by Verónica Bautista

アメリカでは貧富の差が学歴やIQ、健康状態などさまざまなところで見られますが、「笑顔」という1つの仕草にも貧富の差が影響していることがわかりました。

The US is experiencing a massive dental crisis that preferences dental care for the rich over the poor - Quartz

https://qz.com/984554/the-us-is-experiencing-a-massive-dental-crisis-that-preferences-dental-care-for-the-rich-over-the-poor/

アメリカでは金銭的に余裕のある人が歯を美しくするための処置に多額の費用をかけている一方で、何百万もの人々が、歯の根管治療や歯にかぶせものをするクラウンといった基礎的な治療を受けられないという状態になっています。その現れとして、2011年、当時24歳だったKyle Willisさんが、「失業中で保険が使えない」ということを理由に歯の治療をストップし、最終的に歯の感染症が脳にまで達して死亡しました。

アメリカの歯医者では基本的に保険がきかず、虫歯1本を直すのに10万円は必要になると言われています。そのため虫歯を治療するには、別途歯科保険に加入している人を除いて、全額自己負担するかチャリティもしくは救急医療を受ける必要があるとのこと。また、たとえ歯科保険に入っても、すぐには保険を使えず、しかも治療の内容やカバー額には制限があり、通常1000〜2000ドル(約11〜22万円)で上限に達してしまいます。このような理由から、歯医者から足が遠のく人が少なくないわけです。



by Anthony C

(PDFファイル)CDCが2015年に発表した報告書によると、歯医者に行く必要があるのに費用を理由に行かなかった人の割合は、所得が少なくなるのに比例して多くなっています。



年齢と所得別に「虫歯を放置する割合」を表示するとこんな感じ。どの年代も低所得であるほど虫歯が放置されやすく、所得が2万3050ドル(約260万円)以下である層と、9万2200ドル(約1000万円)以上である層では、その差は4〜5倍もあります。



この問題についてはThe Washington Postも報じており、2016年にアメリカの緊急処置室に運ばれた患者のうち200万人以上は、放置された虫歯を原因とするものだったとのこと。

Some Americans spend billions to get teeth whiter. Some wait in line to get them pulled. | The Washington Post

http://www.washingtonpost.com/sf/national/2017/05/13/the-painful-truth-about-teeth/

低所得者向けにボランティアで無料の診療を行う病院も存在し、メリーランド州ソールズベリーの病院は、ボランティア治療を受けに来た最初の患者1000人を見るための歯科医を100人以上新たに雇用しました。歯科医らは訪れた患者を着た者順に治療していったとのことですが、実際に病院で治療を受けた患者はその様子について「まるで第三世界のようだった」と語っています。この患者はX線撮影と抜歯を行ったのですが、通常であれば600〜800ドル(約6万7000〜8万9000円)を必要とする治療が、ボランティアの病院では無料になるとのこと。ボランティアを行う病院は複数あり、これらの年間のコストは16億ドル(約1700億円)に上るものと推定されていますが、病院の緊急処置室では通常、歯の問題を抱える患者に対して抗生物質と鎮痛剤のオピオイドを与えるだけで、根本的な治療を行いません。これが、薬物中毒者や死者を生み出す1つの原因になっているとして、問題の解決が必要とされたわけです。

なお、虫歯があるかどうかの差は所得だけではなく、人種によっても差があることがわかっています。所得が約260万円以下である20〜44歳のアフリカ系アメリカ人が虫歯になる割合41.4%で、これは同年代・同所得層の白人が虫歯になる割合の約2倍とのこと。また、同じカテゴリのヒスパニック系の人々が虫歯になる割合は35%で、アジア系アメリカ人が虫歯になる割合は白人の約半分となっています。