「ビジネス課題」を解決する、日本とアジアのワークプレイス4選

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「企業の抱えているビジネス課題を解決するオフィスとはどういうものか」。

Forbes JAPANではコクヨ主幹研究員、山下正太郎氏監修の元、世界中の優れたワークプレイスの中から、上記の観点で10のオフィスを選抜した。単純なビジュアルの美しさではなく、その背景に思想やコンセプトがあり、今度のトレンドになるオフィス──。欧米編に続き、日本、韓国、オーストラリアの4つのワークプレイスを紹介する。

ピクシブ本社(東京)
お互いの刺激を極限まで高めた日本らしい雑多な空間

ピクシブは、国内最大のイラスト投稿・交流サイト「pixiv」を運営するインターネットカンパニー。「クリエイティブな成果は、チームでの仕事から生まれる」という理念から、朝10時には社員全員が揃い、一体感を持って働くことを徹底する。

壁のない環境に人が境なく収まる空間デザインも、チームの連携を深めることが狙い。設計はチームラボが手掛けた。オフィス全体に広がる曲がりくねった机は、「机の森」と題した創業者・片桐孝憲のポエムがモチーフ。「近接性」という西海岸の価値観を日本的に解釈したワークプレイス。



出入り口は、机がトンネル状に隆起した2ヶ所のみ。雑然と並ぶ机の輪の中に入れば、簡単には出られない。限られた通路が、偶発的な社員間のコミュニケーションを誘発する。ワークプレイス内には、アイデアや意見を出しやすい環境をつくるため、カラフルな「ビタミンカラー」が多用されている。

神山バレー(徳島・エリア一帯)
都市集積のトレンドに逆行 人を呼ぶ”創造的過疎地”

徳島県神山町にある神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスは、2007年より現地で移住支援を行っていたNPO法人グリーンバレーが、13年に設立。コンセプトは、「人も場所も成長するオフィス」。Sansanなど、入居する11事業者は、新規事業開発や研修、東京とのリモートワークなど、コワーキングスペースを自由に活用。近隣の古民家を改修し、生活拠点としての魅力も高める。

企業や住居の都市集積が世界的トレンドである中、自然豊かな環境は希少性の高い”創造的過疎地”として、訪れる人にクリエイティブな刺激を与えている。





閉鎖された元縫製工場を改修したコワーキングスペース。2015年には対面に、県外からの移住者が運営する古民家を改修した宿泊施設「WEEK神山」が新設された。起業家、移住者、地域住民が形成するコミュニティから、神山発の先進的なビジネスの創出を目指す。

NHNエンタテインメント本社(ソウル)
アジアのワークプレイスを牽引韓国の若者を引きつける秘策

NHNエンタテイメントは、2013年にNHNからゲーム事業が分社化された世界的ゲームカンパニー。売上高は848億円、従業員は関連会社も含め1500名(16年)。西海岸の価値観を韓国で体現し、強いトップダウンでテックタレント向けに戦略的なワークプレイスデザインを行う。

特筆すべきは、手厚い社員サポート。朝食・昼食・夜食も無料。オフィス併設のジムも社員は無料で利用できる。女性社員には授乳室が完備。近隣に新たに託児施設も建設中。社員の心と体のコンディションは会社の生産性に直結するという明確なコンセプトを持つ。





競争力を高めるため、「開発」と「コミュニケーション」のスピードアップを図る狙いで設計されたオフィス。コンセプトデザインは同社のブランドチームが手掛けた。地上10階、地下1階建ての中央に位置する「中階段」は、フロアによって分断されている社員たちを繋げる機能を果たしている。

ナショナル・オーストラリア銀行本社(メルボルン)
働き方先進国・オーストラリア 場所と時間を仕事から切り離す

オーストラリアでは、NABに代表される大手金融機関の多くが、時間と場所を既定せず、ワーカーが働き方を選択できる「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」を採用。ABWでは、個人ワークは在宅など、各々が生産性の上がる場所で実施するため、企業はチームワークの場所だけを持つコンパクトなハブを都心に用意すればよい。

NABのオフィスは、ビジネス街の中心・サザンクロス駅からわずか100m。ワークライフバランスの実現、長時間の車通勤からの開放、豊かな都市体験など、ウェルビーイングな生活をワーカーに提供する。





空間のコンセプトは、ワーカーに自由と開放感をもたらすこと。そして、個人に自由を与えるステージを超え、チームが自由に働ける環境の提供すること。「チームのための空間づくり」が各所で意識され、チームが集う場所として「ハブ」と呼ばれるスペースが各フロアに全8カ所設置されている。