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●ドローンで海の中の景色を眺めたい
中国PowerVisionGroupは16日、潜水ドローン「PowerRay」を発表した。レジャー向けの製品で、海中の様子を4K動画で撮影できるほか、VRゴーグルを使いながら操縦することで、海の中を遊泳しているかのような感覚が味わえる。釣り人に向けた機能も充実しており、「魚群探知機」や「釣り針投下」などの機能も利用できる。価格は168,000円(税別、以下同)から。

○海洋大国、日本のニーズに期待

同日開催の製品発表会には、PowerVisionの創業者でCEOのウォーリー・ヅェン氏が登壇した。同社はすでに、空を飛ぶ2タイプのドローンをローンチしている。しかし最新モデルのPowerRayが目指したのは空の上ではなく、水の中だった。ウォーリー氏は「私たちは常に、ユーザーの要望に耳を傾けて製品を開発している。ドローンで海の中の景色を眺めたい、今回はそんな想いで製品化した」と説明する。

具体的には、どのような用途が考えられるのだろうか。ウォーリー氏は、想定される2つのターゲット層を説明した。「ひとつは、ボートやヨットを持っている人たち。海に出る時に、海中を見たいと思う。そんなときにVRゴーグルなどを使ってもらえれば。もうひとつは、釣り人たち。魚を探しやすくなるので、釣りがもっと楽しめるのではないか」。このほかにもレアケースではあるが、ワカサギ釣りなどの氷釣り、海洋考古学、またレスキューなどでも活用できるとしている。ウォーリー氏は「日本は海洋大国。今後も市場のニーズを分析して、皆さんに喜ばれる製品を提供していきたい」とアピールしていた。

○魚群探知モードも

続いて、販売担当取締役のセージ・ラターマン氏が登壇して製品の詳細を説明した。PowerRayは最大で深度30mまで潜れて、速度は低速度、スタンダード、プロの3段階で切り替えられる。ちなみにプロモードでは、秒速2m/sまで上げることが可能。搭載された4K UHDカメラは95度の広角で、4K/25fpsの映像を撮影できる。静止画は最大5枚までの連写に対応した。

中・上位モデルでは魚群探知モード(ソナーモード)をサポート。また専用アプリにより、魚群分布や水中温度、深度、海底風景、その他の詳細情報を取得する。最上位モデルには、釣り針を理想の場所に投下する機能もついている。複数のVRゴーグルを同時接続すれば、友人たちと一緒に海中を探索可能だ。

PowerRayは同梱される製品や利用できる機能が異なる3モデルを提供する。基本的な機能が利用可能な「EXPLORER」は168,000円、中位モデルの「ANGLER」は208,000円、持ち運びに便利な専用のスーツケースまで同梱される上位モデル「WIZARD」は218,000円となっている。なお、販売時期は6月上旬から中旬頃になる予定だという。

●無線で動かすことはできるの?
○無線で動かすことはできるの?

ウォーリー・ヅェン氏が記者の質問に回答した。無線で動かすことはできるのか、という質問には「ドローン本体についているケーブルは、送信機(プロポ)に繋がっているわけではなく、撮影した映像をモバイル端末にリアルタイム転送するためのベースステーションに繋がっている。海底の映像を地上で確認するためにケーブルを使っている」と回答。つまりドローン本体は無線で動いているようだ。しかし、ケーブルが切断された場合に(回収の利便性を考慮して)ドローン本体が自動で海面まで浮き上がる仕様のため、結論としてケーブルは外せない(無線で動かすことはできない)ということだった。

また、技術的に苦労したところについて聞かれると「水中で安定して静止させるためには、製品に水と同じ体積が必要になる。そこで本体だけでなく回路、ケーブルに至るまで精密に体積を計算しながら開発していった」というエピソードを明かした。

このほか、競合する他社製品と比較した場合の優位性について聞かれると「このスペックで製品を量産し、この価格で販売するというのは、他社では実現できないことではないか」と回答。なおPowerVisionGroupではPowerRayを単なるドローンとしては捉えておらず、画像や映像の撮影のほかにフィッシング用途などでも活用できる、必要に応じて機能を付加していけるロボットと捉えているために、純粋な意味での製品比較にはならないとも説明していた。

説明会の終了後には、屋外ではデモが行われた。

潜水するドローンという、ユニークな立ち位置を狙うPowerRay。製品デモを見た限りでは水中でも安定しており、操作性も良かった。静音性にも優れている様子で、モーター音で魚を驚かせるようなこともなさそうだ。そこで、本稿では敢えてネガティブな要素を洗い出したい。

まず、川釣りで利用するのは難しそうだ。国内には急流の河川が多く、川底も浅い。すぐに座礁してしまう。次に湖だが、例えば釣り人に人気の霞ヶ浦(茨城県)では透明度が2mを切る。綺麗な湖となると数が限られるのが現状。PowerRayが活躍できそうなくらい透明度が高いと、今度は国立公園の特別保護区などに指定されている。そこで、やはり海ということになる。例えば八丈島(東京都)や、沖縄地方の美しい海なら大活躍してくれるだろう。

最後は仕様について。水中における安定のために、実はPowerRayはズシリと重い。どのくらい重いの? と思う方は、PowerRayと同じ体積の入れ物に水を満たしたときの重さを想像してみて欲しい。潜水艦ゆえに仕方のない問題だが、これは遠距離を運ぶ際のネックになる可能性がある。

そして惜しまれるのが、ケーブルでつながっているということ。同社では、高画質の映像をリアルタイムで転送するために不可欠だと説明している。しかし、リアルタイム映像の画質が多少荒めだとしても、無線で動くモデルの需要も高そうな気がしてならない。

要求が高いのは、期待の高さゆえ。目のつけどころが非常に面白い製品であることは疑いない。空を飛ぶドローンには夢があるが、海の中を自由に泳げるドローンにもロマンがある。そんなことを思った。

(近藤謙太郎)