バンドじゃないもん!『METAMORISER』通常盤

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 YouTubeの再生回数、Twitterのフォロワー数などがアーティストの認知度を計る重要な指針になっているのは、もはや周知の事実。そこで今回はネットとの親和性が高く、そこで得たユーザーをライブの動員力、さらにCDセールスにまでつなげているアーティストの新作を紹介。アニメ作品とのコラボレーション、アーティスト自身のキャラクター化なども大きなポイントとなっているようだ。

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 1stシングル表題曲「キメマスター」のMVが150万回を超える再生数を記録(2017年5月15日現在)。メジャー1stアルバム『完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を(ハート)』が2017年3月20日付のオリコン週間CDアルバムランキング4位を獲得し、5月14日には新木場STUDIO COASTでワンマン公演を行うなど、ネットとリアルをしっかりと繋げているバンドじゃないもん!のニューシングル『METAMORISER』。初のアニメタイアップソング(TVアニメ『つぐもも』(TOKYO MX)オープニングテーマ)となった表題曲は、Q-MHzの全面プロデュース楽曲。めまぐるしい展開と緻密なアレンジメントが共存するバンドサウンド、<誰といたい? 君といたい!>という超キャッチーなメロディを持つこの曲は、“バンもん“の新たなアンセムとして機能することになりそうだ。カップリング曲「FAN+TIC」はメンバーがモデルをつとめるプリクラ機の応援ソングで、SNSネイティブである10代女子へのアピールも完璧。

 「ボーカル・火寺バジルが魔法にかけられた呪いをとくために歌という魔法を使って冒険しているラウドでポップでファンタジーなRPG系バンド」をテーマに掲げる魔法少女になり隊の3rdシングル『ヒメサマスピリッツ』表題曲は、“和テイスト×ヘビィメタル×ユーロビート”というド派手なサウンドメイクと“姫様が将軍様に会うために街を駆け抜ける”という妄想的なストーリーがひとつになったアッパーチューン。東の都・ジパングを舞台に姫様が街をパルクールで疾走するMVも強烈。コンセプト、ビジュアル、音楽性を含め、ロック、アイドル、ゲームなどの要素を取り入れたこのバンドのスタンスが端的に示された楽曲と言えるだろう。さらにアニメソングの名曲「ラムのラブソング」のメロコア風のカバー、J-POPリスナーにもウケそうなラブソング「sayonara fantasy」を収録。

 TVアニメ『Fate/stay night』(テレビ神奈川ほか)オープニングテーマ「ideal white」(2014年)でデビューして以来、『ガンスリンガー ストラトス』(TOKYO MX)『D.Gray-man HALLOW』(テレビ東京)といった人気アニメの楽曲を担当してきた綾野ましろのニューシングル『NEWLOOK』。透明感のある声質、凛とした意志の強さを兼ね備えた彼女のボーカルはアニソン・ファンを中心に高い評価を得ている。TVアニメ『Re:CREATORS』(TOKYO MX)エンディングテーマとして制作された表題曲「NEWLOOK」は疾走感溢れるロックナンバー。<足元見えない道だって 踏み出してよ>に象徴されるポジティブなフレーズは彼女の歌声の魅力をしっかり引き出していると思う。作詞・作曲はRyota Nakano。90年代J-ROCKのテイストを取り入れたアレンジ(個人的な印象ですが、イントロを聴いた瞬間L'Arc-en-Cielの「Driver’s High」を思い出しました)は、30代以上のユーザーにも訴求しそうだ。

 デビュー曲「ミカヅキ」のMVが420万回以上、2ndシングル曲「それは小さな光のような」のMVが330万回以上の再生回数を記録(2017年5月15日現在)。ネットとの高い親和性によって急激に支持を拡大しているシンガーソングライター、さユりのメジャー1stアルバム『ミカヅキの航海』。野田洋次郎(RADWIMPS)の楽曲提供&プロデュースによる「フラレガイガール」、最新シングル曲「平行線」(ノイタミナアニメ&ドラマ『クズの本懐』(フジテレビ)エンディングテーマ)を含む本作は、“2.5次元パラレルシンガー”を掲げる彼女のこれまでの軌跡がリアルに描かれている。三日月のような欠落を抱えた自分をまっすぐに見つめながら、後悔の念に捉われつつも、この先の未来に向かって航海を続けるーー現実と妄想を混ぜ合わせ、独自のストーリーを紡ぎ出せることが、アーティストとしての彼女の強味なのだと思う。(森朋之)