5月20日に幕を開けるU─20ワールドカップ。日本は5大会ぶりの出場となる。過去のU─20代表と比較して”突出した世代”とは言えないが、少なくともFWの顔ぶれは悪くはない。

「ストライカー不足」

 日本サッカー界で長く叫ばれ続けてきた中、可能性のある4人のFWが揃った。小川航基(ジュビロ磐田)、岩崎悠人(京都サンガ)、田川亨介(サガン鳥栖)、そして15歳の飛び級で入った久保建英(FC東京U-18)。それぞれ持ち味が違い、期待感は高まる。

 U─20W杯の調整試合になった、5月15日の北中米カリブ海代表ホンジュラス戦は、3─2と勝利を収めている。


U-20ホンジュラス代表戦では後半17分から出場した久保建英「ニアが空いているイメージがあったので、走り込もうと思っていました。FWはゴールを決めることで自信になります。自分のゴールでチームを勝利に導きたいと思っています」

 CKからヘディングで先制点を決めた小川は語っている。相手はゾーンディフェンスだったが、ニアのケアが怠慢で、小川はそこを見逃さなかった。ストライカーの嗅覚と言えるだろう。

 はたして、新世代を代表するFW陣は日本サッカーを牽引する存在になれるのか? U─20W杯はその試金石になる。

 大会に向け、FWは2トップが有力だが、ホンジュラス戦も先発した小川が中心になるだろう。小川は高さ、強さのある選手で、ボールを呼び込める。その点で同年代のFWの中では抜きん出ている。

「(どんなときも)いつも通りにやれるのが自分の強み。緊張して硬くなった、という記憶がないです。U─20W杯の初戦はみんな硬くなるかもしれないけど、自分のゴールで落ち着かせたい」

 小川は実にふてぶてしい。ゴールゲッターとして腹が据わっている。アジアを勝ち抜いた自信が拠り所になっているのか。スペイン語圏ではVANIDAD(うぬぼれ)をストライカーの資質とするが、小川はVANIDADが横溢(おういつ)した選手だ。

 うぬぼれによって、殻を破れるか。

 それに対して、岩崎はより洗練された技術を見せるFWだろう。例えばマークを外すなど予備動作のディテールに優れる。ボールを受けたときのスキルも高く、緩急の変化を使い、崩し、突破もできる。

 ホンジュラス戦でも、サイドに流れて1対1を制し、右からも左からもチャンスメイクしていた。技量が高く、俊敏性に長け、頭がいい。アタッカーとして万能で、サイドからもゴールを視野に入れられる。

 岩崎は一気に飛躍するというよりも、着実に日本サッカーを担う存在になっていくのではないか。

 田川は性質的には小川に近く、生粋のストライカーだろう。決して器用な選手ではない。コンビネーションも、周りと合わせるのに時間がかかる。しかし、最短距離でゴールまで運ぶ強引さを持つ。カウンターで力を発揮するはずで、ためらいなく振り抜ける。左利きなのもアドバンテージになるだろう。

 4人の中では田川が最も野放図で、いちばん底が知れない。鹿児島出身で、「東京では育たない。野性味がある」と、鳥栖のチームメイトたちもポテンシャルを評価する。日本代表は過去30年近く、九州からストライカーが多く出てきた。高木琢也、城彰二、久保竜彦、大久保嘉人、興梠慎三、大迫勇也など、ゴールを叩き込む「太さ」がある選手を生み出す土壌がある。

 田川はその系譜を継ぐことができるか?

 そして久保に関してだが、現状は周りが騒ぎすぎている印象が強い。2列目に落ち、ボールを受け、前を向く。そのプレーの精度は高いし、その後のアイデアも豊富に持っている。ホンジュラス戦も、記者席からため息が出るほどだった。しかし、実際は相手に引っかかってしまうパスも多く、簡単にボールロストをする場面も見られ、緩急の変化だけでは最後まで崩せない実状を露呈した。

「ボールを持って仕掛ける、ドリブルに注目してほしい」

 そう久保は語るが、真骨頂はむしろ速い球離れにある。ホンジュラス戦も、くさびのパスを左サイドの選手にフリック(流すようにコースを変える)し、好機を演出。ダイレクトパスにこそ、バルサ育ちならではのビジョンと判断のクオリティーが出る。シューターとしても、ケレン味のなさに魅力があるだろう。

 一方で、未成熟な選手に、ファンタジーなプレーばかりを求めるべきではない。例えばホンジュラス戦の延長戦(90分の試合の後に行なわれた30分1本の練習試合)で見せたループシュートは、非凡さの象徴として伝えられている。しかし、裏に抜け出すタイミングとボールコントロールは特筆すべきものがあったが、どんなに華やかでもシュートそのものを外したら何の実にもならない。

 今は何をしても「天才・久保」という見方になる。確かにひとつ下がってのプレーは見栄えはいいが、イニエスタのようにボールを握る(失わない)力はないだけに、ゴールに直結する仕事に心血を注ぐべきだ。

 ともあれ、FW陣は”四者四様”で楽しみな存在である。所属するトップチームでレギュラーはいないが、世界と遭遇することで才能が一気に開花することもあり得るだろう。誰が大化けするのか。U─20W杯は、その触媒として格好の舞台になる。

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