Doctors Me(ドクターズミー)- 高位破水はなぜ気づきにくい?見分け方と胎児に伴うリスクについて

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破水と一言で言っても、正常な破水からリスクを伴うものまで、様々な破水があります。安心して出産にのぞむために、基礎知識をおさえておきたいですよね。今回は、破水の中でも気づきにくく原因も特定しづらいと言われている「高位破水」について、詳しく医師に解説していただきました。

卵膜や羊水の役割


胎児は子宮の中で袋状の卵膜(羊膜、絨毛膜、脱落膜の三層を合わせて卵膜と呼ぶ)に包まれ、卵膜の中には羊水が詰まっています。

卵膜や羊水がなければ、胎児が外界の細菌にさらされ、子宮の圧によって締め付けられて、へその緒の血流が途絶える可能性もあるので、胎児は生まれる直前まで卵膜や羊水に守られていたほうが合理的です。

適時破水と非適時破水


適時破水


陣痛が10分おきに起こって分娩が始まり、子宮頸管が柔らかくなり、子宮口が全開になってから卵膜が破れて破水が起こることが適時破水です。

非適時破水


■早期破水
分娩開始後・子宮口全開大以前に生じる破水です。

■前期破水
分娩開始前(陣痛が10分に一回起こっていない状況)に破水が起こることです。

・37週未満の前期破水
問題となるのは、37週未満で胎児がまだ成熟しきっていない時に破水が起こる前期破水(preterm premature rupture of membrane, pPROM)という状態です。

37週に至っていれば、破水後24時間経っても陣痛がつかなければ陣痛誘発剤を使用したり帝王切開して胎児を出せばいいのですが、37週未満で破水してしまうと、感染予防という視点からは胎児を早く出してしまいたいし、胎児の成熟を待つという点では一日でも長く子宮内にいてほしいし、という葛藤が生じるのです。

母体の頻脈や発熱、血液中の炎症反応の上昇など感染のサインがあれば、胎児を出さざるを得ず、早産となります。

低位破水と高位破水


低位破水


卵膜が子宮口付近で破れた破水です。

高位破水


子宮口から離れた部位で破れたと思われる破水です。内診で子宮口を観察し、子宮口にまだ卵膜があるのに破水が起こっている場合、高位破水という診断になります。具体的にどこで卵膜が破れているかは、超音波検査(エコー)で見ても分かりません。

出てくる羊水の量が少ないため、一般的な破水のイメージ(ぷちっと何かが破れる感じがあって、勢いよく水が出てくる)とは異なり、尿漏れかな?と思うこともあるようで、自分で高位破水と気づくことが難しいようです。

破水の診断


破水しているかどうかの診断は、膣の中の液を取り、検査キットで調べることで分かります。

水のようなおりものが出たが、尿漏れなのか、風呂の水などが膣に入って出てきただけなのか、破水なのかよく分からないという場合、羊水にしか含まれない成分を検出するキットがありますので、数分で破水かどうか分かります。

高位破水の原因


羊水検査や絨毛検査で人工的に子宮や卵膜に穴をあけた場合は高位破水になりますが、それ以外の場合で、破水が低位になるか高位になるかを分ける因子は特にありません。

低位・高位にかかわらず、前期破水の原因としては、以下のようなものがあります。しかし、特に原因がない場合もあります。

絨毛膜羊膜炎


絨毛膜と羊膜は、卵膜の層の名前です。膣から何らかの細菌やカビが卵膜に感染し、炎症が起こって羊膜が弱くなります。

頸管無力症


何らかの原因で子宮頸管が開きかける状態です。絨毛膜羊膜炎や頸管無力症破水が起こると、子宮口が開きやすいため、胎児を子宮にとどめておくことができず、早産になってしまうことが多いとされます。

羊水過多、多胎妊娠などによる子宮内圧の上昇


羊膜は指やピンセットで破れるぐらいに薄い膜であり、子宮内の圧が高すぎると持ちこたえられず破れることがあります。

性行為


激しい行為による刺激や、感染症を起こすことで破水することもあります。

その他原因


・喫煙
・以前の妊娠でpPROMを起こしたことがある

高位破水の見分け方


尿漏れ


尿漏れの場合、尿や便を我慢するように陰部を締めると、途中で止められるとも言われますが、すでに出てしまっている液体が尿漏れだったのかどうかの判別はこの方法ではできません。

羊水


羊水は生臭いにおいがして透明、尿はアンモニア臭がして黄色っぽいとも言われますが、水分をたくさん取っているときの尿はアンモニア臭もなく透明なこともあり、これもはっきりした区別の根拠にはなりません。

おりもの


おりものは白っぽかったり粘り気があることが多いですが、少量の羊水が混じっていないかどうかの判別は困難です。

高位破水を気づかず出産するリスク


少量の羊水が出ても、それ以上出ずに止まれば、特にリスクはないと思われます。

羊水は妊娠末期で500ml程度はあるため、問題になるほどの羊水の流出があれば必ず気づくと思われます。

もし、大量の破水があるのに放置すれば、胎児のいるスペースが狭くなり、胎児の肺の成長や関節の動きに支障が出たり、へその緒が圧迫されやすくなって胎児心拍が低下しやすくなる可能性があります。

また、羊膜の穴を通して母体や胎児に感染が起こる可能性があります。

高位破水になってしまった時の対処法


自分


妊娠週数を問わず、水のようなものが出てきた感覚があれば、病院に連絡し夜間でも受診しましょう。上にも書いたようにご自身で破水かそうでないか判断するのは難しいです。

病院


内診し、膣の中に羊水があるかを検査キットで調べ、エコーで胎児の状態や羊水量を確認し、状態によっては胎児の心拍をモニターし元気さを確認します。

母体の発熱や血液検査での炎症反応がないか検査する場合もあります。

高位破水の予防方法


子宮頸がんで円錐切除をされている場合や、以前の妊娠で早産や前期破水の経験があれば、検診の際に破水や子宮頸管の状態を確認し、必要に応じて子宮頸管を縛る処置を受けたり、安静にしたり、子宮の張りを押さえる薬を飲みましょう。

妊娠中に性行為をする場合はコンドームを使用して清潔を心掛けましょう。

最後に医師から一言


妊娠中は自分の体の状態が分からず戸惑う場合が多いですが、不安や異変を感じたら遠慮せず産院に連絡し相談しましょう。

(監修:Doctors Me 医師)