(c)2017「たたら侍」製作委員会

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 EXILE HIROが初プロデュースを手がけた映画『たたら侍』(5月20日公開)の記者会見が、日本外国特派員協会にて5月15日に開催された。監督を務めた錦織良成、新平役を務めたEXILE/三代目J Soul Blothersの小林直己が登壇し、訪れた外国人記者らの質問に応えた。

 『たたら侍』は、モントリオール世界映画祭で最優秀芸術賞受賞をはじめ、世界27の映画祭に正式出品されて19の賞を受賞するなど、海外でも高い評価を得ている。先週8日は、ハリウッドのエジプシャン・シアターにてプレミアム上映も行われた。(参考:『たたら侍』ハリウッドプレミア徹底レポ 「青柳翔は、リーダーであり、親友であり、メンター」

 外国特派員協会のチェアパーソン、カレン・セバーンズ氏から、「なぜ今、この物語を映画にしようとしたのか教えて欲しい」と問われた監督は、「歴史を調べてみると、中世以降、刀は武器としてではなく、神から与えられた人々の命を守る“お守り”とされていたことがわかり、大きなエポックとなるモチーフだと考えた。(中略)また、伝統的技法であるたたら製鉄は、今だにコンピューター制御の最先端の溶鉱炉よりも純度が高い。こうした技術が残っているのは、日本人にとって誇るべきこと。映画化して伝えなければいけないと考えた」と回答。また、小林直己に、「劇中の刀は本物か?」との質問が飛ぶと、流暢な英語で、「使ったのはイミテーションの刀です。これは映画なので(笑)。撮影に入る前に真剣を使ってのトレーニングは続けていました」と答えて笑いを誘った。

 外国人記者から、「村は作られたものなのか、それとも一部本物を使ったのか」との質問には、「村は全部作りましたが、神社は1400年くらい前に作られたという出雲にある実際のもの。(中略)村は、出雲大社の修繕を行っている宮大工にも協力を受けて制作した」と答えた。

 鉄鋼メーカーに務めるという男性から、今回の映画に協力している金属関係の会社が日立金属だけだった理由を問われると、「実は、たたらによる刀作りの一子相伝は戦後に一度途絶えている。それを政府が日立金属に依頼して、復活させた経緯がある。そのため現在、技術を受け継いでいるのは日立金属の社員で、その製法の詳細は今も秘密だそう」(錦織監督)と回答し、記者陣から感嘆の声があがった。

 ダンスのスキルをどのように芝居に活かしたか、との質問に対しては、「ダンスも芝居も身体を使って表現するという意味で似ているし、今回は出演しているシーンのメインは殺陣やアクションだったので、そこまで難しさは感じませんでした」(小林直己)と答え、流血シーンが少ないことに対しては、「子どもたちが一緒に見ることができる時代劇にしたかったため、表現を抑えた」(錦織監督)と意図を明かした。

 史実として、映画と同じような事件はあったのかと問われると、「中世の頃は歴史上の資料が残っていないので、我々が観ている時代劇のほとんどは想像の産物です。ただ実際、たたら吹きをする方々は大変な大金持ちだったため、いわゆる一揆を起こす農民のような悲壮感のある感じではなかったそう。出雲地方は蔵に米が唸っていて、着物も良いものを着ていた。海外との貿易も盛んで、外国人も来ていた。また、お金を持っていたので権力者とつながりを持ち、守ってもらっていた。そうした背景を踏まえた上で、創作しました」(錦織監督)と、設定の背景を語り、また石井杏奈演じるお國の舞が現代的に見えたのはEXILE TRIBEだからか、との質問に対しては「巫女舞をしている方に振り付けをお願いしています」(錦織監督)と答えて笑いを誘った。さらに、お國のモチーフとなったのが、歌舞伎の創始者とされる安土桃山時代の女性芸能者、出雲阿国であることを明かした。一説によると、出雲阿国はたたら場の娘で、職人たちを相手に踊っていたとも言われているそうだ。

 また、黒澤明の『七人の侍』を思わせる演出について、意図的なオマージュかとの質問には、「もともと意図するつもりはなかったが、若いスタッフとともにこだわって作っているうちに、黒澤さんへのオマージュに繋がっていった」(錦織監督)と語り、最後に小林直己に「この際だから侍ミュージカルを作ってみては?」との提案がされるが、小林は「Nothing」と即答し、会場を笑いに包んだ。

 『たたら侍』は5月20日(土)より、新宿バルト9 TOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開。(松田広宣)