お互い結果で支え合う兄弟弟子!稀勢の里と高安

写真拡大

■稀勢の里の状態

 大相撲の5月場所5日目、稀勢の里は千代翔馬を下し白星を先行させたものの、やはり万全というには程遠かった。千代翔馬に終始攻められ続け何度も危ない場面を迎えた。勝ちはしたものの観客はひやひやし、心配そうな表情で戦況を見守るファンが多かった。

 稀勢の里は序盤を3勝2敗で終えたが、はっきり言ってここまで1勝4敗となってもおかしくなかった内容である。それでも白星を重ねる姿は見る者を勇気づけ、昔から稀勢の里を知っているファンとしてみたら「強くなった」と言う人が多いのではないかと思う。先場所優勝した際に「見えない力が後押しした」という発言をしたがそれは何も優勝争いだけにかかっている訳ではなく、今場所もいきている。

 状態が悪いながらも勝ち星を重ねられているのはそれだけ1番1番集中できているからであり、日ごろの稽古が身を結んでいる証拠だ。今場所の稀勢の里を見ていると「ただ強いだけ、状態がいいだけで勝てるという訳ではない」というのを教えてくれているようだ。

■高安の快進撃

 一方、弟弟子の高安の勢いが止まらない。とにかく危なげない勝ち方をする。「横綱が不調なら自分が横綱の代わりを!」と言わんばかりの相撲内容だ。逆にここまで来て大関になれないというのであれば呪われていると言わざるを得ないほどだ。

 大関昇進の目安は3場所で33勝である。1月場所は11勝、3月場所は12勝を記録した。目安で行けばあと10番で5勝すれば大関になることができる。しかし今の高安になんとしてでも5勝を目指せというのはあまりにも低すぎる志であることは間違いない。この勢いならあと5、6日もあれば5勝することは可能だ。

 しかし高安にも不安がないわけではない。いつもは場所前、兄弟子である稀勢の里と稽古を積み調整を重ねる。ところが今場所それができていない。上位陣と当たるときその影響が出ないとは言えない。それでも10中8、9残り10番で5勝は可能だろう。

■稀勢の里と高安の関係

 稀勢の里が大関に昇進した時と今の高安を比べると明らかに今の高安の方が安定している。当時の稀勢の里は強い時は恐ろしく強いが、負けるときはコロッと負けていた。よくも悪くも観客の印象に残ったのだ。

 一方、高安は無難に下位相手に勝ち、上位相手にはなかなか勝てない。そういった面であまりフォーカスはされない。現に高安は今回2度目の大関取り挑戦の場所である。稀勢の里とは全く違う相撲人生を歩んでいる。

 同部屋、同郷という以外、一見この2人の接点はない。それでも稀勢の里についていく高安、高安に援護される稀勢の里の関係は面白い。彼らは花道から引き上げすれ違う際に視線すら合わせない。それでもお互いがお互いの結果に左右され刺激し合い、支え合っている。きっと2人の絆は辛くなってくる終盤の重大な局面で生きてくるのだろう。