U-20W杯では攻撃陣の柱として期待される小川。チームを勝利に導くゴールを奪えるか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ジュビロ磐田のFW小川航基が、目を引く進化を見せている。
 
 プロ1年目の昨季は、カップ戦3試合に出場したが、得点はおろかシュートも0。しかし今季、4月26日のルヴァンカップ・FC東京戦(〇3-1)でプロ初ゴ―ルを挙げると、その試合でさらにハットトリックを達成。続くリーグ9節(同30日)の札幌戦(△2-2)では、途中出場からゴールへの意欲溢れるモビリティと守備への献身で、2点を先行されたチームの沈滞ムードを吹き飛ばし、ペース奪還に貢献した。
 
 磐田での小川は、ここまでカップ戦で4得点。5月20日開幕のU-20ワールドカップに出場するU-20日本代表でもゴールを量産し、不動のエースストライカーとしてチームを牽引している。
 
 その小川について磐田の名波監督は、「航基の成長ぶりが凄いと、チームメイトたちも言っている」と目を細める。
 
「今シーズン前にユース代表で南米に遠征するなどして、自分に足りないこと、通用することが整理できたようだ。さらに新戦力が加わったジュビロで自分がどうプレーしていけばよいかを真剣に考え始めた。謙虚に、前向きにサッカーに取り組んで、本当に一歩一歩だけど階段を登っているなかで、『全部俺によこせ』という選手ではなくなってきたし、よりストライカーらしくなってきている」と、次世代のエースを評する。
 
「高校の時は、自分が何でもやるという気持ちだった」と小川航。エースとして不可欠な存在だった桐光学園高時代はフィニッシャーでもあり、チャンスメーカーでもあった。中盤でのゲームメイクに関わり、スルーパスも出せば外を回ってクロスも上げるという具合に、ボールを自分に集めて多くの仕事をこなしていた。
 
 だが、今は「要らないものが削ぎ落とされてきている」と名波監督。「それを全部なくしたところから、真の“ストライカー小川航基”が生まれると思う」と言うように、削ぎ落としは、指揮官が小川航をプロのFWに進化させる上で意図してきたことのひとつだ。
 
 要らないものを捨てる一方で、急速に身につけているものがある。ストライカーに必要不可欠なゴール前の動きの量と質の高さだ。
 磐田に加入した直後から、小川は居残り練習で名波監督のマンツーマン指導を受け、パスを引き出すための、あるいは味方と連動して相手守備を崩すための動きを磨いてきた。
 
「動き出し、動き直し、自発的にアクションを起こす動き、味方の動きに反応したリアクションの動き。つまりオフの動きがいかに重要かということが分かってきて、動き全般が良くなっている。自分から動き出す回数も、いったんボールを収めて人を使いながらゴール前に入っていく場面も増えている。ボックス(ペナルティエリア)内で動きを止めないという意識も非常に強くなった」
 
 小川航が最も成長した点について問われた名波監督は、そう答えている。
 
 前線での身体を張ったキープ力やポストプレーに加えて、クレバーかつ連続性のある動きを身につけてきていることの成果は、相手に与える “怖さ”に表われている。リーグ戦ではまだ得点はないが、ゴール前でのアグレッシブな動きで、名うてのDFたちを引きつけるシーンが目立つようになった。
 
 5月12日、ヤマハスタジアムでU-20日本代表として臨んだ磐田との練習試合では、ゴールを挙げた。25分、味方のシュートをGKが弾いたこぼれ球を押し込んだ。
 
「よく詰めたな。素晴らしい」
 試合後、相手監督にそう声をかけられたという小川航は、「今の自分の持ち味は、ゴール前で動きを止めないこと。そこから生まれた得点だったと思います」と、この試合の決勝点を振り返った。
 
 高卒の逸材を預かる名波監督には、矜持がある。
「高校を出てすぐに試合に出て2、3点取ってその後消えてしまった選手も多い。甘さがある状態でピッチに送り出すことは避けたいと思っていた。彼は今後、日本の宝、日の丸を背負って立つストライカーになるだろうということを意識して育てなければならないという使命感もある。軽はずみな使い方はしないということは彼にも伝えてある。来るべき時が来たら使おうと。今、その状況になってきている。ワールドカップの舞台は自分で掴んだチャンス。ここからは自分の思想を含めながら成長し、大きく羽ばたいていってほしい。120点の答えを出してチームに帰ってきてくれることを期待している」
 
 名波監督が小川航に与えたU-20ワールドカップでのノルマは、『1試合1点以上、シュート5本以上』だ。
 
「やってやろうと思います。1点ではなく、1試合で2点、3点取りたい」
 
 14日のホンジュラス戦でもゴールを決め、今季のU-20日本代表での試合では7戦8発と波に乗る。さらなる爆発が期待される若きストライカーは、磐田で身につけた力と自信をひっさげ、世界の舞台に挑む。