2018-1117
厚生労働省は2018年11月16日、2018年度(平成30年度、2018年4月1日から2019年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を公開した。その発表資料によれば2018年10月1日(9月末)時点の大学卒業者の就職内定率(就職希望者に対する就職内定者の割合)は77.0%となり、昨年同時期と比べ1.8%ポイントの増加(改善)が見られたことが明らかになった(【平成30年度大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)を公表します 大学生の就職内定率は77.0%と、調査開始以降同時期で過去最高】)。これは同時期におけるデータが取得可能な1996年3月末卒業者以降の記録の中では、2018年3月末卒業者が2017年9月末時点で計上した75.2%を超え、もっとも高い値となる。

過去最高の高値を計上


公表された調査結果によると、2018年10月1日時点で大学生の新卒者による就職内定率は77.0%となり、前年同期の75.2%と比べて1.8%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職内定状況が改善したことになる。


↑ 大卒予定者の就職内定率(2018年9月末時点と2017年同時期)

短期大学の就職内定率は大学や高等専門学校と比較して低めに出ることが多い。過去の就職内定率調査でもそのような動きが確認できる。それでも前年同期比ではプラス3.4%ポイントと大きな伸び幅を示しており、今回年度は短期大学生にもよい就職内定状況であることがうかがえる。

今回発表された10月1日時点における就職内定率は労働市場や景況感を反映する形で、前年よりもよい値が出る結果となっている。全体の77.0%は同じタイミングの時期の調査を始めた・公開値としてデータが取得可能な1996年3月末卒業者分以降、2017年9月末時点で計上された75.2%を超え、過去もっとも高い値となる。

↑ 就職内定率(大学・全体)(各年10月1日現在)
↑ 就職内定率(大学・全体)(各年10月1日現在)

高等専門学校は専門技術に特化し、企業側もその技術を頼りに求人を行うため、内定を出しやすい、囲い込みやすいのが、高就職内定率の主要因。企業側の「即戦力優遇主義」が多分に反映され、他の学校種類と比べて高い就職内定率が出る。今回もその実情が大いに反映される結果が出ている。

国公立と私立大学、男女別で確認


今回発表された就職内定率のうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職内定率(2018年9月末時点と2017年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職内定率(2018年9月末時点と2017年同時期)

今グラフで対象とした区分において、前年同期比で上昇を示したのは大学全体と国公立、私立大とも、男女双方。前年同期比で全属性がプラスを計上したのは、就職市場が男女を問わずに極めてよい状況であると見て問題は無いだろう。

中期的な内定率推移から就職戦線の動きを推し量る


厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定)率において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)過去14年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後は下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それゆえに、2015年における解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、(その2年前の同時期の値64.3%と比べればまだ上だが、)内定率の改善状況が一時的に足踏み状態となってしまったのは残念でならない。

↑ 就職(内定)率(大学・全体)(-2018年10月1日)
↑ 就職(内定)率(大学・全体)(-2018年10月1日)

特に今回対象となった10月1日時点は、2016年10月1日時点以降、強い勢いで上昇を継続している。今回年はやや勢いが緩やかになった感はあるが、この時期での天井の様相も否定できない。ともあれ上昇基調が続いている実情は、雇用市場が就業希望者にとってよい方向に進んでいることをあらためて実感させる。

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感では無く、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気がよくても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。

つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それとともに安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更をスナック感覚で行うこと無く、十分な思慮の上での決定が求められよう。