中国国内の自動車生産工場。中国当局が4月に発表した1月〜3月の中国GDP成長率は、前年同期比6.9%増となり、政府目標を上回った。しかし数字は「水増しされている」と専門家はかねてから指摘している(GettyImages)

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 中国当局が4月に続々と発表した強い内容の経済指標から、中国景気回復は速いペースで拡大しているとの見方が広がっている。しかし、かねてから中国当局は経済統計を水増しているとの声が絶えないため、一部の専門家は、GDP成長率も水増しされた可能性があると指摘する。

 中国当局は4月中旬、1〜3月期の国内総生産(GDP)を発表した。前年同期比6.9%増となり、当局が設定した成長率目標の「6.5%前後」を上回り、1年半ぶりの高成長となった。

経済統計の水増しは政治目的のため

 中国遼寧省の陳求発省長は今年1月、同省の人民代表大会(省人代、地方議会に相当)で、域内GDPなどの統計にねつ造があったと認めた。英紙「フィナンシャルタイムズ」は、統計をねつ造するのは遼寧省だけではないと指摘する。

 同紙によると、多くのエコノミストは、中国当局は各省の省長らに対して、政治任務としてGDP成長率目標達成を指令している。当局は、偽の好景気で自らの統治を安定化させたいとの狙いがある。各省の高官も出世のために、積極的に統計を水増しするようになったとされている。

 中国経済学者の楊魯軍氏は4月下旬、台湾メディアに対して「中国のGDPには、血と毒と罪悪が滲んでいる」と述べた。世界第2の経済体の中国では、製造業のインフラが悪く、ハイテクノロジー業も弱いだけではなく、自主性も欠けている。楊氏は、この経済現状は「経済大国」にふさわしくないし、今後経済構造転換は避けられないとの認識を示した。

中国国民は依然として生活に困窮 

 台湾台南市にある国立成功大学法学科の許忠信教授は大紀元台湾の取材に対して、「中国のGDP成長率は水増しされた部分が多い。一部の人は中国経済が好転したと考えているが、これは虚像だ」との認識を示した。

 「中国に行ったことのある人の多くは、中国はもう裕福になって、先端技術を持つようになったと話している。それは彼らが中国の東部地域、例えば北京、上海、深センなどの大都会にしか行ったことがなく、非常に貧しい地域を見ていないからだ」と述べた。

 許教授は過去、中国の甘粛省、青海省などの貧困地域で調査を行っている。「これらの地域の人々は、食べることに苦労しており、住む家もひどくて、(地域の)交通にも問題がある。東部大都市の市民らの生活とかなりかけ離れている。中国の大部分の国民の生活はいまだに困窮している」という。

 なぜ貧富の格差の広がるのかについて、許教授は、中国は三権分立が成立しない、共産党政権による「人治国家」であるためだと指摘する。人治国家は、経済発展に多くの制限を受けなければならない。

台湾企業は中国から世界へ

 台湾の許教授は近年、中国は経済構造転換を行ってきたため、「世界の工場」の魅力であった安価な人件コストが高くなり、台湾企業は生産拠点を移行させていると見ている。

 「台湾は、中国を『世界の工場』とみなし、台湾の経済を発展させようとした。しかし、中国で安価な労働力を得られない今、台湾企業は中国から世界へとの戦略を転換する時期を迎えている」と示した。

 さらに、蔡英文政権への中国当局の圧力も、中国離れに拍車をかける。許教授によると、現在、蔡英文政権は中国当局に「一つの中国」問題をめぐって、「九二共識(中華人民共和国と台湾の当局間で、一つの中国の問題に関して達成したとされる合意の通称)」を受け入れないとの姿勢を示している。このため、中国当局は台湾との経済活動や貿易を規制している。

 台湾は現在、中国市場よりも、米国や日本などの海外への進出を加速させたことで、GDP成長率は2%台に回復した。

(大紀元台湾・陳懿勝/翻訳編集・張哲)