連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第6週「椰子の実たちの夢」第38回 5月16日(火)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武 


38話はこんな話


しょげた澄子(松本穂香)が、仕事でもミス連発。叱られて、その夜、姿を消してしまう。

松下、こわい


37話に出てきた澄子のおばあちゃん(大方斐紗子)の回想が、唐突なロケで面白かった。
澄子の語りだけで済ませず、ちゃんとロケで撮っているのがいい。語りだけでは済まないエピソード(おばあちゃんの腰の状態)を書く岡田惠和も、それに応えてちゃんと撮るスタッフにも心意気を感じる。
今回の制作チームがどうできたか、「みんなの朝ドラ」(本日発売)収録の岡田惠和インタビューでも触れています。

こんなに孫思いのおばあちゃんは、澄子にはがきを書けないのだろうか。そこにも色々事情があるのか。後妻がはがきもくれないとか・・・。

澄子は、夜中に泣き続け、眠れなかったものだから、翌日、ミスばかりでラインを止めて、「(やる気がないなら)田舎帰れ!」と松下(奥田洋平)に叱られてしまう。
言い方がきつ過ぎて、乙女たちは反発。
でも以前、ノルマが上がっていて、間に立つ身としては苦労していることを語っていたので、松下には松下なりに焦りがあるのだろう。


上野駅、こわい


澄子がいなくなってしまった。
ばあちゃんに会いたくて、帰ってしまったのでは、とみね子(有村架純)たちは、上野駅まで探しに行く。
殺伐とした上野駅で、チンピラ四人組が絡んできて、危なくどこかに連れていかれそうに・・・。
「わたしたちは行き場のない迷子なんかじゃない。
ちゃんと自分たちの力で自分たちの場所で生きてます。ばかにしないでください」と
幸子(小島藤子)が毅然と突っぱねる。さすが、恋人が共産主義者(勝手にそう決めつけていますが、明言はされていません)。
チンピラは、みね子たちが上野駅をうろうろしているとき、引きでもさりげに映っている。そういう細かいところが良い。
ただ、上野駅セットはかなり広いが、乙女寮周辺の道のセットは狭く、どうしても俳優の歩き方がのろのろしてしまうように見える。仕方ないとはいえ、そこがほんのちょっとだけ残念。

澄子、病院に


命からがら、寮へ逃げ帰って来たみね子たちに、澄子が病院に運ばれた、と知らされ、今度は病院へ向かうと、澄子はのんきにバナナを食べていた。
真相は、元気になって夕飯のカレーを食べる(「挑む」と表現)ために銭湯に行ったら、のぼせてしまったというたわいないものだった。ほんとうに澄子は天然。悲しい身の上でも、深刻になり過ぎないのが救いだ。

時子(佐久間由衣)に背負ってもらって、帰り道、愛子(和久井映見)がラーメンをおごってくれると言う。
「椰子の実」やら「迷子」やら、自分の立場をマイナスに感じてしまうみね子だったが、乙女寮の人たちの人情に触れて「私たちは決して迷子なんかじゃない、そう思います」と噛みしめる。

バナナはこの時代(1965年)、高級品だったと増田明美のナレーション。それより20年くらい前、「べっぴんさん」33話の戦後でもありがたいものとして出ていた。
ラーメンは、「ラーメンと愛国」(速水健朗著 講談社現代新書)によると1966年(ドラマの1年後)には一杯50円。朝ドラ「とと姉ちゃん」のモチーフになった「暮しの手帖」にもラーメンのレシピが掲載されたこともあったというから、ラーメンがいかに庶民の暮しに根ざした食べ物なのかがわかるではないか。