(写真左から)西鉄上席執行役員の藤田浩展事業創造本部長、倉富純男社長

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福岡県内に全長106.1kmの鉄道路線網をもち、全国最大規模のバス会社としても知られる西日本鉄道(以下、西鉄)は2017年5月17日、東京都内でグループ事業戦略説明会を開催した。

説明会は2部構成で、第1部は西鉄グループの概要と17年度事業計画の説明が行われた。続いて第2部は本格的な新型観光列車について紹介した。

福岡市の発展は西鉄が支えている!?

第1部に登壇した倉富純男社長は、16年3月に策定した長期ビジョン「まち夢ビジョン2025」の実現に向けて、17年度は総額403億円の設備投資をグループで行うと語った。

福岡市の中心部である西鉄福岡(天神)駅周辺の再開発をはじめ、三国が丘駅での一体的なまちづくり、市が「東の副都心」と位置づけるアイランドシティでの複合開発、グループの商業施設・レジャー施設のリニューアル、国内やアジア圏での分譲マンション・戸建住宅およびホテルの建設、国際物流ビジネスの拡大などを進める。

19年4月をメドに民営化される福岡空港についても、地元有力企業と共同出資して新会社を立ち上げ、運営権の獲得を目指す。旅客者数で全国3位の同空港は、混雑緩和のため24年度末に増設滑走路が供用を開始する予定。目論見どおり運営権を得られれば、西鉄グループの成長に弾みがつきそう。

沿線で獲れる食材を活かした料理を列車内で

19年春から運行を開始する新型観光列車は、県内を縦断する天神大牟田線を走る予定だ。運行区間は未定ながら、期待は高まる。

というのも、県内を縦断する天神大牟田線は、福岡・久留米・柳川・大牟田の4都市を結ぶ、西鉄のドル箱路線だ。通勤・通学路線のカラーが強い一方、太宰府天満宮や九州国立博物館、水郷柳川といった観光スポットを抱える。

とくに柳川は訪日外国人旅行客が爆発的に増えており、伸び代がある。食に目を向けると、九州一の穀倉地帯である筑紫平野は農業が盛んで、小麦やイチゴ、キウイフルーツは全国2位の生産高を誇り、筑後川沿いには蔵元が集まる。

新型観光列車のコンセプトは「LOCAL to TRAIN 〜街を繋いできたレールは人をつなぐ時代〜」。つまり、上記に挙げた地元の名産が、車両にふんだんに使われると予想されるのだ。

すでに決まっていることもある。デザイン担当はランドスケーププロダクツ(東京都渋谷区)の中原慎一郎さん。プロデュースは、飲食などのオペレーション事業、ブランディングプロデュース事業に取り組むトランジットジェネラルオフィス(東京都港区)が担当する。トランジットジェネラルオフィスが手がけたJR八戸線(八戸駅〜久慈駅間)の観光列車「東北エモーション」は、運行開始から3年経った現在も予約困難な状態が続いているという。

東北エモーション同様に、西鉄の観光列車もローカルの魅力を取り入れる。沿線風景をゆっくり楽しんでもらいながら、沿線で獲れる食材を活かした料理を列車内で提供する。料理は著名料理研究家や人気店のシェフが監修する予定だ。

メインターゲットは福岡都市圏や沿線住民および観光客。第2部に登壇した西鉄上席執行役員の藤田浩展事業創造本部長は「30代〜50代の女性の比率が高いと思います」と想定イメージを語った。地元の人に沿線の魅力を知ってもらうべく、利用しやすい値段に設定するという。

ところで、天神大牟田線の雑餉隈駅付近〜下大利駅付近(約5.1km)は立体交差事業が行われており、高架化に合わせて駅周辺の再開発も進行中。福岡都市圏は今後も人口増が見込まれるのに対し、工業都市の久留米や大牟田は一時期ほどの活気はない。田園地帯は多彩な農産品が自慢だが――。福岡市だけでなく沿線南部にも目を向けてもらうことで、地域全体を活性化する願いが、観光列車に込められている。