中国の「一帯一路」構想に世界各国が期待 英米に代わるグローバル化の旗手になれるか

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 道路、鉄道、港湾などのインフラ整備を行い、中国とアジア、欧州、アフリカを結びつけ新たなシルクロードを作ることを目指す「一帯一路」構想の国際会議が、14日北京で開かれた。中国の習近平国家主席は、この構想はすべての国に開かれているとし、世界中からの参加を呼び掛けた。また、協力と互恵の新しいモデルを創造すると表明し、新たなリーダーシップも見せた。「一帯一路」を巡っては問題点も指摘されているが、全般的に歓迎する意見が多いようだ。

◆ポスト英米。中国はグローバル化の旗手?
 会議には、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領を含む29ヶ国のリーダーと約130ヶ国の代表団が集まり、国連、国際通貨基金、世界銀行のトップも参加した。ただし、G7からの首脳の参加はイタリアのみだった。

 オーストラリアのローウィ―研究所のピーター・カイ氏は、トランプ政権誕生、ブレグジット決定後で、英米というグローバル化を先導してきた2国がその関与を弱めているなか、グローバル化の新たな推進役としての中国を宣伝するには良い機会であったと見ている(ガーディアン紙)。

◆途上国は歓迎。ロシアも中国に接近中
 ガーディアン紙によれば、多くの途上国は「一帯一路」を歓迎しているという。エチオピア首相は、アフリカの途上国にとって中国は経済的成功の模範であり、貧困撲滅のための頼れる味方だと称賛。「一帯一路」の一環として「中パ経済回廊」の開発が計画されているパキスタンの首相も、「新時代の幕開け」と讃えている。一方、「中パ経済回廊」が、印パ両国が領有権を主張するカシミール地方を通ることから、インドは「一帯一路」を猛批判しており、会議への代表派遣を拒否した(ロイター)。

 ドイチェ・ヴェレ(DW)によれば、地理的に構想の中心となる中央アジアの国々も「一帯一路」を支持している。これらの国々は、老朽化したインフラを再整備するため、これまでも中国からのローンや投資に頼っている。一部の旧ソ連の国々においては、かつてのロシアの役割を中国が担っており、その影響力は多大だ。

 ロシアにしてみれば、自分の裏庭で中国の経済的影響力が高まることは脅威であるため独自の経済共同体を模索したが、中国に対抗できるほどの財政的手段に欠けるうえ、ウクライナ問題で西側の経済制裁が始まり、中国に近づくことを強いられるようになったという。ロシアもまた、「一帯一路」による経済的利益を期待しているとDWは説明している。

◆先進国も経済的恩恵に期待。日本も方針見直しか?
 西側先進国の間でも、「一帯一路」への期待は大きい。もともと中国との協力に前向きだったイギリスのハモンド財務相は、イギリスは新シルクロードにおいては「当然のパートナー」と発言。アメリカ国家安全保障会議のポッティンガー・アジア上級部長も、アメリカ企業の参入を踏まえて歓迎の意向を示した。貸付のガイドラインに、より透明性が必要と注文は付けたが、ドイツも自国企業は「一帯一路」を支持するとしている(ロイター)。

 DWは、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも加わらず、アメリカとともに「一帯一路」への反対を表明してきた国であると日本を紹介しているが、その日本も大代表団を北京に送った。日経アジアン・レビューは、北朝鮮問題などを踏まえ、影響力を持つ中国との関係改善が必要と判断したと見ている。

◆結果は中国次第。金をばらまく植民地式では失敗に
 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、大国は自国製品のマーケット開拓と政治的影響力を拡大するため、貧しい国に金を渡してきたとし、中国の場合も植民地的パターンの繰り返しという見方があると述べる。しかし、実は「一帯一路」のアジェンダには低い貿易障壁と規制調和が含まれており、単なる開発プロジェクトではなく、経済成長が伸び悩む地域における貿易への刺激策でもあると同紙は説明する。「一帯一路」の影響を受ける多くの国々は、より良いインフラとより深い国際的な貿易関係を必要としており、よい結果をもたらす可能性もあると述べる。

 ただし、「一帯一路」の成功は中国次第だとFTは述べる。中国は、国内では投資しきれない金余りになっており、多くの産業では過剰設備を抱えている。余った資金の行く先を見つけ、自国の建設会社に海外での仕事を与えるのが目的であれば、それは相手国の求めるものではないため、結果的に融資を回収できず、不良債権を増やして中国の金融システムを詰まらせてしまうことになる、と警告している。また、「一帯一路」が地域における覇権のためで、様々な紐付きということにでもなれば、融資を受けることに二の足を踏む国も出ると指摘している。

Photo via Kaliva/shutterstock.com