CPU・メインメモリ(DRAM)・ストレージデバイス・ネットワークデバイスで構成される従来のコンピューターの基本構成を離れた「新たな形」としてヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が開発を進めているメモリドリブン型コンピューター「The Machine」の新たな試作機が公開されました。これは、世界最大のシングルメモリー・コンピューターだとのこと。



HPE Newsroom | HPE Unveils Computer Built for the Era of Big Data

https://news.hpe.com/a-new-computer-built-for-the-big-data-era/

HPEでは会社史上最大の研究開発として、ビッグデータ用にカスタム設計された「メモリドリブン型コンピューティング」に取り組んでいます。そのプロジェクト「The Machine研究プロジェクト」の最新のマイルストーンが、今回発表された世界最大のシングルメモリ・コンピューターのプロトタイプです。

「メモリドリブン型コンピューティング」は「メモリ駆動型コンピューティング」「メモリ主導型コンピューティング」とも表現されます。従来のコンピューターは中心にCPUが据えられていますが、「The Machine」ではDRAM・HDD・SSDなどを1つにまとめた不揮発性のユニバーサルメモリが中心に置かれ、この巨大なメモリプールに対してSoCがフォトニクス技術でアクセスします。ユニバーサルメモリによって入出力のボトルネックが解消され、システムパフォーマンスが劇的に高速化します。このことは、2015年10月に丸の内で開催された「HP Tech Power Club 2015 総会 秋」でも報告されています。

The Machine:これがすべてを変える! | HPE 日本

http://h50146.www5.hpe.com/products/servers/techpower/report/soukai_20151022.html



アメリカ国民3億2000万人から1人を探し出すという画像検索のパフォーマンスシミュレーションを行ったところ、ユニバーサルメモリ搭載のThe Macineはディスクベースのクラスタ、インメモリベースのクラスタの両者を圧倒する数字を出しました。以下のグラフは赤色がディスクベース、黄色がインメモリベース、緑がユニバーサルメモリで、横軸は画像枚数、縦軸は処理速度(単位はミリ秒)を示しています。対数グラフになっているので、ユニバーサルメモリはほか2つを圧倒する速さだったことがわかります。



2016年11月に開催されたイベント「Discover 2016 London」では最初の実証実験に成功したことが報告されています。

HPE、メモリドリブンコンピューティングを実現する次世代マシン「The Machine」のプロトタイプ動作実験に成功と発表 − Publickey

http://www.publickey1.jp/blog/16/hpethe_machine.html

今回発表された新たなプロトタイプは「The Machine研究プロジェクト」の成果をもとにしていて、高性能なファブリックプロトコルで相互接続された40の物理ノードで160TBのメモリを共有。OSはLinuxベースで、最適化したCavium製SoC「ThunderX2 ARM Processors」を使用。新たなX1フォトニクスモジュールを含むフォトニクス/光通信リンクがオンラインで動作します。

HPEのメグ・ホイットマンCEOは「産業を変えるような革新や生活を変えるような技術、次の大きな科学的大発見の秘密は、我々が日々生みだしている膨大なデータの山の背後に隠れています。この望みを実現するには、過去の技術に頼るのではなく、ビッグデータ時代へ向けたコンピューターを生み出す必要があるのです」と語っています。

「根本的に新しい出発」と表現されているこのプロトタイプを、チーフ・アーキテクトのKirk Bresnikerさんは物事の流れやあり方を大きく変える「ゲームチェンジャーになる」とコメントしています。



The Computer Built for the Era of Big Data - YouTube

160TBのメモリによって扱えるデータ量は、本で例えるとアメリカ議会図書館5つ分に相当する1億6000万冊分。また、アーキテクチャは最大で4096YB(ヨタバイト)、つまり1兆TBまで拡張が可能であり、いま現在のシステムでは不可能なリアルタイム・インサイトが得られたりすることが期待されます。