ツイッターでは「またガッテン! か」との声も(画像は5月10日の放送より)

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NHKの情報番組「ガッテン!」が2017年5月10日に放送した「めざせ健康長寿 大注目の検査はこれだ!」の内容に、ツイッター上で医療関係者を中心に疑問の声が挙がっている。

2月には糖尿病の治療に睡眠薬が有効であるかのような放送をしたことで問題視され、厚生労働省から注意を受ける事態となった。しかし、今回の健康のために検査を受けるという内容は一見当たり前のことのように思えなくもない。何が問題視されていたのか。

基準値以下でも慢性炎症?

番組の大きなテーマは健康寿命を伸ばすにはどうすれば実現できるかというもの。まず米国の医療機関が2016年に行ったマウスの実験を取り上げ、研究者の言葉として「慢性炎症を止めれば健康長寿を得られる」と説明。慢性炎症は、健康診断の血液検査の結果にある「CRP」という項目を見れば、判断できると紹介している。

「CRP」は「C反応性蛋白(C-reactive protein)」というたんぱく質で、体内で炎症や組織破壊が起きると血中に現れる。健康診断では基準値として「0.30以下ミリグラム/デシリットル」とされているが、番組では高いほど慢性炎症リスクが高いと指摘。特に肥満が数値を上げる大きな要因になるとした。

番組独自に20人を対象に行った血液検査では、CRPが「0.24」「0.25」「0.14」となっていた3人の体脂肪率が基準値以下とはいえ高かったとし、3週間のダイエットを行なうとそれぞれ数値が「0.18」「0.04」「0.04」と低下したというデータを表示。番組に登場した医師も、

「ダイエット(で体脂肪を減らすこと)によって炎症が軽減されCRPが下がったと考えられます」

と話していた。しかし、この番組内容に対しツイッター上は医療関係者と思われる多数のアカウントから「CRPは測定した時点で炎症が起きているかどうかを判断する指標で、慢性炎症の目安ではない」と異論が相次いだ。ダイエットによって慢性炎症が解消できるかのようなニュアンスを匂わせていた点についても、

「CRPなんか、花粉症でもタンスの角に小指ぶつけても数値上がるっちゅーねん」
「CRPはいわゆる体内で炎症が起こってないかどうかの指標になる数値でしてね(中略)正常範囲内での高低は関係ないの」

と、CRPの数値解釈に疑問を抱く書き込みも見られる。前述のダイエットを行った3人のうち1人は後日風邪で数値が2.89にまで上昇していたことも放送されていたが、これについて、

「風邪引いただけで基準値が遙か彼方になるほどオーバーするCRPが0.01上下しただけで一喜一憂しろってか」

と冷ややかな指摘もあった。都内の総合病院で総合内科に勤務する医師もJ-CASTニュースの取材に対し、「一般的にはCRPが高ければ何かの病気だなと思うもの」と答える。

「病気ではないからCRPが低値なのであって、CRPを抑えれば健康になるわけではありません。健康診断のCRPが高値だからといって『慢性炎症ですね』などと所見を述べる医師はいないと思います」

医療機関に電話で確認するようすすめる

番組終了間際に、健康診断を実施している医療施設の半数ではCRPを細かく測定できる検査を実施していないのでどうしても知りたい人は病院に電話で確認してほしいと、MCの小野文恵アナウンサーが語った点についても、

「CRPをどうしても知りたい場合は電話して確認して調べるように依頼する!? 医療現場大混乱になりませんか」
「あーこれでまた明日、病院に問い合わせが殺到して業務に支障をきたすぞ」

「あーこれでまた明日、病院に問い合わせが殺到して業務に支障をきたすぞ」と、現場での混乱を懸念するツイートもあった。取材に答えた前述の医師は、「運動をしたり食事に気をつかうといった健康的な生活は、CRPに関係なくすべきこと」としたうえで、

「慢性炎症が不安だから毎月CRPを検査しようなどと考える必要はありません。CRPが心血管疾患(心臓や血管の病気)発症リスクの指標となるという研究は聞いたことがありますが」

と話していた。

J-CASTニュースは5月12日、NHKに対し放送内容に対して視聴者からの反応や意見があったかを確認したところ、個別の問い合わせ件数については回答してないとのことだった。また、前述のようなツイッター上での指摘に対しどのような見解があるかを確認したところ、CRP検査については医療現場で炎症の指標として使われていることを説明し、高感度の検査が普及したことで慢性炎症のような小さな炎症が検出できるようになっていると伝えたと回答。血液検査の数値の内容を知ることが健康維持につながるというのが番組のメッセージだったとしている。