「早朝覚醒」と加齢の関係は? | 朝早く目覚めてしまうことの弊害

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「もっと眠っていたいのに、朝早く目が覚めてしまって眠れない」…。このような状態を、早朝覚醒といいます。望んでいないにも関わらず、朝早く目覚めてしまうことで日常生活に支障が出たり、つらく感じたりするようであれば、何らかの対策が必要です。そこで、早朝覚醒の原因や対策についてまとめました。

目次

早朝覚醒とは?早朝覚醒の原因は?早朝覚醒が与える身体や生活への影響早朝覚醒の予防と対策早朝覚醒の治療病院に行くなら何科?

早朝覚醒とは?

早朝覚醒とは?

早朝覚醒とは、朝早く目が覚めてしまい、もっと眠りたいと思っても眠れない状態を指します。1日を活動的に過ごすことができれば問題ありませんが、日中に強い眠気におそわれたり、夜、起きているのがつらかったりすることが続くようであれば、治療が必要です。
 
一般的には、以前より2時間以上も早く目が覚めてしまい、そのあと眠れず、生活に支障が出ている状態が3カ月以上続く場合は「不眠症」と診断されます。不眠症は「睡眠障害」の一つで、その症状として、早朝覚醒のほか、寝床に入ってから寝つくまでに1時間以上かかる「入眠障害」、朝までに2回以上目が覚めてなかなか眠れなくなる「中途覚醒」、眠りが浅く熟睡感の得られない「熟眠障害」があります。

40代以上の半数以上が、中途または早朝覚醒で悩んでいる?
 
製薬会社のMSD株式会社が、40代から70代の男女8,000人を対象にした『中高年の不眠に関する意識と実態調査(2015年3月発表)』では、40代以上の55%に中途・早朝覚醒の自覚症状があることがわかりました。また、18.1%の人が「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」の3つの症状があると答えています。

早朝覚醒の原因は?

早朝覚醒の原因は?

早朝覚醒は、以下のように、いくつかの原因が考えられます。

加齢による早朝覚醒

私たちの身体には、「夜になったら眠る」という仕組みが備わっています。これを体内時計と呼びますが、加齢とともに体内時計の“針”は進行しやすくなります。そのため、高齢者には就寝時刻が早く、朝早く目覚める人が多く見られます。このように、加齢にともなって睡眠の質は変化し、睡眠に必要な時間も少なくなるため、若いころのように眠れないのは当然のこと。60歳以上になれば、6時間以上眠れる人のほうがめずらしいほどです。若いころと同じく、「8時間眠らなければならない」と思い込んで無理に眠ろうとすると、かえって不眠を悪くすることになります。また、女性よりも男性の方が、加齢によって朝型になりやすいことがわかっています。

薬の副作用による早朝覚醒

薬によっては、副作用として不眠があらわれるものがあります。
 
代表的なものとして、

パーキンソン病治療薬降圧剤ステロイド剤

 

などがあげられます。薬の服用を始めてから不眠に悩まされている場合、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。

うつ病など心の病による早朝覚醒

早朝覚醒をふくむ睡眠の質の低下は、心の病の症状としてあらわれることがあります。とくに、「眠っても疲れがとれない」「気持ちにはりが出ない」「物事への関心が薄れる」などに心当たりがある場合、うつ病の可能性があります。うつ病患者の9割以上が、何らかの不眠症状を自覚しているほど、うつ病と不眠の関連性は強いです。なかでも、悩みとして多いのが早朝覚醒です。そのほか、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や統合失調症などでも、不眠の症状があらわれることがあります。

うつ病と不眠は原因が同じ

うつ病は、モノアミンという脳内の物質の不足が原因と考えられています。睡眠と覚醒の制御にも、この物質が重要な働きをしているため、うつ病の人は睡眠障害を併発することが多いといいます。

うつ病が改善しても不眠が残る場合も

うつ病が改善しても、全体の1/3は何らかの症状が残ると言われており、その多くが不眠です。さらに、不眠が残った場合はうつ病の再発率が高いことがわかっているため、うつ病が改善の報告に向かっても、不眠の治療を継続して受けることが大切です。

女性ホルモンのバランス

黄体ホルモンのプロゲステロンが、睡眠を浅くすることがあります。そのため、女性ホルモンのバランスが変化する生理前や妊娠中、更年期などは、不眠の症状が現れたり、日中の眠気が生じやすくなったりすることがあります。

更年期障害で不眠も

更年期障害では、ほてりや発汗などで睡眠がさまたげられることが多く、約半数の人が不眠に悩むといわれています。更年期障害にともなう不眠に治療効果のある薬剤がありますから、悩んでいる場合は医師に相談しましょう。処方された睡眠薬を服用しても不眠症状が続く場合には、精神科や心療内科、睡眠専門医などに相談してみるのも一つの方法です。

早朝覚醒が与える身体や生活への影響

早朝覚醒が与える身体や生活への影響

睡眠には、心身の疲労を回復する働きがあります。そのため、睡眠不足や睡眠の質の低下は、身体や精神状態にさまざまな影響をおよぼす可能性があります。

生活習慣病の引き金に

睡眠不足が続いたり、睡眠の質が悪化したりすると、生活習慣病になる危険性が高くなることがわかっています。逆に、睡眠不足や不眠を解決すれば、生活習慣病を予防できます。

身体や心の不調に直結

睡眠による休息感が得られない場合、うつ病になる可能性が高まるほか、頭痛やその他の身体の痛み、消化器系の不調などがあらわれることがわかっています。

睡眠不足が事故につながることも

早朝覚醒などで睡眠不足になると、日中、眠気におそわれてヒューマンエラーを引き起こし、事故につながることがあります。そのため、自動車の運転や機械などの操作をする仕事をしている人は、とくに注意が必要です。また、眠っても疲れが取れていないと感じるケースでは、日中に注意力や集中力、意欲が低下することがわかっています。

早朝覚醒の予防と対策

早朝覚醒の予防と対策

早朝覚醒の予防と対策は、大きく「起きてから」と「眠る前」に分けられます。

起きてから気をつけること

体内時計は周期が24時間よりも少し長いため、毎朝、朝日を浴びて体内時計をリセットすることが理想的です。しかし、早朝覚醒で悩んでいる人の場合、これが逆効果になってしまうことがあります。

午前中は光を避ける

加齢による早朝覚醒の改善には、午前中の光をできるだけ避けることが効果的です。朝早くに光を浴びると体内時計が前倒しになり、さらに症状が悪化するためです。起きてからも雨戸やカーテンは閉めたままにする、午前中はできるだけ部屋の中で過ごす、屋外に出る場合は濃い色のサングラスをかけるなど、できるだけ目に光が入らないよう工夫しましょう。

雨戸やカーテンを閉める
 
朝の光を避けるため、眠る前に雨戸やカーテンをしっかり閉めておくのを忘れずに。

日中はできるだけ日を浴びる

午前中とは逆に、午後から夕方にかけては積極的に日に当たるようにしましょう。体内時計の進みを遅らせ、眠気がくる時刻を遅らせて早朝覚醒を予防できます。

規則正しい生活と適度な運動

生活のリズムが乱れていると、睡眠に悪い影響を及ぼします。起床・就寝時刻と食事の時刻を決めて規則正しく生活し、「しっかり食べ、しっかり動く」ことが快眠の基本です。栄養のバランスを心がけた食生活と適度な運動を習慣づけることで、スムーズな入眠をうながし、睡眠の質を上げることができます。

安眠グッズやサプリメントも効果的

不眠に対する不安や恐怖で目が覚めてしまい、睡眠がさまたげられてしまうことがあります。そんなとき、安眠グッズやサプリメントなど、自分で効果があると信じたものを使うことで改善につながる場合があります。安眠グッズやサプリメント以外にも、それを使って不安がやわらぎ、スムーズに眠りにつくことができるのであれば、活用してみるのもひとつの改善方法です。
 
快眠のための環境づくりに関しては、下記の記事も参考にしてみてください。

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一人暮らしのインテリアは、快眠できる部屋作り・寝具にこだわってみよう!

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大人なのでカネの力で睡眠改善を試みる

→ぐっすり眠れる睡眠環境づくりのヒント

睡眠の質を高めるストレッチ

睡眠の質を高めて早朝覚醒を予防するためには、眠る前のストレッチもおすすめです。副交感神経を優位にしてリラックスさせ、スムーズな入眠をうながす効果があります。

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寝る前ストレッチが自律神経を正常化!睡眠の質UPの夜ケア

→副交感神経を優位にするためのストレッチと寝る前のケア方法

眠る前のNG習慣

眠る前の習慣が、安眠をさまたげていることがあります。睡眠の質を低下させないため、次のことに注意しましょう。

寝酒は我慢するか、できるだけ少量にとどめる。夕食以降は、カフェインの多いコーヒーや紅茶などをひかえる。空腹で眠れないときは、ミルクなど消化のいいものをとる。

早朝覚醒の治療

早朝覚醒の治療

早朝覚醒の治療は、不眠の状況やほかの病気の有無、日常生活などを明確にした上で、原因を究明し、その原因の除去あるいは軽減に努めます。睡眠薬による治療だけでなく、あわせて生活指導を受けることも大切です。

早朝覚醒の薬剤治療

薬による治療の対象となるのは、週3回以上の不眠が4週間以上続き、そのために日中の眠気やだるさなどが明らかにある場合に限られます。代表的な睡眠薬には、次の3つのタイプがあります。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬

主に耐性や依存性、副作用が比較的軽減された「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」が使われています。この薬は、血中濃度の半減期(薬の効き目が服用後、最高値から半分になるまでの時間の長さ)の長さで分類され、早朝覚醒や熟眠障害には「中間作用型」が処方されます。

メラトニン受容体作動薬

メラトニンというホルモンには、自然な睡眠をうながし、睡眠と覚醒のリズムを整える作用があります。しかし、不眠症に対する効果は比較的小さく、限定的といえます。

漢方薬

漢方医学では、「気」の流れが滞って眠れない場合は気の流れをスムーズにし、イライラして眠れない人には気分を落ち着かせるなど、不眠になった原因を考えて、症状や体質に合わせた漢方薬が処方されます。漢方薬は睡眠を直接誘発するものではなく、不眠の原因を解消することで眠れるようにしていくのが特徴です。

薬剤療法の注意点

一般的に、睡眠薬は作用の弱いものから使い始めます。服用を続けることで血中の濃度が安定していき、効果があらわれます。まずは1週間、用法用量を守って服用を続け、様子を見てみましょう。症状によっては、睡眠薬の作用時間が異なるものを併用する場合もありますが、2種類までが上限とされています。

睡眠薬を使わない「高照度光療法」

高照度光(こうしょうどひかり)療法は、とても明るい光(2500ルクス以上)を一定時間浴びることで体内時計を整え、本来の睡眠リズムへと調整をする治療方法です。通常は入院して行われ、約2週間で効果があらわれてきます。

市販の睡眠改善薬は、一時的な不眠に使用

市販されている睡眠改善薬は、風邪やアレルギーの薬としてなじみのある「抗ヒスタミン剤」が含まれ、飲むと眠くなる副作用を利用したものです。一時的な不眠に使用するのは問題ありませんが、主成分であるジフェンヒドラミンは耐性や依存性が生じやすいので、常用はおすすめできません。また、酒類と一緒に服用すると血中濃度が急上昇して意識障害を起こすことがあるので、注意が必要です。

病院に行くなら何科へ?

病院に行くなら何科へ?

睡眠の質の低下は心身の健康に直結するため、早朝覚醒をはじめ、眠りに関する悩みが1カ月以上続いている場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。かかりつけ医に相談すれば、必要に応じて専門の病院を紹介してくれるはずです。

睡眠医療認定医のリスト

かかりつけ医などがいない場合、受診する病院を日本睡眠学会のホームページに掲載されている「睡眠医療認定医リスト」から選ぶのもひとつの方法です。
●日本睡眠学会
http://www.jssr.jp/data/list.html

効率のいい受診のために

受診では、医師による問診が行われます。眠る時刻や起きる時刻、仕事や家事など生活スタイルや日中の活動状況のほか、身体に痛みやかゆみなどの症状があれば、もらさず医師に伝えるようにしましょう。また、薬によって睡眠リズムが影響を受けることがあるので、事前に服用中の薬名を把握しておくことも忘れずに。調剤薬局で配られる「お薬手帳」に、必要事項を記入して持参するといいでしょう。

「睡眠日誌」をつけて持参するとベスト

受診の際、毎日の睡眠を記録した「睡眠日誌」があると、スムーズな問診や診断に役立ちます。床に入った時刻、眠りについた時刻、目を覚ました時刻、再び眠りについた時刻、眠りの状態のほか、日中の行動、昼寝や居眠りをした場合はそれも記録します。最低2週間以上は毎日続けて記録しましょう。

 

早朝覚醒などの不眠症は、薬物療法をきっかけに「ぐっすり眠れた」と安心できたり、自信がついたりすることで、眠ろうとするほど目がさえてしまう悪循環を断ち切ることができることがあります。早朝覚醒が原因で日常生活にまで支障をきたすような状態になった場合、早めに医師に相談してみることをおすすめします。

 

監修:監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『睡眠の病気 不眠症・睡眠時無呼吸・むずむす脚』総監修:内山真(別冊NHKきょうの健康)
『睡眠障害のなぞを解く「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで』桜井武(講談社)
厚生労働省健康局
 
健康づくりのための睡眠指針
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

 

全国健康保険協会
不眠症
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/huminshou2.pdf

 

厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ
「睡眠薬の適正な使⽤用と休薬のための診療療ガイドライン」
http://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf

 

東京医科大学病院薬剤部 お薬のしおり 不眠症と睡眠薬
http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/149.pdf

 

MSD株式会社 40代〜70代の男女8,000人に聞く 「中高年の不眠に関する意識と実態調査」調査結果概要
https://www.msd.co.jp/static/pdf/product_20150831.pdf

 

漢方のツムラ 悩み別漢方 不眠・不眠症
http://www.tsumura.co.jp/kampo/nayami/fumin01.html

photo:Getty Images

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