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 先週末の動員ランキング。トップ2は4週連続で『美女と野獣』と『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』が独占。『美女と野獣』は5月14日(日)までに累計動員565万人、累計興収79億3800万円を記録。実写作品としては2015年12月公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』以来となる100億超えを、ほぼ手中に収めたかたちだ。

参考:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』続編大ヒット中、ジェームズ・ガン監督がSNSで衝撃告白

 今回注目したいのは先週末の土日2日間で動員16万3000人、興収2億4900万を記録して3位に初登場した『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。2014年9月に公開されて累計興収10億7000万円を記録した前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の初動の週末成績は動員17万6233人、興収2億2414万5400円であったから、IMAX3Dや4DXやMX4Dなどの上映館で数字を稼いでいる分だけ興収では上回っているものの、動員では微減していることになる。これは少々意外だった。

 というのも、前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は各メディアでその年の年間ベスト1作品に選ばれるなど、比較的評価が高い作品の多いマーベル作品の中にあっても際立って高く評価された1本だった。海外の批評では前作ほどの絶賛一色という状況にはなっていないものの、今作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』も先週末の日本公開と同時に、SNSなどには作品の出来を賞賛する声が飛び交った。作品を支持する観客の熱は相変わらず異常に高いのだ。

 また、日本で過去に公開されたマーベル・シネマティック・ユニバース作品においては、1作目が世界中で現象化して日本でも累計興収36億1000万を記録した『アベンジャーズ』が2作目『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を上回っているのを唯一の例外(それでも初動の成績は2作目が大きく上回っていた)として、シリーズの続編は必ず前作を大きく更新してきた。近年では累計興収約12億円の『アントマン』(2015年9月公開)、累計興収約18億円の『ドクター・ストレンジ』(2017年1月公開)と、シリーズの1作目から10億を大きく超えるヒット作も連発。この流れでいくと、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の大ヒットも確実と思えた。もちろん、今作も十分にヒットと言える成績ではあるが、初動の動員で前作を下回ると予想していた人は少なかったはずだ。

 複数のヒーローが力を合わせて活躍する「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズには、ロケットやグルート(今回登場するのはさらにベビー・グルート)といった子供受けしそうなキャラクターを擁しているにもかかわらず、アイアンマンやスパイダーマンのように子供が素直に憧れられる要素が欠けているため、と指摘することもできるかもしれない。実際に、劇場では子供の客があまり目立っていなかったという報告もある。ただ、同じく観客の年齢層が高く、複数のヒーローが登場するDCの『スーサイド・スクワッド』(2016年9月公開)が、これまでのアメコミ・ヒーロー映画の客層とは違うリア充層にもアピールして、シリーズ1作目にしていきなり初動の週末興収3億9000万円、累計興収17億6000満円を記録したのと比べても、劣勢を強いられていることは否定できない。

 年内には8月(アメリカ公開は7月)に『スパイダーマン:ホームカミング』、11月(日本でもアメリカと同時公開)に『マイティー・ソー バトルロイヤル』と超強力作の公開も控えているマーベル・シネマティック・ユニバース作品。6月まで六本木ヒルズで開催されている『マーベル展 時代が創造したヒーローの世界』も盛況で、日本におけるアメコミ・ヒーロー映画人気の拡大機運は現在も継続中であると自分は見ている。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の意外な苦戦は、このシリーズ固有の日本の一般的な客層との相性に問題があるのではないか。

 音楽が大きな売りの作品であるにもかかわらず、音楽にちょっとでも関心のある人だったら首を傾げざるをえない邦題における「リミックス」というワードの使い方(SNSではジェームズ・ガン監督に原題の「vol.2」に戻すよう直談判するファンも現れた)や、宣伝における執拗なベビー・グルート推しなど、日本の配給会社も独自にいろいろと策を練った痕跡はあるものの、結果としては、それがファン層の拡大にはつながらなかったことを今回の数字は示している。(宇野維正)