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■どんなクルマ?

立体駐車場に入るSUV

アウディ最小のSUVとして熱い注目を浴びるQ2が日本の路上を走り始めたが、このQ2とは何者か?

まずボディ・サイズからいうと、今回試乗した導入記念モデル、「1stエディション」の場合で、全長4205×全幅1795×全高1520mm、ホイールベース2595mmとある。

これらをよく知られたクルマと対比すると、サイズ感が分かるはずだ。

その、よく知られたクルマとは、現行のフォルクスワーゲン・ゴルフ、すなわちゴルフVIIで、それと比べるとQ2はゴルフより60mm短く、5mm幅狭く、40mm背が高く、ホイールベースが60mm長い、ということになる。

つまりアウディQ2、ゴルフとほぼ同サイズのSUVであるわけで、全高がゴルフより40mmしか高くないことからも、いわゆるSUVとしては背の低い部類のクルマであることが分かる。

結果として、全高1550mm以下という制限が普通とされる日本の立体駐車場にも、余裕で入れるわけだ。

実はQ2のサイズがゴルフに近いのには明確な理由がある。Q2はA3やTTと同じプラットフォーム、すなわち基本的にゴルフと同じプラットフォーム上に成り立っているのだ。

ということは、サスペンションはフロントがストラット、リアはトレーリング・アームという名のトーショナル・ビーム半独立と、4リンク独立の2種類があると思われる。

だがQ2の場合、そういったメカニズムよりもスタイリングの方が気になる。

ターゲットは「都会の若者」 だが……

ポリゴン=多角形をモチーフとして多用したというデザインは、これまでのアウディよりエッジーでシャープな印象を与えるもので、コンパクトなサイズと相まって、なかなか新鮮に見える。

アウディを象徴するシングル・フレーム・グリルも、8角形の一段とエッジの効いたデザインになったし、フェンダーの峰もドア部分でそれが途切れる造形を含んでシャープな印象を与える。

ウェッジ・シェイプのフェンダーの上に構築されるキャビン部分においても、幅広いCピラーがこれまでのアウディにはないディテールを見せる。

アウディによれば、これは若者をターゲットにしたデザインだというが、どうしてどうして、ダウン・サイジングを意図する親爺=オヤジの一部にもけっこうウケるのではないかと、僕が爺=ジジイを代表して、いや、熟年層を代表して進言しておこう!

スペックに幅が欲しいところ

それはそれとして、6月に日本で発売されるQ2は、スペックがちょっと偏っているような気がする。それは、1.0 TFSI、1.0 TFSIスポーツ、1.4 TFSIシリンダーオンデマンドスポーツの3モデルで、いずれもFWD=前輪駆動であり、4WDは当面導入されないのだ。

パワー・ユニットは1.0 TFSIが1.0ℓ3気筒ターボで116psのパワーと20.4kg-mのトルクを発生、1.4 TFSIは1.4ℓ4気筒ターボで、150psと25.5kg-mを生み出す。いずれもトランスミッションはツイン・クラッチの7速Sトロニックを備え、前記のように前輪を駆動する。

今年3月に日本で発売された新型ミニ・クロスオーバーは、エンジンがいずれもディーゼル・ターボで、3モデルのうち2車種が4WDであるのと対照的だといえるが、高価なモデルから導入した感のあるミニとは逆に、Q2はまずお手頃感のあるモデルから発売する、という戦略なのだろうと推測できる。

実際、この3モデルのプライスは、安い方から順に、299万円、364万円、405万円というものだからだ。ただし、日本発売を記念して全国で280台が限定発売される1.4 TFSIスポーツ・ベースの1stエディションには、19万円に相当する特別装備分が上乗せされることになる。

■どんな感じ?

乗り心地、やや硬め?

というところで試乗に入るが、用意された試乗車はQ2日本発売記念モデル、1stエディションだった。これは、1.4 TSFIシリンダーオンデマンドスポーツをベースに、Sラインパッケージその他の特別装備を加えたモデルで、 試乗車のプライスは495万円になる。

インテリアはアウディらしいクオリティ感を備えているのに加えて、前記のように全高は1520mmとSUVとしては低めであるにもかかわらず、シートの着座位置は同クラスのハッチバックと比べると明らかに高く、上から見下ろすドライビング・ポジションになるのがSUVらしい。

居住空間は4人の大人に充分なものといえ、リア・シートはレッグ・ルーム、ヘッド・ルームとも、それなりの余裕を感じた。

これも小雨のなか箱根方面に向けて走り出すと、A5で「おっ、いいじゃないか!」と感じた場所で、Q2の場合は「おっ、こいつは脚が硬いな!」と感じた。

ボディは充分な剛性を備えているから、その硬さが乗り心地の荒さにはストレートに結びついてはいないが、とにかくSUVとしてはサスペンションの硬いクルマという印象なのだ。

試乗車のサスペンションについてプレゼンでは特に説明はなかったが、果たしてこれが標準の脚なのか疑問を感じて試乗後に資料を調べてみたら、1stエディションに装備されるSラインパッケージには、スポーツ・サスペンションが含まれていることが分かった。

つまり1stエディションを購入すると、自動的にスポーツ・サスペンション装着車になる、というわけである。

したがってこのロード・インプレッションは、あくまでスポーツ・サスペンション装着車の場合、という注釈つきになるが、ハンドリングはアンダーステアをほとんど意識させない安定したもので、高めの着座感はあるものの、雨の長尾峠も危なげなく駆け抜けていく。

ミニをかなり意識している?

サスペンションの硬さと同時に印象に残ったのは、電動パワー・ステアリングに重めのセッティングが施されていることで、そのあたりからも、アウディがミニをかなり意識してQ2を開発していることが想像できる。ミニのステアリングは、今どきの同クラス車のなかでは全般に重めだからだ。

そのこととも関連して僕が感じたのは、Q2はスタイリングのイメージとは少々違って、かなりマジメにつくられたクルマだな、という印象だった。硬いスポーツ・サスペンションの動きに対してミシリともいわない強固なボディも、その印象を強調している。

150psと25.5kg-mを生み出す1.4ℓ4気筒ターボ・エンジンと、ツイン・クラッチ7速Sトロニックの組み合わせは、1340kgとされる車重に充分なパフォーマンスを与えていて、箱根の峠道もいいペースを保って、軽快に駆け上っていく。フォルクスワーゲン/アウディ系で定評のあるパワートレインだけに、回転感やシフトのスムーズさも美点に感じられた。

ただしQ2、fun to driveという観点から見ると、評価が難しい。2週間ほど前に乗った新型ミニ・クロスオーバー、ボディはQ2より大きく、しかもディーゼル・エンジンの4WDという仕様だったから車重も1600kg強と、今回乗ったQ2より300kg近く重かった。

したがって、軽快感ということではQ2が明らかに勝るが、ドライビングの愉しさというポイントからすると、姿勢変化を抑え込む硬いスポーツ・サスペンションがむしろそれをスポイルしている印象もうける。

なのでこの点に関しても、ノーマル・サスペンションのモデルに乗った時点で判断するべきではないか、と思った。

■「買い」か?

やっぱりクワトロが欲しい……

若い層をメインのターゲットに設定して生み出されたとされるアウディQ2。エッジが効いていて躍動的なスタイリングや、適度にコンパクトなボディ・サイズ、その割りにルーミーな居住空間やラゲッジ・スペースなど、たしかにその目的に向いたクルマだろうと思う。

299万円のベーシック・モデルに始まる価格設定も、そういったターゲット戦略に沿ったものといえるし、1ℓ3気筒ターボ・エンジンを塔載した1.0 TFSI系モデルでも、おそらくパフォーマンスに決定的な不足はないだろうと想像できる。

その一方でQ2、前に記したように、young at heartな熟年層のダウンサイジングカーとして、考えられなくもない要素も備えているのではないか、という見方もできる。

ただしその場合、今回乗った1stエディションの脚は少々硬すぎるので、それに対する適正はノーマル・サスペンションを経験した後に判断するべきだろうと思う。

それにもうひとつ、プライス的なメリットは消えてしまう、もしくは希薄になってしまう可能性はあるけれど、4WDモデルも早期に導入するべきではないだろうか。

どうせSUVに乗るならやっぱり4WDで、という層は絶対にいると思うからだ。

しかもそれに加えて、この試乗会で同席した同業者の一人が言っていたとおり、Q2は他でもないあのクワトロのアウディがつくったSUVなのだから、4WDがないのは……。

アウディQ2 1.4 TFSI シリンダー・オン・デマンド

■価格 4,050,000円 
■全長×全幅×全高 4205×1795×1520mm 
■ホイールベース 2595mm 
■乾燥重量 1340kg 
■エンジン 直列4気筒1394cc 
■最高出力 150ps/5000-6000rpm 
■最大トルク 25.5kg-m/1500-3500rpm 
■ギアボックス 7速デュアル・クラッチ 
■サスペンション マクファーソン・ストラト / トレーリング・アーム 
■ブレーキ ベンチレーテッド・ディスク / ディスク 
■タイヤ 215/50 R18 
■燃費(JC08モード) 17.9km/ℓ