人工知能が書いたキャッチコピーによる新聞広告。(画像:電通発表資料より)

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 電通は、静岡大学情報学部の狩野芳伸准教授らの研究チームと共同で、人工知能(AI)による広告コピー生成システム「AICO(アイコ、AI Copy Writer)ベータ版を開発したと発表した。

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 今回の発表に先駆けて、電通と静岡大の研究チームは、2016年に「人工知能が書いたキャッチコピーによる新聞広告」を実現している。開発に当たっては、実際に広告作成に携わっている電通のコピーライターが人工知能の学習をサポートするなどし、より本物の人間が作るコピーに近いものを生成することが可能になったという。

 開発の背景は、AIの研究と実用化が加速度的に進む中で、広告コミュニケーションの領域においてもAIの技術は必要な存在になりつつあることにあると電通は語る。理論的には、人工知能による広告コピー生成が実用化まで至ったならば、TPOに合わせたリアルタイムのメッセージ変化や、インターネット広告や屋外・交通広告などにおけるパーソナライズされた次世代型広告配信の導入が考えられる。

 電通では、今後も研究開発を進め、より効果的なコピーを作成できるようにAIに改良を加え、システムの実用化を目指すとともに、人工知能と人間のクリエイターの協業による、これまでにない新しい広告マーケティングの研究開発を進めていくという。

 ただ、最後に少々だけ筆者の見解を提示させていただこう。「新聞広告のセクシーが待っている。」率直に申し上げれば、広告コピーとして実用に耐えるレベルには至っていない。

 しかし、技術的にはまだ開発途上なのだから、稚拙なだけならばまだよい。改良すればいいだけだ。問題は、AIの社会普及に伴う、AI自身が文責を負うコピーのリアルタイム発信の倫理的問題である。

 記憶に新しい事例として、自由にインターネット環境で学習を行わせた人工知能が、人種差別発言を始めて開発中止に追い込まれた、という例がある。

 AIは、どこまで我々の社会に地歩を築いていくのだろうか。