自身最多公演数となったツアーはアルバムをさらに昇華させホールに響かせたコアラモード.(撮影=新倉映見)

 あんにゅと小幡康裕による音楽ユニットのコアラモード.が去る4月29日に、神奈川・関内ホールでワンマンツアー『THIS IS COALAMODE.!!2017 〜春らんらんツアー〜』の追加公演をおこなった。2月8日にリリースした1stアルバム『COALAMODE.』を引っ提げて、3月から地元・横浜BAYSISを皮切りに、ライブハウス公演5カ所、ホール公演3カ所の計8公演を展開。自身最多公演数となったツアーは、サポートバンドとの絆を強く感じられたステージであった。この日は、「ダンデライオン」や「未来」などアンコール含め全20曲を歌唱。ポップチューンからバラードナンバーまで、メリハリの効いたセットリストで観客を楽しませた。また、10月28日に神奈川・大さん橋ホールでワンマンライブ『We Are Coalamode.!!2017〜ソーレ♪ソレソレ秋祭り〜』の開催も発表した。

地元・横浜公演は「ダンデライオン」で幕開け

あんにゅ(撮影=新倉映見)

 開演前、ステージには桜の木の枝を模したオブジェが至る所に飾られ、まさに“春らんらん”といった趣を醸し出していた。BGMにはジャジーな楽曲や、しっとりとしたバラードが流れ、会場はリラックスムード。

 定刻になり会場は暗転。あんにゅの飲み友達だという甘粼くみ子さんによるナレーションの前説。セクシーな声で会場を開演へと導いていく。甘粼さんによる「春らんらんツアースタート〜!」の合図から、SEをバックにサポートメンバーがステージに登場。ほどなくして、あんにゅと小幡もステージに。あんにゅはギターを手に取り、アルバムでも1曲目を飾る「ダンデライオン」で追加公演の幕は開けた。メロウなナンバーでの始まり、歌と演奏は徐々に熱を帯びていく。続いて、3rdシングルの「さくらぼっち」と花をモチーフにした楽曲で聴かせていく。

 曲が終わり、暗転中に観客から「お帰り〜」とフライングで声をかけられ、あんにゅは声を潜めながら「まだ早い早い」と観客に投げかける場面も。仕切り直し改めて「ただいま〜!」と地元横浜に戻ってきたことを元気な声で伝えた。観客からも「お帰り〜!」とコール&レスポンス。地元公演らしいほっこりとした空気感に包まれた。MCのあんにゅと小幡のアドリブによるスリリングかつ、楽しいやり取りもコアラモード.のライブの魅力の一つ。小幡のエナジードリンク好きをネタに弄るあんにゅに、困る小幡が印象的だった。

 ニューアルバムから、リズムの展開がコアラモード.の新しい一面を見せた「損得感情」、イントロや間奏ではあんにゅがアフリカの楽器であるカズー(膜鳴楽器)で参加。サビではロック魂を爆発させるかのような2ビートで畳み掛ける。この節操のない場面転換にも観客も盛り上がる。続いての「流れ星」では両手でしっかりとマイクを持ち、気持ちを注入するかのように歌い上げる姿が印象的だった。「豆の木」では場面転換とも言えるセクションで、小幡が赤い鍵盤ハーモニカで楽曲の世界観を彩る。

 地元への感謝を込めたインディーズ時代の楽曲「メモリーズ」。情感を込めた歌は感謝に溢れ、会場全体にその思いが浸透していくようだ。続いて、「ママのママのママのママ」で家族の絆を、温もりのある歌とサウンドで包み込む。そして、あんにゅのセリフから「拝啓、5年後の私」、後藤秀人(Gt)のスライドバーによる演奏が楽曲にインパクトを与え、野球場の照明と青い空の映像が楽曲のイメージを高めた「碧空の下〜flower of youth〜」と、力強くも存在感のある歌声で紡ぐ。歌詞にリンクするように映像の天候も嵐や夕焼けと変化。空模様が曲の感情を表現しているようだった。

 ここで、バイオリンの高橋和葉(Vn)が参加し「ありがとう、そしてさよなら」、「充電器」と叙情的なバラードナンバーを届ける。あんにゅの儚くて切ない感情が、歌と表情から滲み出る。そして、あんにゅと小幡、高橋の3人でアルバム曲から「海」を披露。あんにゅの体全体を震わせるような、迫真の歌声に観客も静かに耳を澄ます。3人という編成とホールならではの響きの中、歌の存在感を強く打ち出したバラードナンバーは、さらにスケール感を広げ、聴くものの感情を揺さぶっていく。

 しっとりとしたセクションから一転し、「Dan Dan Dan」で後半戦の幕開け。元気いっぱいのあんにゅは、リズムに乗って跳ねながら楽しそうに演奏。続いて、ギターを置き、ピンクのポンポンを両手に持ち踊るあんにゅが印象的だった「Hop Step Jump」。新たな挑戦の一つとなった踊りながらの歌唱は、観るものに活力を与えてくれるようだった。そして、「みんなにも踊ってもらいたいと思います」とあんにゅが投げかけ始まったのは「Dive!」。軽快でファンキーな曲調に、観客も手振りと手拍子で一体感を作り上げていく。

 そして、歓声が上がるなか、インディーズ時代からの人気曲で4thシングルの「雨のち晴れのちスマイリー」に突入。サビではあんにゅの手振りを会場全体が同じ動きで、さらに一体感を高める。歌がないセクションではステージ前方まで赴き、生声で「ありがとう」と感謝を伝えるあんにゅの姿も見られた。

 本編ラストは高橋も再び参加しての「七色シンフォニー」。バイオリンの音色も鮮やかに響き、会場を臨場感豊かに包み込んでいく。NanaN.(Perc)のパーカッションなど、様々な楽器のアンサンブルによって、まさに七色のように色鮮やかに輝かせた。そんな、キラキラとした空間が広がるなか、本編を終了した。

みなさんの顔ひとり一人を思い浮かべながら

小幡康裕(撮影=新倉映見)

 アンコールを求める手拍子。スクリーンにバスが進行していくアニメーションが投影される。進んでいく毎に現れるバス停の標識には、本日のセットリストが書かれている。アニメの最終地点はアンコールと書かれたバス停でストップ。小幡とサポートメンバーがステージに登場。続いて、バスの運転手に扮したあんにゅがハンドルを持ってステージに。その運転手スタイルでメンバー紹介。8カ所のツアーを共にしてきた、メンバーへの愛情が感じられたメンバー紹介であった。

 アンコール1曲目は「みんなのバス」を届けた。初夏を感じさせる爽やかでポップなナンバーは、心ウキウキと弾ませる。途中小幡による<何もしてねえ、マジやばくね>のセリフでブレイクすると、会場からは歓声が起こった。MCではあんにゅが持っていたハンドルを小幡に渡そうとすると、小幡の昔の夢がバスの運転手だと明かす場面も。続いて、みんなへの応援歌「Hurray!(フレー!)」を披露。ミディアムなテンポ感に情景が見えるようなメッセージを詰め込んだ楽曲。エンディングでは会場全体で<フレー!>とシンガロングも。

 あんにゅは「みなさんの笑顔をもっともっと見たいなと思って、今日この会場で歌わせてもらっています。次に向けてみなさんの顔ひとり一人を思い浮かべながら、楽曲を作っていきたいなと思っています。みなさんの力がなければこのツアーも出来なかったです。そんな感謝と、さらに『大きくなるぞ!』という決意も込めてお届けしたいと思います」と、ラストは高橋のバイオリンも参加しフルラインナップで「未来」を演奏。明るい未来へ向かって、真っ直ぐに伸びてゆくようなあんにゅの、儚さと力強さが同居した歌声が、ホールいっぱいに響きわたった。

 訪れた観客に感謝を告げ、あんにゅと小幡がステージを去ると、スクリーンにはリハーサルの様子などツアーの歩みが記録された映像が流れた。ライブの余韻を浸るかのように、静かに映像を見つめる観客。コアラモード.最多となるツアーは幕を閉じた。

(取材=村上順一)

小幡康裕(撮影=新倉映見) ライブのもよう(撮影=新倉映見) ライブのもよう(撮影=新倉映見) あんにゅ(撮影=新倉映見) ライブのもよう(撮影=新倉映見)
小幡康裕(撮影=新倉映見)

セットリスト

『THIS IS COALAMODE.!!2017 〜春らんらんツアー〜”』追加公演

4月29日 神奈川・関内ホール 小ホール

01.ダンデライオン
02.さくらぼっち
03.損得感情
04.流れ星
05.豆の木
06.メモリーズ
07.ママのママのママのママ
08.拝啓、5年後の私
09.碧空の下〜flower of youth〜
10.ありがとう、そしてさよなら
11.充電器
12.海
13.Dan Dan Dan
14.Hop Step Jump
15.Dive!
16.雨のち晴れのちスマイリー
17.七色シンフォニー

ENCORE

EN1.みんなのバス
EN2.Hurray!(フレー!)
EN3.未来