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 5月中旬、トランプ米大統領のツイートをきっかけに米ドルは114円手前から111円台へ、ダウ平均株価も370ドル超の急落となった。ニクソンが大統領辞任へと追い込まれたウォーターゲート事件になぞらえて「ロシアゲート」とも呼ばれる今回のスキャンダル、どう収益チャンスに変えるべきか、メルマガ「西原宏一のシンプルFX」での配信も好評な元HSBCチーフトレーダーの竹内典弘氏に戦略を聞いた。

◆ロシアへの機密漏洩を認めるツイート

 トランプ米大統領が危機に陥っています。トランプ氏の選挙キャンペーンとロシアとの関係について捜査を進めていたFBI長官が突然解任されたのは5月9日、翌日のロシア外相との会談では機密情報を漏洩した疑いが浮上しました。ホワイトハウスは疑惑を否定したものの、こともあろうに当のトランプ氏自身がツイッターで「ロシアとの情報共有は大統領の絶対的権利」と機密漏洩を事実上認めてしまったのです。

 トランプ氏のツイートをきっかけに米国株も米ドルも急落しています。為替市場の先行きを不安視する人も多いでしょう。「第2のウォーターゲート事件」となる可能性は高まっていますが、さらなる米ドル急落におびえる必要はないでしょう。そもそもトランプ氏を弾劾するための手続きの開始、成立のハードルは非常に高く、民主党だけでなく共和党の一部議員の賛成も必要です。現段階では共和党がトランプを見限るシナリオは現実的ではありません。

◆「ペンス大統領」は日本の貢献を熟知している

 可能性は薄いですが、トランプ降ろしが実現した場合の為替シナリオも考えておきましょう。弾劾が成立すると、再選挙が行なわれるわけではなく副大統領のペンス氏が大統領に就任します。

 トランプ政権では15日に通商代表部(USTR)代表にライトハイザー氏が正式就任したばかりでした。ライトハイザー氏は1980年代、日本に鉄鋼輸出の自主規制を認めさせた保護主義色の強い人物です。「保護主義」はトランプ政権の大きな特徴であり、米ドル/円の下落要因として懸念される材料です。一方、ペンス氏はもともとインディアナ州知事を務めており、インディアナにはトヨタ自動車が車両工場を展開しています。トヨタ自動車は今年1月にも設備増強のための追加投資を決定したばかりです。日本企業による雇用への貢献をペンス氏は充分に認識しているでしょう。

◆プラスとマイナス、双方の要因が剥落すれば焦点は金利差に

 トランプラリーで118円台へと米ドルを牽引したのは米金利の上昇、ひいてはトランプ大統領誕生による「大規模な財政出動」への期待でした。もしトランプが弾劾されれば財政出動への期待は剥落しますが、同時に保護主義への警戒感も薄れます。ペンス氏が大統領に就任しても上昇要因=大規模財政出動と下落要因=保護主義がともに剥落するだけなので、影響としては「トントン」だと考えられます。

 米ドル/円は4月、108円13銭の安値をつけました。その要因は北朝鮮リスクとフランスでの極右政権誕生リスクの2つのリスクでした。今後の相場を考えると、同じようなダブルのリスクが発生しない限り、108円台をつけたとしても瞬間的な動きにとどまるでしょう。しばらくは揉み合いが続くかもしれませんが、いずれ金利差の拡大により米ドル/円はゆるやかな上昇トレンドへと回帰すると考えていいでしょう。

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◆強弱の対照が鮮明なユーロ/円の買いが賢明

 では今、米ドルを買っていいのでしょうか。個人的な答えはNOです。米ドルはすでに利上げに動き出した通貨であり、下がるとは思いませんが、より新鮮味があるのはユーロです。ECB(欧州中央銀行)はそう遠くないうちに「テーパリング」(金融緩和の縮小)へと動き出すでしょう。

 金融政策の転換は大きなトレンドをもたらします。ユーロ/円はすでに4月以降、約10円上昇していますが、これはフランス大統領選挙で発生した極端なリスク回避行動が巻き戻されているだけです。金融政策の転換による本格的な上昇はこれからでしょう。

 主要3通貨の強弱を示せば「ユーロ>米ドル>円」となるでしょうから、強弱のコントラストが鮮明なユーロ/円の買いが賢明な戦略となります。トランプ関連のニュースで円買いが発生してユーロ/円が下がる場面もあるかもしれませんが、そこは押し目買いのチャンスだと考えていいのではないでしょうか。

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【竹内典弘氏】
HSBC銀行ではチーフトレーダーとしてディーリングチームの責任者を務めるなど活躍。専門はG7通貨および金利のトレーディング。2010年に独立し、自身でもトレードを手がけるほか、FPネットのメルマガ「西原宏一のシンプルFXトレード」で毎朝、旬の為替情報を配信する

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