乳幼児との濃厚接触で感染するかもしれない(写真と本文は関係ありません)

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お笑いコンビ「ナインティナイン」の矢部浩之さん(45)が、手足口病にかかったことを明かした。

文字通り、手足や口に水疱性の発疹が現れるウイルス性の病気だ。ほとんどのケースで乳幼児が感染し、成人がかかるのはまれなはずだが。

直近データで20歳以上の患者は0.5%

2017年5月15日付のスポーツニッポン電子版によると、矢部さんは相方の岡村隆史さん(46)に、手のひらにできた斑点を見せ、「しんどくはないけど、ペットボトルが開けられない、スマホが打てない」と話したという。

国立感染症研究所はウェブサイトで、手足口病は「4歳位までの幼児を中心に夏季に流行が見られる疾患であり、2歳以下が半数を占めるが、学童でも流行的発生がみられることがある」一方、成人の発症は、あまり多くないと説明している。日本医師会のサイトには、「例年、報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています」と書かれていた。

飛沫感染や接触感染が主で、保育園や幼稚園でうつる可能性は少なくない。ただし症状が重篤化することはまれで、発熱はするものの「数日間のうちに治る病気」(日本医師会)だ。

ある耳鼻咽喉科の開業医に取材すると、やはり成人の感染例は珍しいようで、「これまで診察した患者はいません」と話す。2017年第18週(5月1日〜7日)の定点医療機関からの患者報告件数をみると、全国規模では総報告数1388人のうち44.6%が1歳、20.2%が2歳、11.8%が6〜11か月となっている。これに対して20歳以上は0.5%に過ぎない。もちろん週ごとに数値は変化するが、成人の患者数が大きく増えることはなさそうだ。

では、矢部さんのような大人が感染するのはどういった場合が推測できるか。この耳鼻咽喉科医は、成人本人の免疫力が落ちているときにウイルスを持った子どもと濃厚接触したり、つばなどで飛沫感染したりする可能性は考えられるとした。また、手足口病の原因となるウイルスは複数の種類があり、一度発症して治っても後日別のウイルスに感染する恐れはある。

秋田県北部や京都市内で「警報」レベル

手足口病は例年、夏を中心に発症が広がり7月下旬がピークとなる。だが2017年は、5月にもかかわらず既に一部地域で流行が始まっている。

広島県では、第19週(5月8日〜14日、速報値)の定点あたり疾患数が1.72人で、過去5年の0.21人と比べると大きく上回っている。広島県感染症・疾病対策センターに取材すると、第15週(4月10日〜16日)から目安の1.00人を超え始めたものの注意報や警報レベルには達しておらず、「現状では動向を注視している状況」と説明した。一方、秋田県は第19週で、北部の大館市保健所管内で警報を出していると、秋田県感染症情報センターの担当者は取材にこたえた。京都府でも、京都市右京区、南区、伏見区で警報が出ている。

手足口病の早い時期の流行について、明確な原因は分からない。前出の耳鼻咽喉科医は、「あくまでも推測ですが」と前置きしたうえで、気温の上昇を可能性のひとつに挙げた。今年は4月以降、全国的に気温が高めの予報が出ている。また近年は居住環境の改善により、保育園や幼稚園は冬場でも温かさが確保されているので、ウイルスの感染力が衰えないのも一因かもしれないと話した。