メキシコ・ソノラ州サンタクララ湾で、網にかかったトトアバ(上)とコガシラネズミイルカ(1992年2月撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】世界自然保護基金(WWF)は15日、メキシコ原産のネズミイルカであるコガシラネズミイルカが、来年までに絶滅する恐れがあると警鐘を鳴らした。WWFは、刺網禁止を含む緊急対策の必要性を訴えている。

 WWFが15日に発表した報告書によると、希少な哺乳動物であるコガシラネズミイルカの生息数は現在、30頭以下にまで落ち込んでいる。全ての個体はカリフォルニア湾(Gulf of California)北部に生息しているが、野生の個体数は2011年の250頭から、6年足らずで90%の激減をみせた。

 WWFメキシコ支部のマリア・ホセ・ビジャヌエバ(Maria Jose Villanueva)氏は、「今手を打たなければ、このネズミイルカは2018年までに絶滅する」としながら、「それを失うことはメキシコの一部を失うこと」だと語った。同氏は、コガシラネズミイルカの生存に対し唯一知られている脅威は刺網と指摘。刺網漁では、長い網を壁のように垂直に垂らし、泳いで通りぬけようとする魚をひっかけて捕える。

 この地域での刺網は、トトアバを狙うために用いられている。トトアバは、コガシラネズミイルカとほぼ同じ大きさの魚で、同じく絶滅の危機にある。もちろん違法だ。密輸業者らはトトアバの乾燥した浮き袋を中国に出荷して、1キロ当たり2万ドル(約225万円)を稼ぐ。浮き袋はスープの材料や薬として使用されるという

 刺網では、その他多くの生物も同時に捕獲される。WWFによると、刺網により意図せず死ぬ海洋哺乳類と鳥類は、世界で毎年約70万匹に上る。

 ビジャヌエバ氏によると、昨年2月から今年の4月までの間に、メキシコ湾では374枚の刺網が除去された。だがコガシラネズミイルカの生息数は落ち込む一方で、今年に入ってから既に6頭の死が報告されている。

 メキシコ政府による2年間の刺網使用禁止は、あと2週間足らずで終了する。

 同国の環境当局および自然保護団体は現在、コガシラネズミイルカを「臨時の保護区」に移し、安全な環境で繁殖できるようにする緊急計画に取り組んでいる。計画の開始は9月ごろを予定しているという。WWFの専門家らは計画を支持しているが、慎重な姿勢は崩していない。
【翻訳編集】AFPBB News