今回が初来日のジョン・デリアン。待望の本は既に本国では贈り物用としても人気だとか。

ニューヨークのデコパージュ・アーティスト、ジョン・デリアンが初の作品集『JOHN DERIAN PICTURE BOOK』(ジョン・デリアン ピクチャーブック)の発売に合わせて初来日を果たした。彼が長年蒐集してきた18〜19世紀の貴重な印刷物から厳選した美しいイメージをまとめたこの本は、彼が「切り離して飾る用と眺める用の2冊を購入して!」と話す自信作。H.P.DECOでのサイン会には熱烈なファンが全国から詰めかけた。 

「以前から“本を出さないか”という声はたくさんもらっていたんですが、ライフスタイルの本とかデコパージュのやり方の本には興味がなくて。今回ようやく夢のような出版社と出会えて、素晴らしい本を作ることができたことは本当に嬉しいですね」と話すジョン・デリアン。企画が持ち上がったのは2年ほど前のことだが、実際に制作作業が始まったのは1年ほど前からだったとか。

「それからは1日置きくらいに版元に足を運び、僕も立ち会ってさまざまな実験をしました。18〜19世紀のオリジナルの紙に近い、ちょっとテクスチャーのある紙を選び、インクと紙の組み合わせもいくつも試したものです。採用する図柄を選ぶのにも苦労しました。膨大なコレクションの中から300点までにまで絞り込むのは至難の技でしたよ!」

もともと'80年代にマサチューセッツ州セーラムの蚤の市で古い本と花の挿絵が印刷された紙が入ったアンティークの箱に出合い、その美しい図柄や印刷の虜になり、印刷物の蒐集を始めたというデリアン。その後デコパージュの技法を使って、これらの図柄を活かすことを思いついたのだという。彼が好んで集めてきたものには教科書や実用書のようなものも多い。

「特に18世紀のものはエッチングの線が素晴らしく、プリントが繊細なんです。オリジナルからのスキャンを担当してくれた友人もその細かさに驚いていました。僕はローテク好きな人間なので、デジタル加工は一切していません。オリジナルにあったシミやシワ、破れや退色などは敢えてそのまま残していますから、その辺りにも注目してほしいですね」

表紙に使われたのは目にフォーカスした作品。世界的に目は人気のモチーフ。

紙、プリント、製本などすべてにこだわった本。図鑑や教科書からとった図柄も多い。

 

トレイやランプなどにも一部をトリミングして使っている絵。デリアンは「女性が横になっている部分はアメリカでは人気がなく、見向きもされないんですよ」と苦笑。 

デリアンがアスティエ・ド・ヴィラットとコラボした、キノコの新シリーズ。¥12,000〜¥17,000/H.P.DECO

また、今回の初来日に際しては南フランスで見つけたキノコの専門書をもとに誕生した新シリーズのお披露目も。アスティエ・ド・ヴィラットとのコラボレーションによるものだ。

「ヨーロッパの人はキノコに対する思い入れがアメリカ人に比べて強いんです。すべてのキノコに名前がついているほどですしね! 図柄の好みは国や文化によって随分違いますよ。アメリカではポートレートの作品は売れない。目の作品とか解剖図は人気ですが、純粋なポートレートは苦手なようです。また猫好きの人は猫の作品なら何でも好きですが、犬好きの人は自分の飼っている犬種にこだわりがあるみたいです(笑)」

photos: NOBUKI KAWAHARAZAKI  text SHIYO YAMASHITA

ジョン・デリアン/JOHN DERIAN

イタリアの古い技法で、紙を裁断してコラージュし、ガラスに糊で張り付けて制作する“デコパージュ”のアーティスト。ペーパーウェイト、プレート、ランプなどのオブジェを制作し、人気を博している。アスティエ・ド・ヴィラットともコラボも話題に。ニューヨークに3店舗を展開するインテリアショップのオーナーという顔ももつ。

https://www.johnderian.com/