目の前に仮想の世界が広がるVR(仮想現実)の映像はまるで現実の世界と錯覚させられるほどの没入感を得ることができますが、平面ディスプレイを用いることによる「奥行き感のなさ」など、現実と同じレベルに達するにはまだ課題が残されています。そんなVRの世界で「焦点を合わせると周囲がぼやける」という現実と同じような自然な感覚を得られる機構「Focal Surface Display」をOculus Researchが開発しました。

Oculus Research to Present Focal Surface Display Discovery at SIGGRAPH | Oculus

https://www.oculus.com/blog/oculus-research-to-present-focal-surface-display-discovery-at-siggraph/

Focal Surface Displays - FSD_paper_authors_version.pdf

(PDFファイル)https://scontent.oculuscdn.com/v/t64.5771-25/11162698_1898529713737363_2337972817741479936_n.pdf/FSD_paper_authors_version.pdf

Focal Surface DisplayでどんなVR映像が体験可能になるのかは、以下のムービーで説明されています。

Oculus Research to Present Focal Surface Display Discovery at SIGGRAPH - YouTube

人間の視界は一点に焦点を合わせると、周囲の景色がぼやけるようになっています。





一方で、VRヘッドセットは極端にいうとVR映像を虫眼鏡で矯正して見ているようなもの。



なのでVR映像の中で焦点を合わせても現実のように周囲がぼやける現象が起こりません。



そのため、ぼやける時は一部ではなく、すべての映像がぼやけてしまいます。これは、VRを体験したことがある人なら経験があるはず。



従来のVRで表示される景色を分解すると以下のような感じで、本来は奥行きがある風景を1枚の平面レイヤーとして表示している状態。



実際には、立体的なオブジェクトには前後に奥行きが存在します。そのため、奥行きのない平面で描画される映像は「VRっぽい映像」と感じられてしまうというわけです。これを解消するために、非常に短い間隔で奥行きを変えた映像を投写したり、将来的にはホログラフィー技術を用いて全ての画素を立体的に見せたりすることも考えられていますが、いずれもまだ実用には至っていません。



Focal Surface Displayは、オブジェクトの表示エリアを引き延ばして立体的に感じられるように表示します。



Focal Surface Displayを通すことで、以下のようなVRの映像が見ている場所に合わせて周囲がぼやける、という効果が得られるようになるとのこと。





Focal Surface Displayは、以下のようにスクリーン(ディスプレイ)と接眼レンズの間にSpatial Light Modulator(SLM:空間光変調器)と呼ばれるデバイスを配置する構造。このデバイスによりディスプレイに表示される映像に奥行き感を持たせられるようになっています。



これをVRヘッドセットに搭載することで……



より現実に近い感覚でVRの映像を楽しむことができるようになり、さらなる没入感が得られるということです。なお、Focal Surface Displayは、7月30日から開催されるSIGGRAPH 2017でデモが発表される予定です。