。

宮野:捨造がおやっさんに返事をする時のセリフも「へい!」だったりして。プレスコでは映像がなかったから、僕はずっと時代劇をやっているような感覚で(笑)。

――櫻井さんが演じる霧亥は、サイボーグ化された人間であり、ネットスフィアにアクセスするための“ネット端末遺伝子”を求めて巨大な階層都市を旅する探索者。思考を理解するのが難しそうなキャラクターですが、どんな風に役を捉えて演じられたのでしょうか。

櫻井:原作の知識が多少ありましたし、彼の言葉とか、台本にあるト書きから、おおよそのビジュアルをイメージしながら演じました。彼は「ネット端末遺伝子を持つ人間を探している」という言葉を繰り返し言うんですが、そこはブレないというか。極論で言えば、そこの意志だけを守っていけばいいなと思っていました。

――霧亥は、口数の少ないキャラクターでもありますね。

櫻井:台本上はもうちょっと長いセリフもあったんですよ。それを削ぎ落としていこうという監督からの提案があって。つらつらしゃべるよりもワードを並べるくらいのほうが、霧亥のキャラクター性が浮き彫りになるというか。そういったやりとりも、役を捉えていくヒントになりました。

――そして、宮野さんが演じる捨造は、霧亥が偶然出会った村の若頭。原作ではあまり多くは描かれていないキャラクターです。

宮野:立ち位置がはっきりしているキャラクターなので、それを元に監督と話しながら演じました。暗黒の世界の中、でもそこでしか生きることができない若者。その中で、恋心を抱くづるに対してどう接するか、突然現れた霧亥という異分子にどう接するか、リーダーとして自分たちが生きるためにどこに向かうのか…そういうことを考えながら役作りをしました。

――捨造は最初、霧亥を警戒していますよね。他の人たちは、早い段階で霧亥に頼っていくのですが。

宮野:そこは捨造の若さなんだと思います。生まれた時から村で育っているので、見たことがない存在に対して警戒心を持つだろうし、づるが霧亥に接する時の気持ちの矛先も気になっちゃうし。

櫻井:人としては正しいリアクションかもしれない。

――演技について、瀬下寛之監督から演出を受けることはありましたか?

櫻井:最初は「とにかくかっこよくお願いします」とざっくり。「霧亥があんまりしゃべってなくてすみません」とも仰っていましたが、「それはそれで取り組み方があります」と。収録の途中で「もっとセリフの色を消してください」というオーダーもありました。特に第一声は、「何年ぶりかにしゃべったようなニュアンスを」ということで、声がしわがれていてもいいし、出づらそうでもいいし、トライしてくださいと演出がありました。宮野くんも「捨造さんをお任せします!」っていう感じだったよね?

宮野:監督とは以前にも「亜人」という作品があったので。また別の世界観で、前作とは違うセッションを楽しんでいきましょうと、そういう感じのプレスコだったと思います。

――個人的に気になるキャラクターはいますか?

宮野:やっぱり霧亥! めちゃくちゃかっこ良すぎて、ズルいと思います(笑)。ずっと見ていたいほど引き込まれますよね。完成した映像を観たとき、あの少ない言葉数でキャラクターを成立させられるのって、すごいなと。それができるのは櫻井さんしかいないって思うくらい。

櫻井:いやいや。やめなさい(笑)。

宮野:感情が表に出ない霧亥のどこにポイントを置いて演じるのか、もし自分だったらすごくむずかしいと思いました。だからこそ、櫻井さんのセリフの説得力はすごいなと、あらためて感じて。やっぱり、霧亥の魅力はこの作品の肝になっているなと思います。

櫻井:自分が演じている云々は抜きにして、この人なら助けてくれるかもと思わせてくれるところもいいですよね。ちょっと怪しい人だし、口数が少ないから村の人たちとの会話が成立している感じでもないのに。

――たしかに霧亥は、いろいろと謎が多いのに愛されるべきキャラクターと言えそうです。そんな霧亥にちなんで、もしご自分がサイボーグ化するとしたら、どこを強化したいですか?

宮野:サイボーグ化するとしたら……まず腕を銃にしますよね。それから足をジェット噴射にして。で、(胸のところに手を当てて)ここがパカッて開いて、ミサイルがビゥーー!って出る。

櫻井:あ、胸のところからなんだ(笑)。

宮野:ロボットってそういうイメージ(笑)。とにかく武装したいです。

櫻井:やっぱり男の子的な発想でね。ガン!って殴ると地面がパカーンみたいな。

宮野:あっははは! もうサイボーグとか超えてる(笑)。

――では、霧亥のように旅をするとしたら、どんな相棒を連れて行きたいですか?

宮野:僕、櫻井さんがいいなぁ。

櫻井:そういうパターン? 俺は全然いいけど。たぶんしゃべらないよ〜(笑)。

宮野:いいと思う。まったりゆったり過ごしたいし、気兼ねなく楽しくすごせそう。櫻井さんってこう見えて、僕の面倒をちょいちょい見てくれると思うんですよ(笑)。ここがいいと思うよ、とかプランニングしてくれたりして。

櫻井 ここでお蕎麦食べようよ、とか?

宮野 そうそう! 絶対やってくれると思うんだよ! だから僕は思いっきり甘えたいなと。

櫻井 男旅いいですね。国内の旅とか。

宮野 僕もう、すでに温泉入ってました(笑)。

劇場アニメ「BLAME!」は、5月20日(土)から全国の劇場で2週間限定で公開。一部劇場では、音響監督の岩浪美和さんが自ら調音したダイナミックな音響システム“東亜重音”や“ドルビーアトモス”で上映されます。【取材・文=吉田有希】