オランダ・ライデン自然博物館に展示されているT・レックスの標本(2016年9月9日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)の咬合(こうごう)力の強さは類を見ないものだったとする研究論文が17日、発表された。最もどう猛とされる伝説的な肉食恐竜の性質が改めて裏付けされたかたちとなった。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文は、T・レックスは太い骨をかみ砕いていただけではなく、粉々にしてのみ込み、他の小型の肉食恐竜よりも多くの骨髄やミネラルを摂取していた可能性があると報告している。

 AFPの取材に応じた米オクラホマ州立大学(Oklahoma State University)のポール・ギグナック(Paul Gignac)助教は、「驚くべき咬合力と頑丈な歯によって、T・レックスは別格の存在だ」と語った。

 ギグナック氏と米フロリダ州立大学(Florida State University)のグレゴリー・エリクソン(Gregory Erickson)氏は、T・レックスの咬合力を測定したこれまでの研究を基に、今も生息している野生の肉食動物との比較を行った。

 例えばオオカミやハイエナも骨を歯でかみ砕き、栄養豊富な骨髄を摂取しているが、それができるのは上下の歯のかみ合わせがぴったりと合っているためで、これは肉食哺乳類には共通の特徴とされる。

 ところがT・レックスにはこうしたかみ合わせがないため、小さな木の幹ほどの太さがある頑丈な骨をどのようにかみ砕いていたかについて疑問が生じていた。

 研究の結果、T・レックスの顎には3.6トンもの粉砕力があることが判明。これは、中型の車3台分の重さに匹敵する。両研究者が考案した新たな測定基準によれば、T・レックスの歯の圧力はさらに大きく、歯の表面1平方センチ当たり30トンという驚くべきものであることが分かった。

■歯が折れないよう考慮しながらかんでいた?

 しかし、これだけでは骨を粉々にかみ砕くことができる理由の説明としては不十分かもしれないと論文は指摘している。

 現在生息する世界最大の爬虫(はちゅう)類であるイリエワニは、T・レックスよりもはるかに小さいにもかかわらず、その圧力は同程度に及ぶ。相違点は、歯のかみ合わせが悪かったとしても、T・レックスには骨を粉砕するのに必要な能力が備わっていたことだ。

 ギグナック氏は、「円すい形で並外れて大きく、歯根が頑丈なT・レックスの歯は、すり減ると数年ごとに生え変わっていた」と説明。

 同氏はさらに、今回の研究により「現代の哺乳類にも一般的にみられる高度な摂食機能が恐竜時代にも現れていた」ことが明らかになったと続けた。

 興味深いのは、T・レックスの咬合力の限界をつくっているのは筋力ではなく、強い圧力に耐え得る歯自体の強度だった可能性があることだ。ギグナック氏によれば、ワニやT・レックスはものをかみ砕く際、爬虫(はちゅう)類の歯のエナメル質が構造的に持ちこたえられるぎりぎりまで思い切り圧力を使っている可能性があるという。

 つまりT・レックスは、骨をかみ砕くのに必要な分だけぎゅっとかみしめ、真珠のように白い歯に致命的な損傷を与えないようにしていたと考えられる。
【翻訳編集】AFPBB News