カンヌ映画祭が開幕! 写真:Shutterstock/アフロ

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 今年70周年を迎えたカンヌ国際映画祭が、現地時間の5月17日、オープニング作品に選ばれたアルノー・デプレシャンの「Ismael’s Goasts」の上映とともに、華やかに開幕した。今年の審査員メンバーは、審査員長のペドロ・アルモドバルを筆頭に、ハリウッドからジェシカ・チャステインとウィル・スミス、アジアからファン・ビンビンとパク・チャヌク、ヨーロッパからパオロ・ソレンティーノ、アニエス・ジャウイ、昨年「ありがとう、トニ・エルドマン」で参加したマーレン・アーデ、そして音楽家ガブリエル・ヤレドと、男女の割合がほぼ半々となった。

 開幕の話題はなんといってもストリーミング配信のNetflix問題に集約された。というのも、今回コンペティションにはNetflix制作によるポン・ジュノの「オクジャ」とノア・バームバックの「The Meyerowitz Stroies」の2本が入選し、劇場リリース予定がないことに対してフランスの映画興行界から猛反発が出ていたため。ついに映画祭側も開幕直前に声明を出し、Netflixを説得できず、来年以降は劇場リリースされない作品はコンペに該当しない規定をもうけたことを発表した。審査員メンバーの記者会見では、こうした問題が授賞にも影響を及ぼすかという質問がぶつけられ、アルモドバルは、一般観客がシアターで見られない作品に対しては授賞の可能性がないことを示唆しつつ、作り手の立場としてはこうした新しいプラットホームに関してオープンな姿勢を表した。

 今年のもう1つの大きなトピックは、さまざまな部門を通してフィクションでもドキュメンタリーでも、社会情勢を反映した政治的なテーマが多いことだ。女優のバネッサ・レッドグレーブが難民問題を取り上げた初監督作品(つまり80歳でカメラドールの対象になる)「Sea Sorrow」や、大御所クロード・ランズマンが許可なしで北朝鮮に乗り込みカメラを回した「Napalm」、写真家でもあるドキュメンタリスト、レイモン・ドパルドンが精神病院の患者を取り上げた「12 Days」、アル・ゴアが環境問題を訴えた「不都合な真実」の続編、「不都合な続編:Truth of Power」、検閲問題と戦い続けるイランのモハマド・ラスロフの社会派映画「A Man of Integrity」などがある。

 さらにコンペでは、「パリ20区、僕たちのクラス」の脚本家だったロバン・カンピロが、90年代初頭のAIDS全盛期を舞台に、フランスの政治活動団体アクトアップを題材にしたフィクションがある。今年の顔ぶれはミヒャエル・ハネケやトッド・ヘインズ、ソフィア・コッポラ、ヨルゴス・ランティモスなど常連が多いため、監督としてコンペ初参加のカンピロは、その題材も含めてアルモドバルにとって本命となる可能性は高いかもしれない。日本からは河瀬直美の「光」が参戦するだけに、果たしてどんな結果となるか、待ち遠しい限りだ。(佐藤久理子)