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■どんなクルマ?

純粋に楽しみたいならば……

純粋にドライビングを楽しみたい向きにとって、このGTSは、究極の911かもしれない。それ以上を求めるなら、価格のレンジが異なるが、GT3を求めるのがよい。

GTSは、素の911とおなじく、ボディ・タイプは、クーペ、カブリオレ、そしてタルガから選択でき、後輪駆動か4輪駆動を選ぶことができる。

全ての仕様において、マニュアルかPDKを選べることは言うに及ばずである。

AUTOCARはピュアなクルマを求める

われわれの求めるものは、いつだって最もシンプルなモデルだ。後輪を駆動する、マニュアルで繰る、クーペがそれであるが、ついに希望する個体が英国へやってきた。

ボディ全幅は1852mm。ちなみにふつうのカレラは1808mm、4Sは1852mm、ターボ/ターボSは1880mm。つまりGTSは4Sのボディ幅と共通なのである。

30pを上乗せして、450psとなった出力は、カレラSにパワー・アップグレード・キットを搭載した時のそれと同じ水準となる。

標準で備わる、PASM(サスペンション・マネジメント)やロワー・スポーツ・サスペンションは、通常モデルでは、オプションであるし、そして、センター・ロックのホイールは、ターボから拝借したものだ。

一方で、このモデルでも、アダプティブ・ダンパー、リア・ホイール・ステアリング、カーボン・セラミック・ブレーキはオプションである。

外観上の識別点は、空力を追求した、独自のフロント・スポイラーと、それにマッチするリア・ウイングに追加されたリップだ。ブラックで統一されたホイール、排気パイプ、ヘッドライトは、GTS化に伴う常套手段である。

インテリアでは特製のロゴとアルカンターラで覆われたキャビンが目を引く。

■どんな感じ?

4WDとRRは、まったく別のクルマ

試みに、他のGTSモデルを運転してみた。4輪駆動で、PDKを装備した、タルガ・ボディを試乗した結果、これほどまでに、仕様に依存したクルマを運転した記憶がないと感じた。

そのクルマは同じ911とは思えないどころか、全く異なったクルマを運転するような気分だ。911とパナメーラを比べるような、そんなクルマの根本的なキャラクターの違いが浮き彫りになる。タルガはクーペよりも135kg重いという事実だけが、そう感じさせるわけではないのだ。

後輪を駆動する、マニュアル・トランスミッションのGTSクーペは、一見、既存のパーツを巧妙に組み合わせて仕上げられたクルマに過ぎないかもしれないとさえ思えてくる。

しかし、ポルシェ自身がその選択を行った場合、どういうわけか、その結果は単に同じパーツを積み上げたものとは異なるのだ。

標準の911に備わる、日々の使用にも耐える、実用性や洗練された乗り心地を一切損なうことなく、GTSは、運動性能を次の次元へと押し上げている。

そう聞くと、0-100km/h加速のデータであったり、Gフォース・メーターの数値が気になるものであるが、このクルマは、その類の911ではない。

ターボ・エンジン? なんのその

一言で表すならば、それは、クルマとドライバーの間に存在する一体感に起因する、フィーリングである。限りなくパーフェクトなシャシーからくる安心感や、かつてない力強さを手に入れたミド・レンジとクラスを超えたトップ・エンドを誇るエンジンの存在感から生まれるフィーリングだ。

30ps程度の差がそれほどの違いを生むのかと疑問に思うだろう。しかし、本当の恩恵は、その出力特性にあり、回転数が上がるにしたがって、このターボ・エンジンのパワーはより刺激的になるのだ。

従来のターボ・エンジンがもつフラット・トルクな特性ではなく、自然吸気エンジンのようなアクセントの付いた盛り上がりをみせるのである。

シャシーとの相性もいい。GTモデルを除けば、このモデルは後輪駆動モデルにおける史上最強の911である。PASMアダプティブ・ダンパーやスポーツ・サスペンションを備え、万全の体勢だ。

コーナーの頂点へ向けて、ハードに攻め込むことができるいっぽう、このクルマの真骨頂は、立ち上がりにある。

満ち溢れるトルクを後輪に伝え、ありったけのトラクションを使って立ち上がるもよし、オーバーステアに持込んでコントロールを楽しむのもよし。楽しみ方は、あなた次第である。

■「買い」か?

豪華なカレラS? スリムなターボ?

911を求める中でも、日常の実用性を鑑みながらも、運転にドライバーの積極的な関与を求める向きならば、GTSというチョイスは自然な成り行きであろう。唯一GT3という例外はあるが。

カレラSに、パワーキットとサスペンション周りのオプションを組み込むだけで、そのオプション込み価格は、GTSの車体価格に近いものとなってしまう。しかも、ワイド・ボディやセンター・ロック・ホイール、そして視覚的にも効果のあるエアロ・パーツなどは、そのオプション込み価格には含まれていないのだから、GTSがどれだけバーゲン・プライスなのか理解できるはずだ。

一方で、GTSを違った切り口でみることもできる。ノーマル911のハイ・スペック・バージョンとしてではなく、スリムなターボという見た方である。

GTSのパワー・ウエイト・レシオは、ターボ・モデルの90%に匹敵する。一方で、よりワイドなターボ・ボディや、ターボには標準の4輪駆動システムは不在だ。

しかし、GTSでは、トランスミッションをマニュアルかPDKから選ぶことができるし、エンジンのサウンドは比べものにならないくらい魅力的である。恐らく、サーキットで走らせたらGTSの方が速いはずだ。そして、約£33,000(483万円)安価でもある。

端的にいうと、GTモデル以外の911を求めるなら、GTSが唯一の選択肢である。もっと難しい問題は、GTSを買わない理由があるのかどうかということである。
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ポルシェ911カレラGTS 3.0

■価格 £95,795(1,403万円) 
■全長×全幅×全高 4528×1852×1284mm 
■最高速度 311km/h 
■0-100km/h加速 4.1秒 
■燃費 10.7km/ℓ 
■CO2排出量 212g/km 
■乾燥重量 1525kg 
■エンジン 水平対向6気筒2981ccツイン・ターボ・ガソリン 
■最高出力 450ps/6500rpm 
■最大トルク 56.0kg-m/2150rpm 
■ギアボックス 7速マニュアル