ネガティブな感情は、抑え込んだほうがいいのか

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テレビ出演多数の人気臨床心理士が、幸せを引き寄せる口ぐせの数々を、脳への効果や医学的理論を基に解説。自分の何気ない口ぐせをチェックすることの大切さをお伝えします。

自分の何気ない口ぐせをチェックする

 人には、知らず知らずのうちに多用している「口ぐせ」があります。多くの場合、無意識なので自分では全く気づいていません。

 私はよくカウンセリング中に、「よく○○とおっしゃいますね」などと、クライアントさんの口ぐせを紹介します。すると、皆さんたいてい「え、そんなこと言っていましたか?」と驚かれる。中には「嘘でしょ!」と否定する方もいるほどです(ちなみに、カウンセリングを受ける人のことを、心理学の分野では「クライアント」と呼びます)。

 前向きな、プラスの口ぐせならばいいのですが、ネガティブな口ぐせを知らず知らずのうちに多用していると、どんどんそういう人間になってしまうので要注意です。

 耳から入ってきた言葉は、脳を勘違いさせ、「自分はそういう人間なんだ」と思い込ませてしまいます。すぐに「もうダメだ……」と言う人がいますが、言えば言うほど物事はダメな方向に流れていきますし、ダイエットしている人が「自分は太りやすいから……」と言えば、「痩せたい」との意に反して太ってしまいます。

 もちろん、その口ぐせを聞いている周りの人も、あなたをそのような人だと認識してしまいます。ネガティブな口ぐせは、いいことが一つもないのです。

 ネガティブな口ぐせは、行動範囲をもぐっと狭めてしまいます。「もうできない」「私には無理」という口ぐせ、よく聞きますよね。「できない」「無理」と言ったとたん、自分で自分に「ここまで」と限界を決めてしまい、それ以上の頑張りや努力、挑戦をしなくなってしまうのです。

 とはいえ、もう何十年も無意識に使っている口ぐせですから、そう簡単に直せるものではありません。ただ、自分の口ぐせを「理解」し、「意識」するだけで、口をついて出る頻度を下げることは可能です。

 手っ取り早いのは、周りに聞くことです。

 家族や友人に、「私って何か口ぐせある?」「よく使っている言葉って何?」と聞いてみると、意外な口ぐせに気づけるかもしれません。

 可能であれば、自分が話している姿をビデオに撮ってもらうとより明確です。思いもしなかった自分の口ぐせに驚かされますよ。加えて、「話し方のくせ」……例えば声の高さとか、ペース、身ぶり手ぶり、表情などもつかめます。自分がどんな言葉を多用し、どんなふうに話しているのか、そして相手にどんな印象を与えているのか、客観的に見ることができるのでお勧めです。

 なお、ネガティブな「感情」自体は、抑え込む必要はありません。ネガティブな感情を抱くのはごく自然なことであり、その感情を無理矢理抑え込むのは心理学的な観点からもよろしくありません。ただ、「言葉にして出す」時には、プラスの言葉に変換してみてください。

 ネガティブな考えが浮かんだ時には、その感情をすぐにそのまま言葉にするのではなく、いったん受け止めて「それって本当なの? 根拠は?」と自分に問いかけてみましょう。それが、「ネガティブに偏った考えをポジティブな考え、現実に即したフラットな考えに変換する」トレーニングになります。

 例えば、好きな人にLINEを送って既読になったのに返信が来ないと、「嫌われたんだ」「私に興味がないんだ」とマイナスのことばかり思い浮かべてしまう……という方がいます。ただ、それをそのまま口にしてしまうと、「自分は相手に嫌われたんだ」と自己暗示をかけてしまい、ますます落ち込んでしまうことになります。

 そんな時は、あえて反対のことを想像してみてください。

 今ちょうど打ち合わせの最中で、LINEはたまたま見られたけれど返信する状況にはないのかもしれない。体調が悪くてとても返信する気力がないのかもしれない。今バタバタしているから後で返信しようと思っていたけれど、忙しくなってそれどころじゃなくなっちゃったのかもしれない。

……このようにプラスの見方をする努力をすると、ネガティブな思考に縛られなくなり、ネガティブな口ぐせを言わずにすみますよ。

(『幸せを引き寄せる「口ぐせ」の魔法』の本文の一部を掲載しました)