Doctors Me(ドクターズミー)- 疲れの原因は浅い呼吸?酸素不足が及ぼす体への悪影響

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私たちが呼吸をするのに欠かせない酸素。

2017年5月15日、市川海老蔵さんがブログ内で「心配や不安で無酸素状態が多くなり、疲れていた」と報告されており、呼吸について語られておりました。(参考)

呼吸が苦しくなるような感覚というのはどのような時に起きるのでしょうか。また、理想的な酸素濃度や、酸欠について医師に詳しく解説していただきました。

人間と酸素の関係


海老蔵さんが言っているのは、本当に体から酸素がなくなった状態という意味ではなく、「無意識に呼吸が浅くなり、深い呼吸ができていない状態」というような意味と思われます。

呼吸にはなぜ酸素が必要か

そもそも人間がなぜ酸素を必要とするかというと、食物からエネルギーを作り出すため、もしくは体内で起こる様々な化学反応の過程で酸素が必要とされるからです。酸素は体内に貯めておくことができず、常に呼吸をして取り込み続ける必要があります。

酸素飽和度

肺で血液中に取り込まれた酸素は、血液中の赤血球に入り、ヘモグロビンと結合して体内を運ばれます。血液中にあるヘモグロビンのうち何パーセントが酸素と結びついているかを表した数値が酸素飽和度です。酸素飽和度は指先を挟む小さい計測機械(パルスオキシメーター)で簡単に測定することができます。

普通は100%に近い数値ですが、息を限界まで止めると80%台まで下がります。喘息の発作や心臓病で酸素飽和度が90%を切ると重症の状態です。しかし急激にではなく慢性的に酸素飽和度が下がる場合はあまり苦しさを感じない場合もあります。

理想的な酸素濃度


地上の空気中の酸素濃度は21%であり、18%未満の環境に置かれると酸素欠乏症(いわゆる酸欠)になり得ます。

仕事に酸素濃度が18%未満になりうるような作業は酸素欠乏危険作業と呼ばれ、法律で安全対策を取ることが義務付けられています。

酸欠になってしまう原因


空気が入れ替わりにくい場所


井戸、地下室など周囲に比べて低く、空気が入れ替わりにくい場所には、酸素以外のガスが溜まりやすく、気づかずに入ってガスを吸ってしまうと抜け出すこともできなくなってしまうことがあります。

かつて炭鉱で石炭を掘ることが盛んだった時代には、有毒ガス濃度を検知するためにカナリアを坑道に連れて行きました。一酸化炭素や窒素などの無臭の有毒ガスが来ると、カナリアが鳴くのをやめるためです。

微生物や金属が酸素を消費する場所


マンホールの中では微生物が酸素を消費するために低酸素の環境になっていることがあります。金属の酸化や植物の活動も酸素を消費するため、大量の金属や植物の貯蔵庫、発酵食品を作っている蔵なども酸素が少ない可能性があります。

その他


高い山に登った場合や、水に溺れた場合、風船用のヘリウムガスを吸い込んだ時、食べ物などがのどに詰まって呼吸できない時、自殺目的や事故で一酸化炭素などのガスを吸い込んだ場合にも酸欠になることがあります。

酸欠によって引き起こされる症状、疾患


急性の症状


・ 呼吸数が増える
・ 頭痛
・ 吐き気、嘔吐
・ めまい
・意識がなくなる

血液中の酸素濃度が低い状態が3〜4分続くと、大量の酸素を必要とする脳細胞がダメージを受け、低酸素脳症・無酸素脳症が起こります。

死亡する場合から、運動・記憶・知覚など様々な脳機能に障害を生じる場合まで様々です。

酸欠にならないための予防対策


空気が入れ替わりにくい場所では複数人で行動


酸素濃度が非常に低い気体を吸い込むと、一呼吸で意識を失う場合もあります。空気の入れ替わりが悪い洞窟や井戸の中に入る場合は複数人で行動するようにします。

ヘリウムガスの扱いには要注意


パーティー用のジョークグッズで、吸い込むと声が変わるヘリウムガスが販売されていますが、これには酸素が混合されています。

浮き上がるバルーンに詰めるためのヘリウムガスは酸素が混ぜてありませんので、これを吸い込むのは窒息の危険があり、死者も出ていますので注意してください。

最後に医師から一言


海老蔵さんの言うように不安やストレスがあると猫背になり、無意識のうちに呼吸が浅くなります。わざと息を止めない限り、酸素飽和度に影響が出るほどの低酸素状態になることはありませんが、時には姿勢を正し、深呼吸をしてみるとリラックスできるかもしれません。

(監修:Doctors Me 医師)