若いころに得たスキルが高年期の幸福に

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生活していくための問題を解決する能力「ライフスキル」が高い人は、高齢になっても健康で幸福な人生を過ごすことができるとする調査結果が、英ロンドン大学のアンドリュー・ステップトー博士らによって発表された。

ライフスキルとは教育や仕事をする上で重要な能力とされ、世界保健機構は「日常的に起こる様々な問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するためのスキル」と定義し、創造的思考やコミュニケーション能力、対人関係能力、共感的理解、ストレス対処法などいくつかの要素を挙げている。

若年層や壮年期を対象にライフスキルが健康に与える影響を検証した研究はこれまでにあったが、高齢期に近い人を対象にした研究は実施されていない。

ステップトー博士らは英国在住の52歳以上の男女8119人を対象に、ライフスキルの重要な要素である「良心的か、誠実か」「情緒は安定しているか」「決断力はあるか」「自己管理能力はあるか」「楽観的か」の5つのうち、どれが当てはまるかを調査。さらに、収入や主観的な幸福や健康状態、社会的孤独、人間関係、慢性疾患の数、日常生活の障害といった要素も調査し、ライフスキルとの関係を分析している。

年齢や性別、これまでの経済状態や現在の認知機能など、ライフスキル以外の条件は調整しているという。

その結果、「ライフスキルが1つ以下」と判定された人は大半が抑うつ感や孤独感を訴えていたのに対し、「4〜5つある」と判定された人が抑うつ感や孤独感を訴える例は10%以下になった。

また健康状態に不安を覚えたり慢性疾患を発症している人は「ライフスキルが1つ以下」の場合30%以上に達したのに対し、「4〜5つある」人では6%にとどまった。さらにライフスキルが高い人は新しい慢性疾患や身体障害の発症率も低下していたという。

ステップトー博士はどれが1つのスキルが秀でているよりも多くのスキルを有するほうが健康や幸福度に影響しているとし、「成人期にライフスキルを育成、維持することは、高齢期の健康や幸福にも意味がある」とコメントしている。

発表は、2017年4月25日、米国科学アカデミー機関誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版に掲載された。

参考文献
Life skills, wealth, health, and wellbeing in later life.
DOI: 10.1073/pnas.1616011114 PMID: 28396407

医師・専門家が監修「Aging Style」