JR東海の「そうだ 京都、行こう。」は、毎回美しい音楽に乗せて仁和寺や妙心寺、石清水八幡宮、南禅寺などといった京都の歴史ある名所が紹介され、つられて思わず「そうだ京都に行こう!!」と旅行を計画する人が後をたたない人気のキャンペーンです。

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 このキャンペーンの2014年初夏のバージョンは「比叡山延暦寺」でした。キャンペーンでは毎年4〜5種類のポスターを展開していますが、毎度場所が違うことから2014年のものと言えど、ポスターなどは場所によって長期張り出されることがあります。その一つがついこの頃ネットで注目されていました。

▼「そうだ 京都、行こう。」のポスター
http://souda-kyoto.jp/campaign/archives_summer.html

 比叡山延暦寺は京都市と滋賀県大津市にまたがる比叡山全域を境内とする寺院。境内には京都も含まれますが、所在地は滋賀県大津市となっています。そう考えると確かに、「そうだ 京都、行こう。」と京都よりでハッキリ言い切られるのには若干の違和感があります。滋賀県どこいった!と。

 なぜ「そうだ 京都、行こう。」と言い切られているのだろう? JR東海のキャンペーンページをのぞいてみると、答えのヒントが書かれていました。

 比叡山は琵琶湖の西にあって、都の鬼門を守護することから古くより都人に崇められてきたそうです。また、「山全体を境内とする比叡山 延暦寺は、滋賀県に属しながらも1994年に「古都京都の文化財」として世界文化遺産(ユネスコ世界文化遺産)に登録され、京都にも身近なお寺です。」(「そうだ 京都、行こう。」公式サイトより引用)と紹介されています。

 「古都京都の文化財」扱いは理解できたけれど、滋賀県の方はどう思っているのだろう?そう思い、現在滋賀県の大学で都合良くも地理を専攻している知人に話しを聞くことができました。

 「そうだ 京都、行こう。」で紹介している点については、滋賀県民的にも「比叡山延暦寺は京の鬼門封じのために最澄が開いてますし、JR東海の記述で特に間違いはないと思います。」という認識だそうです。ただし「延暦寺の所在は滋賀県と小学校の地域教育でも取り扱うところがあったりします」と地元の小学校では指導していると教えてくれました。

 ちなみに、滋賀県民にとって比叡山延暦寺を京都くくりで紹介している点についてどう感じるか聞いてみると「『古都京都の文化財』だし、文句を言うような人はほとんどいないと思いますが、でも「実は滋賀県の世界遺産やねん」って言い出す人はやはりいると思いますよ」とのことでした。

 所在は滋賀県だけれども、境内には京都が含まれ、さらに世界遺産としては「古都京都の文化財」カテゴリ。なかなか複雑な事情がゆえ今回上がった話題。この件に関する議論は今後も続きそうですが、比叡山はこれからの季節美しい緑色に包まれます。キャンペーンポスターを見てグッと来られた方は、今年の夏に比叡山への訪問を検討してみてはいかがでしょう。折角ならばそのまま琵琶湖まで戻り自然豊かな景色を眺めるのがオススメ。全くの余談ですが、時代劇に登場する海のシーンでは、琵琶湖を海にみたて撮影されていることがあります。そばに行けばわかりますが、海と見まごうばかりの広さ。その大きさにもふれに訪れてみては? ただし、お天気の変化には気をつけてくださいね。

・掲載画像:写真AC(根本中堂、比叡山周遊案内図)

(天汐香弓)